金融市場では各国政治への警戒感が高まっている。米国では中東などからの入国制限を発動する大統領令が出された。それは、賛否両論、国を二分する議論になっている。
トランプ政権がインフラ投資など経済政策の具体的な内容を示していないことも重なり、今後の政策動向への懸念は強い。それがドル安につながっている。
欧州では、フランス大統領選挙への懸念からユーロが軟調に推移している。
ポイントは極右政党である国民戦線のルペン党首の当選する「まさか」のシナリオが排除できないことだ。
背景には、有力候補と考えられた右派・フィヨン元首相の不正疑惑がある。世論調査では、最終的にルペン女史は大統領に当選しないとの予想が多い。
しかし、自国第一を目指す主要国の政治、ユーロ圏の先行き不安などを考えると、決め打ちはできない。
■フランス大統領選の混迷
4〜5月にかけて実施されるフランス大統領選挙について、第1回目の投票では過半数を取る候補が出ず、フィヨン氏とルペン女史が決選投票に進むとみられてきた。
その結果、フィヨン氏に票が流れて当選するというのが一般的な予想だった。
しかし、1月下旬、フィヨン氏が親族を架空に雇用し、1億円超の公的資金が親族に支払われた疑いが浮上した。
これを受け、フィヨン氏への支持が低下したことは言うまでもない。
そこで、決選投票にて極右のルペン女史と中道派のマクロン氏(オランド政権下での前経済相)の一騎打ちになる公算が高まった。
これは、“保革共存(コアビタシオン)”によるフランスの政治が途切れる可能性が高まったことを意味する。
今回の大統領選挙を境に、フランスの政治はこれまでに経験したことのない、新しい時代に向かう可能性がある。
マクロン氏は、左派でもなく、右派でもないことを標榜している。オランド政権の不人気は顕著だ。最終的にマクロン氏と社会党が歩み寄るかどうか、わからない。
この時点で、保革共存の流れからマクロン氏に票が流れ、ルペン女史が負けるという構図は想定しづらくなる。
また、同氏の公約は、ビジネスフレンドリーで福祉重視と、新鮮味に欠ける。
一方、ルペン女史は憲法に自国第一に関する規定を明記することなどを目指している。
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