もともとは、 「ハイスクール全裸」 の一編にするつもりで、ネタを練っていました。 「語り手の主人公が、モテる為の呪文を読者にも教えてあげる」 みたいな筋書きでした。それが紆余曲折して、今の形にまとまったのです。だから、タイトルの方も 「愛の呪文」「ルシーの贈りもの」「蝶と揺らぐ少女」「未来に揺らぐ蝶」 など、色々と候補が上がっては消えていきました。
なんだかんだで、結局、ルシーものの新作にしたのは、 過去確率 のことを、あらためて説明したかったからでもあります。前に過去確率を紹介した短編の 「過去確率」 は、奥に引っ込めちゃったので。(ちなみに、「過去確率」も読者巻き込み型の小説でした)
当初、ヒロインを 蛙里いずみにしようかとも思ったのですが、これも採用はしませんでした。また、重要キャラのお婆さんは、作者としては、 「おばあちゃん」 に出てきた キボ をイメージしておりました。
完成品はざっと短くまとめてしまいましたが、 「ツキをあやつる少女」 の章に書き並べたエピソードの数々を、最初期の構想では、丁寧に各所に盛り込むつもりでもいました。主人公の女生徒が、わざわざ、遠い塾に通っていたのも、実は、 その帰り道で、帰宅途中のアリタ先輩と遠目に出会えた、と言う設定だったからなのであります。
なぜ、あえて、各エピソードを詳しく書き込まなかったのかと言いますと、自分で執筆しておいて何ですが、 内容やアイディアに、そこまで斬新さが感じられなかった からです。それじゃ、正攻法の書き方をしても、普通の作品にしかなりませんので、そこで、 わざとメインエピソードの部分を「ツキをあやつる少女」の中だけに凝縮してしまうと言う荒技を使って、代わりに、もともと、一番書きたかった 冒頭の呪文 の印象が強まるような構成にした次第です。
この冒頭の呪文は、すぐ気付いた方も多かったでしょうが、 バタフライエフェクト(効果) を、逆さに読んだだけのものです。もっと難しいアナグラムにしても良かったのですが、そこまで凝る必要もないかと考えて、逆に思いっきり分かりやすくしてしまいました。 バタフライ効果という理論を知っている人でしたら、これだけで、本編のテーマの方もおよそ見当がついてしまったのではないのでしょうか。
「蝶の揺らぐ未来」
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image