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カジヤマ シオリ(@Kindermeer )
元女性アシスタントディレクター。 心は広島とオランダにおいてきぼりですが、名古屋市民です。 いちにんまえのトラベルライター目指し、日々これまでの旅行経験や映画や洋楽、西洋美術や海外ドラマなどについての記事を更新してます。 ネタになるだけ、今までの経験は無駄じゃない!
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2016年05月22日

カラヴァッジョ展/国立西洋美術館/心奪われること間違いない、濃ゆい時間が過ごせました



先週行った、カラヴァッジョ展です!!!

image.jpeg

現在国立西洋美術館で行われている、
「日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展」です。
国立西洋美術館、世界遺産認定おめでとうございます。
これを見越して更新を引っ張ってたわけではありません(笑)上野・浅草では「世界遺産にしよう!」という内容のラッピングバスがたくさん走ってましたけれども。

image.jpeg

いやはや、おめでとうございます。美術館そのものが世界遺産なっちゃうなんてね。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。
いやあ、フェルメールの次にあげられるくらい、好きな画家。
わたしの大学生活に影響を与えた画家。
イタリアの研修でたくさん作品を鑑賞して、カラヴァッジョとフェルメール、それぞれの光の操り方についてまとめたレポートを提出して、研修の補助金をいただいたんだっけ。
とても好きな画家なのです。だから、どうしても見に行きたかった。
カラヴァッジョの影響を受けている、いわゆる「カラヴァジェスキ」の作品も興味があります。
中にはイタリアで鑑賞したことあって「2度目まして」の作品もちらほらあるそうで。
先週の旅行の中で、一番の目的ともいえるこの展覧会。
行ってきましたよ!混みぐあいとかも含めてまとめておきます。
ちなみに、その日の超ざっくりとした行程とかハイライトを編集した動画はこちらの記事で紹介してます
https://fanblogs.jp/gotuabroad/archive/52/0

訪れた日…5月11日、平日の正午(11時半過ぎごろ)

チケットブースには列ができていました。チケットだけでも10分並びましたね。
ちなみに、前日に常設展だけ訪れていたので、その時間帯はこんな感じでした↓

image.jpeg

たしか午後4時くらいだったと思います。並んでませんね。
開館時間が午後5時半までなので、1時間半でカラヴァッジョ展も常設展も鑑賞する自信がある、またはカラヴァッジョ展OR常設展だけで十分という人にはこの時間帯がおすすめかもしれません。

ちなみに、同時間帯の館内の様子。

image.jpeg


人が多めですね。国立西洋美術館はミュージアムショップが入り口にあるので、入り口ずっとこんな混み具合です。

さあ、意気揚々と鑑賞へ入ります。

image.jpeg

ちなみに、こちらでも音声ガイド、借りました。
だって人多いから、ぜったいにキャプション(作品の横についてる説明書き)見えないし、人ごみの外からでも展示を楽しめるように。
ナビゲーターは北川一輝。ローマには映画の撮影できたことがあるそう。テルマエ・ロマエの撮影ですね。カラヴァッジョの生い立ちや作風など、カラヴァッジョのイメージを壊さないような、声のトーンを落としつつも凄みのあるナレーションでナビゲートしています。役作りで歯を抜こうとしたり海賊になりたくて商船高等学校に通ったりというエピソードがある北村さんなので、カラヴァッジョの持つ血なまぐさーい、暴力的というかちょっと危険なというか、イメージからはそう外れてないと思う。エキゾチックな顔立ちとか!
解説も、なかなか理解が深まるようなものになってて、役に立ちました。やっぱりカラヴァッジョ作品って技法とか作風もかなり特徴だし、その作品が描かれた背景(人を殺してしまったとか、逃亡したとか、アーティチョーク投げつけちゃったとか)もクローズアップされることが多いので、そういう説明があるともっとこの展覧会、楽しめると思います。
カラヴァッジョの生きざまがうかがえるような資料も、いくつか展示されています。

展示は、風俗画(占い、酒場、音楽)、五感、静物、肖像、光、斬首、聖母と聖人の新たな図像、エッケ・ホモ(ミニセクション)というセクションに分けられていました。いずれも、カラヴァッジョの作品に関係があるということで、各セクションのはじめに、カラヴァッジョ作品が展示されていました。斬首…ってあたりがカラヴァッジョの展示らしい(笑)光も重要な要素です。

カラヴァッジョ作品は、帰属作品含めて計12点展示されています。
その中でも、個人的に注目すべき作品3点と、あとカラヴァッジョ以外の作品で注目すべきものを、ひとつだけ触れます。

≪メデューサ≫ 個人蔵
こちらは、盾です。他の作品が絵画であることに対して、この作品は盾です。これがイチバンの特徴かも。盾に、メデューサの顔が描かれています。メデューサに関してはウィキペディアをご覧ください(何)
まあ簡単に言うと、ギリシア神話に登場する怪物。見たものを全部石に変えてしまう能力を持っています。英雄のペルセウスが、ピカピカの盾にメデューサの姿そのものをうつしている間に首を切り落として退治しました。この作品は、首を切り落とされた瞬間のメデューサが描かれています。自分の姿であっても、人を石にしてしまうんだから、盾にうつった自分を見てメデューサは石になってしまったというのです。
この作品は個人蔵ですが、フィレンツェ・ウフィツィ美術館に一回りも二回りも大きい、同じモチーフを描いた盾があります。今回、展示されたのは、小さめサイズです。サイズはどうであれかなりの迫力。メデューサが息絶えた瞬間を切り出していて、その緊迫感に引き込まれそうになるというか、こっちまで石になりそうだ。メデューサ自身が死んでても、彼女の髪の毛(蛇)はかなり躍動感があります。生きてるよう。
実は、ウフィツィ美術館のバージョンは門外不出です。決まりのため、外に持ち出せないので、フィレンツェのウフィツィ美術館まで出向かないと鑑賞できません(こちらは、大学3年の時に鑑賞したことがあります。すごいです。重厚感をひしひしと感じることができます)。今回のバージョンも個人蔵のため、なかなか鑑賞できるチャンスがないと思います。カラヴァッジョの得意とした「緊迫した瞬間を、まるでそのまま切り取ったかのように表現する」、まさにそのものの作品です。
セクションの中で「斬首」に分類されている作品です。この盾の前で、石になってる人たくさんいました。あなたも石になってみてください。

≪ナルキッソス≫ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館所蔵
あの「ナルシスト」という言葉の語源にもなった、ナルキッソスの姿を描いた作品。ナルキッソスは、ギリシア神話に登場する美少年。自分の見た目が大好きで、水面にうつる自分の姿に見とれ、何回もキスしようとするけどできないことを嘆く様子が描かれています。そしてそのまま落ちて水死、という伝説が残っています。この作品では、ひたすらナルキッソスが見とれています。どこか影があるけれど、描かれたナルキッソスはとても儚く、美しいです。美少年。水面にうつる姿も、現実と幻想の狭間をうつろっているように見えます。この作品は、一度ローマの現地で鑑賞したことがあります。2度めましての感動も大きかったです。こういう感動があるから、大好きな作品はただ日本で待ってるだけじゃなくて、ヨーロッパの現地で見ることをおすすめしたいのです。

≪法悦のマグダラのマリア≫ 個人蔵
この展覧会の目玉とも言える作品です。この展覧会が、全世界で初公開となっているからです。人だかりもかなりのものでした。
暗闇から、マグダラのマリアが浮かび上がる様子。ほほを伝う涙…どれも実際に見るべきです。画像じゃわからないことだらけです。放心状態の、マグダラのマリア。見るものを寄せ付けないような高貴さを感じました。これ、カラヴァッジョが殺人を犯した後の作品です。闇の深さは、彼の心の奥底にある何かを表しているのかも…
≪悔悛のマグダラのマリア/アルテミジア・ジェンティレスキ≫ ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館所蔵
これも二度めましての作品なのですが、あまり記憶が…
カラヴァッジョの影響を受けた「カラヴァジェスキ」の作品です。カニャッチという別の作者のものの可能性もあるとかないとか…アルテミジアの作品とすれば、カラヴァッジョの影響を受けた、当時めずらしい女性画家のものということに。マグダラのマリアが暗闇から浮かび上がる感じは、カラヴァッジョの≪法悦のマグダラのマリア≫と共通しています。上半身に何もまとわず、骸骨と鎖を手に意識を手放すマグダラのマリア。やっぱり引き込まれてしまいます。カラヴァッジョは他の画家にどのような影響を与えたのか?という点ではとても興味深かったですね。

とても長くなってしまいましたが…
実際に展覧会でご覧ください。そして、ローマやフィレンツェ、イタリア現地でぜひ見てください。そして、カラヴァッジョに思いを馳せてください。やっぱりローマやフィレンツェで見たカラヴァッジョにはかなわないなーとひしひしと感じました。教会とか人少なくて、高い入場料もとられないから意外と穴場ですよ。

展示の最後に「カラヴァッジョ作品分布図」みたいなの(全世界、カラヴァッジョ作品がどこにあるかがわかる世界地図)があったのですが、あれ、写真とって帰りたかった!ほしかった!コピーでもいい!と思いました。
いつか、カラヴァッジョ作品も、フェルメール作品と一緒に全点踏破したい。そう、目標に書き加えられたのです。

カラヴァッジョ展なのに、12作品しかないって少なくない?
っていう声もあるそうですが、私はそうでないと思ってます。
彼の作品って、極端に少ないわけじゃないけど、そんなに現存してないんですよ。
教会の祭壇に飾られてる作品もいくつかあって、それ展示するのってなかなか難しいし。
その中でも、珠玉の12作品がそろったのはすごいことだと思います。なかなかない機会だと思います。
彼の影響力を感じることができる作品も、一緒に鑑賞できるし。
フェルメールに置き換えてみましょう。12作品も彼の作品が集まるなんて考えられないですよね?そのくらい貴重な機会だと思うんです。カラヴァッジョ作品への理解も深まるし。だから、少ないっていうのはちょっと違うかなーと。

最後、すごく放心状態になってしまった。
法悦のマグダラのマリアさながら…?
常設展ももちろん見てますが、これはまた後日…


インフォメーション↓
日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展
会期:6月12日まで
国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7番7号)
開館時間:9:30〜17:30(金曜のみ20:00まで)
入場料:一般1600円(常設展も鑑賞できます)
展覧会公式ホームページ: http://caravaggio.jp/
写真撮影だめですよ!
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