新株予約権発行とは、企業の自社の株を新規に発行して資金調達したいので、
その株を買う権利を売る(発行)ことである。
あくまでもこの段階では、株を買う権利のやり取りであり、株を新規に発行はしていない。
この株を買う権利の価格のことを、「新株予約権発行価額」と言ったりする。
あくまでも権利なのでめちゃくちゃ安く、実際の株価の1%以下とかも多くある。
この権利の買い手は、証券会社やファンドだったりすることが多い。
さて、この権利、単なる購入するだけの権利ではなく少し条件が付いている。
いくらで買えるかという条件が付加されており、その価格が「当初行使価額」である。
当初?ってなに?と思うだろう。あくまでも今権利を買ってすぐに行使(言い換えれば権利を使って株を買うこと)したら、この金額で買えますよというものである。
この、「当初行使価額」というものが、極端に今の株価より安く設定されているなら魅力的だが、そうでない場合もある。その場合は、「行使価額の修正条件」というものが付いていることがあり、常に前日終値の90%で買えることになっていたりする。(絶対損しない的なやつ)
ちなみに、株価が底なしに下落し続けてとてつもなく安値の90%で買えるかというと、行使できる下限価格(下限行使価額という)を設定することもありこの価格は「当初行使価額」の50%に設定されることが多い。
なぜ、下限価格を設定するかというと、めちゃくちゃ株価が下がってから権利を行使されたところで、当初、調達したかった資金額を調達できないので、それだったら別の方法で資金調達を検討するためである。
企業・証券会社(ファンド)・既存株主のメリットデメリットをまとめた。
◆企業(新株予約権発行側)
<メリット・プロフィット>
わずかながら権利費用がもらえる。
将来、株式を買ってもらえれば大きな資金調達ができる。(返さなくていい資金調達)
<デメリット・リスク>
株式希釈が発生する資金調達方法をとるので、既存株主からの反発。
◆証券会社(新株予約権購入側)
<メリット・プロフィット>
前日終値の10%OFFで買える。※行使価額の修正条件が前日終値の90%の場合
<デメリット・リスク>
新株予約権は買ったものの、会社が倒産したら権利費用だけ無駄になる。
権利行使後、すごいスピードで下落した場合は、利益が乗らず損切りしなければならないリスク。(10%Offで換えているのでめったにないと思うが・・・)
◆既存株主
<メリット・プロフィット>
なし(あえて言うなら、倒産して株価ゼロになるリスクは一旦避けられる・・・かな)
<デメリット・リスク>
将来ほぼ確定する株式希釈により、株価の下落と配当の減額
上記から見てもらえればわかるように、結局は既存の株主が損をして、企業側と少しだけリスクをとった証券会社が儲かるようになっている。
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