配当金で地道に増やす
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■銀行の金利が100倍になったとはいえ…
100万円の資金を利回り3%の投信で置いておくと、10年後にいくらになるか。ざっと134万円だ。
「最近、メガバンクの10年定期預金の金利が100倍にハネ上がったと話題でした。0.002%から0.2%に引き上がったので確かに100倍です。とはいえ、0.2%。投信の平均利回りは3〜6%といわれますから、とても太刀打ちできる金利ではありません」(株式評論家の倉多慎之助氏)
メガバンクの定期預金に10年預けておくと、どうなるか。100万円はほぼ102万円……。投信のほうが30万円以上も多い。そうはいっても投信は金融商品なので、株価暴落に見舞われたら、商品によっては損失を出してしまう危険性は捨てきれない。
「投資は絶対にやらないという人は少なからずいます。リーマン・ショックなど大暴落を経験しているシニア層は特にそうでしょう。デフレの時代はそれでもよかったと思います。でも今はインフレが凄まじく、現金や現預金は実質的な目減りが激しい。資産の半分、いや3分の1、5分の1でもいいからリスクの少ない投資商品に回したほうが賢明といえます」(倉多慎之助氏)
投信にお金を預ける“ほったらかし投資”はもちろん資産を守る有効な手法だ。でも、少しだけ冒険をして個別株の配当金を狙ってみてはどうか。
海運3社は狙い目
海運は有望
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書店の金融関連本コーナーにも「高配当」を狙うムック本や書籍が山積みになっている。投資専門誌の12月号は「『良い配当株』の見つけ方&オススメ株 配当入門」の文字が表紙に躍る。
4年ほど前に定年を迎え、まとまった退職金を得た65歳のAさんはこう言う。
「株式の売買で稼ぐのは素人には難しいと実感しました。退職金を手にした直後に100万円ほど個別株に投資しましたが、まあ利益は出ませんでした。今後は高配当の株を少しずつ買って長く保有する投資法に切り替えようと思っています。高配当のいい銘柄、ありませんか?」
高配当で有名なのは海運株だ。日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社で、2024年3月期の配当利回りは、それぞれ3.45%、4.89%、4.18%となっている(11月20日終値ベース、以下同)。
配当利回りは、1株あたりの配当金(会社予想)を株価で除し(割った)たもの。配当金の額が変わらないとすると、株価が上昇したら配当利回りは下がっていく。配当金が20円で株価が1000円の場合、配当利回りは2%だが、株価がアップして1200円になったら利回りは1.67%に低下する。
「利回りはあくまで目安ですが、株価は極端に動くケースはまれです。日経平均が3万3000円を突破する現状でも、高配当の銘柄はたくさんあります」(市場関係者)
■利回り5%を超す銘柄も
東証プライム上場で、最も配当利回りが高いのは自動車用の電動ベルトなどを手掛ける三ツ星ベルト。配当利回りは5.71%ある。前出のAさんが、投資した100万円分でこの会社の株を買っていたら、配当金だけで5万7100円(税金を引かれる前)をもらえる計算だ。
配当金の額は年によって異なるにしても、2年間保有し続けると、10万円を超すプラス。3年で15万円、4年で20万円、5年で25万円……。これが配当金の魅力だ。株を保有し、会社側が配当金を出し続ける限り、毎年、いくらかの配当金が入ってくる。Aさんが言う。
「この先は、まず海運株を買うつもりです。日本郵船と商船三井を100株(単元株=最低投資単位)ずつ。現状だと、投資額は75万円程度でしょうか」
日本郵船は37万7000円、商船三井は38万8300円。合計76万5300円(手数料含まず)だ。来年3月末の1株あたり配当金は130円と190円。得られる配当金は3万2000円になる。何かショボい……と思いがちだが、配当利回り(年換算)は4.18%もある。
「来年は、日本郵船と商船三井を保有したまま、川崎汽船を買おうと思っています。毎年、50万円とか100万円単位で高配当株を買い続けるつもりです。5、6年で500万円ぐらいの投資額になりますが、株の売買で利益を得ようとは思っていないので、日々の株価に一喜一憂せずにすみます。デンと構えていられるかどうかは不安ですが……」(Aさん)
企業にとっては成績表
高配当15銘柄のリスト(C)日刊ゲンダイ
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タグ: 投資
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