『君の膵臓をたべたい』(住野よる/双葉社)
『キミスイ』の舞台は、今よりも医療技術が発達した少し先の未来。友人をひとりも作れず、周囲と関わることを避けて生活してきた高校生の主人公は、ある日、クラスの人気者・山内桜良が綴っていた秘密の日記「共病文庫」を拾う。日記によれば、彼女は膵臓の病で余命いくばくもないらしい。とても死が近いとは思えないほど、天真爛漫に振る舞う桜良に振り回される主人公。しかし、病を患う彼女に、残酷な現実が突きつけられる。
- 君の膵臓をたべたい
- か「」く「」し「」ご「」と「」
- また、同じ夢を見ていた
- よるのばけもの
『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「」』などを次々と上梓し、どの作品も若者の強い支持を集めている。『キミスイ』は、ついに累計発行部数80万部を突破。4月28日には文庫化され、そして、7月には映画化作品の公開も決定している。彼の作品の何に若者は惹き付けられ、こんなにも心奪われているのだろうか。
住野よるのデビューの仕方は今までの出版業界の常識からみると、とても特殊だ。プロの作家になる方法といえば、新人賞を勝ち取ることが一般的だが、住野氏はその王道を通っていない。高校時代から小説を書き続け、様々な賞に作品を出すも長くデビューができなかった。そこで、小説投稿サイト「小説家になろう」に小説を投稿してみると、「キミスイ」がサイト上で話題となり、編集者の目に留まり、『キミスイ』の書籍化が決定した。そして、2016年には「本屋大賞」第2位を受賞するほど世に名を馳せるに至った。住野氏は、若者たちによって見出され、若者たちに愛され続けている作家といえる。
『キミスイ』は、読書好きな層ばかりでなく、今まで本をあまり読んだことのなかった層の心をも掴んだ作品だ。読みやすい文体と、心を打つ台詞の数々。限りある生のなかで繰り広げられる純なる想い。切ないストーリー展開。
住野よるの作品にはどの作品も温かな優しさがある。
このブームはますます多くの人に広がっていくに違いない。かつて「セカチュー」こと『世界の中心で、愛をさけぶ』が社会現象となったように、映画化によりでブームが加速するのは必然のこと。「キミスイ」に限らず“住野よる”という作家の作品を、本好きもそうでない人もぜひこの機会に手にとってほしい。
『また、同じ夢を見ていた』
『よるのばけもの』
『か「」く「」し「」ご「」と「」』
住野よる/1400円(税別)/新潮社
みんなは知らない、ちょっとだけ特別なちから。そのせいで、君のことが気になって仕方ないんだ—きっと誰もが持っている、自分だけのかくしごと。5人のクラスメイトが繰り広げる、これは、特別でありふれた物語。共感度No.1の青春小説!
【このカテゴリーの最新記事】
- no image