http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160304-00010009-nishinp-sctch
木の家って何となく気持ちいい。そんなイメージを科学的に立証しようという産学連携の研究が九州大農学研究院(福岡市東区)で進められている。
木材が人の健康に与える効果を化学、物理、生理心理学的な手法を用いて検証。調湿効果や睡眠への良い影響、香りの豊かさなどを裏付けた。
清水邦義准教授(森林圏生理活性学)、藤本登留(のぼる)准教授(木質材料加工学)の研究グループは学内に2棟の実験棟を設置。
双方とも柱や梁(はり)などの構造材にスギを使った上で、一方は大分県日田市上津江町のブランド「津江杉」の天然乾燥の無垢(むく)材を床や壁に使用。
もう一方は短期間で乾燥させた合板などの新建材を用い、木目調の壁紙を施して見た目の差をなくすなどプラセボ(偽薬)効果が生じないよう配慮した。
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無垢材の方が睡眠の質が高くなる
睡眠と調湿については、実験棟に宿泊した男子学生5人の脳波や心電図などを測定した。
睡眠8時間のうち、5人の深い睡眠段階の時間が新建材棟は110〜180分だったのに対し、無垢材棟が130〜220分といずれも長かった。
一方、覚醒に近い状態のレム睡眠は無垢材棟が10〜30分で、新建材棟(25〜80分)より5人とも短かった。これらの結果から無垢材の方が睡眠の質が高くなると考えられるという。
人体が発する水蒸気で上昇する湿度は、新建材棟が就寝前より10%超上がって80%を上回ったが、無垢材棟は3%程度の上昇にとどまったことから、
「無垢材の調湿作用が睡眠の質に影響したと考えられる」(清水准教授)。室温変化は特に差は見られなかった。
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「木の健康効果を科学的に証明した初の研究」
室内の印象は20〜80代の男性32人、女性51人の計83人を対象に調べた。20〜30分滞在してもらい、居心地や疲労感などを質問。
女性は無垢材により良い反応を示し、「どちらの部屋に住みたいか」との問いにも67%が無垢材と答えた。「触り心地や香りが影響した」(同)という。男性は大きな差はなかった。
香りも、無垢材棟の方が香りのもとになる揮発性成分が質的にも量的にも豊かで、季節による変化も大きいことを確認した。
実験は住宅会社なども加わり2013年に開始。今後も疲労回復の差、季節や経年による変化など多様な実験を続ける。
清水准教授は「木の健康効果を科学的に証明した初の研究といえる。
国産の無垢材を使った木造建築の特徴を明らかにして、例えば寝室や学校に合うといった適材適所の使い方を提案し、新しい価値を示したい」と抱負。
「適切な木の伐採と植林のサイクルは洪水防止など山の機能維持にもつながる」と話している。
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