男の向う脛にピンヒールトゥの前蹴り。
「うっ」
今度は男が呻いて、後ずさりする。
男が注射器を放した右手で、向う脛を庇うようにする。
ワタシは反射的に両手をロープから抜いて、両掌でパイプ椅子の座面を押さえる。
軽くお尻が持ち上がると、両腕だけで身体を支えて、両膝を胸に抱える。
視線の先には、再び狙いを定めようとする銃口。
次の瞬間、力の限り両脚を伸ばす。
銃口が、ストッキングからタイトスカートを撫で上げていくのも気にしない。
低い位置から、男の胸にピンヒールのドロップキック。
勢いのままパイプ椅子から飛び降り、パイプ椅子の座面に両肩を預ける。
一瞬、ヒップスラストの態勢になる。
直ぐに片膝で立つ、タイトスカートは一部捲れたまま。
パイプ椅子に絡む上着の両袖から、手首を抜いて立ちあがる。
男は、蹴られた胸を押さえて前屈みになっている。
機を逃さず右脚を軸に、左脚の飛び回し蹴り。
男の後頭部に極まる。
タイトスカートの大きめのスリットが功を奏する。
男が片手を床につく。
着地したその脚でジャンプする。
空中で反転して、男の肩のあたりに馬乗りになる。
腰まで捲れ上がるタイトスカート。
格好より今は、シャツブラウスの上から右腕にぶら下がる注射器。
左手で注射器を抜くと、そのまま男の首元に突き立て薬液を注入する。
空の注射器を手に、男の肩から飛び降りながら反転する。
左手の注射器をナイフのように構えて、前屈みの男に対峙する。
一歩さがって、注射器を暗闇に放る。
倒れないのか?思いながらも、ずり上がったタイトスカートの腰のベルトを外す。
細いが丈夫なベルト、左手に鞭のように構える。
「…貴様あっ…」
男が悪態をついて、両手を床につく。
しぶとい奴、無意識に右手にベルトを持ち替え、左半身に構える。
ベルトの鞭を振り出そうとした瞬間、男が前のめりに崩れ落ちる。
男が、意識を失いながら発する。
「…何…もの…」
動かなくなった男を見下ろしたまま右手のベルトを腰に戻す。
ふと気付いて直す、捲れたタイトスカートの裾。
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