昨年4月の国の集計で、全国3番目の559人の待機児童がいた那覇市。改善に向け、市は2015年3月に策定した事業計画に基づき、18年度当初までに2500人の定員増を目指している。
本年度の認可園新設は前年度の4件から3倍以上の14件。市立幼稚園の認定こども園への移行で3〜5歳児の受け入れを増やすなどの対策を進める。
■“争奪戦”の様相
園の増設が進む一方、かねて指摘されてきたのが保育士不足だ。那覇市園長会(石川キヨ子会長)は昨年10月、市内の認可保育園69園(回収率84%)にアンケートを実施。うち36園で46・5人分の保育士が不足していた。慢性化する保育士不足に、園長会は「園を整備しても、施設規模の保育士確保ができなければ定員増につながらない」と危惧する。
市内のある園長は「求人を出しても応募があればラッキー。県外の園や、写真館など子供たちを相手にする他業種からも保育士の求人がある」と言い、“争奪戦”の様相を呈している。
市は国や県の補助事業を活用し、給与アップや保育士試験の講座費の支援、年休取得時の代替保育士の配置などで処遇改善を目指すが、市担当課も「430人の保育士をすぐに確保するのは難しい。複数年かかるかもしれない」と厳しい見通しを示す。
■「定員増が先行」
15年、厚労省が「近接する職種」として小学校教諭免許などを持つ人を保育士とみなす規制緩和策をまとめた。那覇市も小学校教諭などの有資格者を保育園に配置できるようになっているが、「基本は保育士が望ましい」としている。
保育定員増の計画について、沖縄女子短大児童教育学科長の平田美紀教授は「保育は質と量のバランスを考えなければいけないが、量を増やすことが先行している印象を受ける」と話す。
市も保育士の配置基準緩和策を導入しているが、「安易に人手不足が解消できると捉えると、園児の命に直結する事態も招きかねない。安心・安全を守るためには、高度な専門性を持った保育士が必要だ」と指摘。待遇改善などによる新規保育士の確保や離職防止への取り組みを求めた。
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