314.Dying Light

ダイイングライト ザ・フォロイング エンハンスト・エディション 【CEROレーティング「Z」】




 本日はこちら「ダイイングライト」のレビューです。

 B級ホラー映画臭漂う近接重視のFP-RPGだったデッドアイランドに比べ、ゲーム感はそのままによりスタイリッシュでサスペンスなものになっていました。
 RBボタンがジャンプというのは初めてのキー配置でしたがこれが慣れてくるとすごく気持ちよかったです。親指(右スティック)を離さずにジャンプが出来るというのは想像以上に快適で、自分の中では画期的でした。

 デッドアイランドシリーズではゾンビを殲滅しながら進んでいくことができましたが、今作では敵の数がかなり多く、密集していて、かつかなりしぶといです。特に猛ダッシュで迫ってくるバイラルは定期的に湧き、かなり正確に自キャラを追跡してきます。こいつがまた厄介で、ただ走ってくるだけならまだしも、障害物を乗り越え高所に迫り、こちらの攻撃を空振りさせてカウンターを仕掛けてくる超反応をデフォルトで備えており、数匹に囲まれれば苦戦必至、攻撃力をいくら上げても死ぬときは死ぬ理不尽な世界は相変わらず健在でした。

 そんなわけで、本作をデッドアイランドと同じ感覚でプレイするとうまくいかないのです。
 本作のスキルツリー構成に関しても、攻撃のバリエーションを増やし、素のステータスを上げるというよりも、行動のバリエーションを増やして採れる選択肢を増やす、という構成がメインなのが印象的でした。
 走っても疲れにくくなったり、ゾンビの注意をそらすアイテムを作れるようになったり、壁を垂直に駆け上がってより高所に手が届くようになったり、そんな感じです。
 つまり本作の基本戦術は逃げることであり、道中で手に入る様々な武器やアイテムはあくまで手段の一つに過ぎないのです。

 この逃げるという遊び方が、本作で導入されたパルクールシステムとすばらしくマッチしており、RBでジャンプという革新的なキー配置に繋がっています。

 ただ、もう少し調整が必要だとは思いました。
 アクションを起こすためのボタンと、弓矢の種類を変えるボタンが同じで、ゾンビの懐をまさぐってアイテムを取得したいのに、若干レティクルが合ってなかったがゆえに所持数0本の爆発矢に変更してしまったり。高所での不用意なジャンプがサイドやバックステップに化けてそのまま奈落へ。
 パルクールに関しても、縁への掴み判定がちょっとガバっていて、掴めるはずなのに掴めなくて大地へ真っ逆さま(引っ掛けフックで高所に一気に上がる時に顕著)、あるいは壁蹴りジャンプに化けて明後日の方向へ大ジャンプ(←こいつの誤爆が一番多くイライラします)。

 ゾンビもシリーズ一厄介ですが、このパルクールの弊害で操作ミスや不注意での転落死も事故率が高く、総じて本作の難易度は結構高めです。
 死ぬと溜めた経験値をごっそり失う(ダークソウルみたいなロストの仕方。でも取り返せない……)ので、世界観としての恐怖感もさながら、ゲームプレイとしての恐怖も付きまとい、なかなかに緊張させてくれます。
 夜は得られる経験値が倍になるボーナスタイムですが、ただのゾンビでさえ狂暴になり、さらには最強の敵まで徘徊しだし、当然辺りは真っ暗で、先が見えない中での高速のパルクールはとても危険です。
 演出としての恐怖だけでなく、ゲームとしての恐怖も併せ持つ稀有なゲームですね。
 それだけに夜を乗り切った時の安堵感、レベルアップした時の達成感はすごいです。

 ストーリーやクエストについてですが、こちらも次世代ゲームらしくかなり洗練されている印象を受けました。
 メインストーリーについては前作シリーズのような安直なB級臭は消え、かなり豪華なアクションスペクタクル風味になっており、そこに王道の人間の悲哀が描かれています。サブクエストについても単純なお遣いは激減し(サブクエスト自体お遣いではあるんですけど)、そこへ行くための、あるいは何かを取ってくるためのバックストーリーが用意されてます。

 DLCもかなり気合の入ったものでした。
 特にフォロイングは、DLCという常識を覆すほどのボリュームで、ぶっちゃけこれ単体で一本のゲームが作れるんじゃないかというほど濃厚でした。
 フォロイングでは新要素として乗り物としての車が登場するので広大なマップを用意する必要があるのですが、その用意されたマップの作り込みが半端じゃないんですよね。
 徒歩移動のみだった本編のマップ二枚を足しても足りないくらい広く、田舎の田園地帯がメインなのでゾンビ避けに最適の高所が少なく、そして実績には関係ないながらも集め物やサブクエスト、チャレンジなどが盛りだくさんで、きっと本編以上に遊びこめるでしょう。
 個人的には人工物に囲まれた世界よりも大自然の広がる世界の方が好みなので、本編よりも好きでした。
 広い草原やら田園やらを延々と走らなきゃならなくなるため足である車を失ったり、置いてきたりすると大変です。
 特に、死亡して離れた場所にリスポンしちゃったりすると若干萎えちゃうこともありました。
 パルクールや車を活かすためなので無いのはしょうがないですけど、やっぱりファストトラベル機能が恋しいです。

 ボザック・ホードに関しても、非常に難しく理不尽で初心者お断りのハードなトライアルでしたが、ご褒美の武器は頑張った甲斐が十二分にある素敵装備です(パワー、スピード、サバイバーツリーコンプ前提の難易度ですが、それでも難しければ出来るだけレジェンドスキルの片手武器と体力を優先的に上げ、一振りでバイラルの首をスパスパ落とせるようになると、格段に楽になります)。
 本編の弓よりもより良く真っすぐ飛び、銃と違ってゾンビの当たり判定に吸い付くような補正があるのでヘッドショットがすごく楽なんです。
 逆に、この吸い付き補正がないクロスボウがとても扱い辛く、産廃染みてるのが残念です。

 ドロップキックが一番のお気に入り。
 屋上から蹴り飛ばしたり、水中や針トラップに蹴り込んだり、思った以上に派手に吹っ飛んでくれるので気持ちいいんです!!

 本作の弊害として、本作ではいくら最強の武器を作ろうと、いくら強くなろうと、多数のゾンビを相手に切った張ったの大立ち回りは出来ないので、ストレスは溜まる方だと思います。
 本作プレイ中は俺TUEEEEな無双ゲーがやりたくて仕方なかったです(笑)

↓美しい自然、海、そしてゾンビ! 目的もなく歩き回って、見つけた廃墟を探索して回るのも乙ですよ。



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2017年08月16日

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