国土交通省によると、タクシー車両台数は2013年3月末時点で約23万台。個人タクシーを除く法人タクシーはうち19万台と8割強を占め、その大半が日産の「セドリック」(1987年式)かトヨタの「クラウンコンフォート」(95年式)とセダンだった。
しかし日産はセダンの規制が一部強化され、製造コストがかさむこともあり、今秋でタクシー向けセダンの製造を終了。タクシー車両は既に販売しているミニバン「NV200バネット」だけに絞る。セドリックの場合、車高は1メートル44センチ、室内の長さは1メートル91センチだが、NV200の車高は1メートル85センチで室内の長さは1メートル98センチ。顧客にとっては広い空間を楽しめる。同社は「高齢化が進む中、車椅子が載せられるなど、顧客の利便性を考えた」と説明する。
一方、トヨタは昨年の東京モーターショーで、子供や高齢者が楽に乗り降りできるワゴンタイプの次世代タクシー「JPNタクシーコンセプト(仮称)」を発表した。従来のクラウンコンフォートの車高は1メートル52センチだが、JPNは1メートル70センチと広い。同社は「導入に向け、タクシー会社と細かい仕様を話し合うなど具体的協議をしている」という。
タクシーの大型化は海外でも進んでいる。米ニューヨーク市は11年、次期導入タクシーとしてNV200のみを選定、それまでほとんどセダンだけだった同市だが、13年10月からはNV200に切り替わりつつある。NV200はロンドンの次期導入タクシーにも選ばれている
◇ミニバン
自動車業界の統一した定義はないが、座席が3列で定員が7〜8人の乗用車をさすことが多い。商用車の「バン」とは区別される。独立した荷物室(トランク)があるセダンと異なり、運転席から荷物室まで区切られていない。「ミニ」と呼ばれるものの、実際にはセダンなどより大型なため、高価格で低燃費の車種が多い。
国内では、日産自動車が1982年に発売した「プレーリー」が第1号とされる。90年代以降は、ホンダの「オデッセイ」などが発売され、子どものいる家庭を中心に定着した。しかし2005年以降は環境意識の高まりなどから人気が低下。一方、ミニバンの影響を受け、車高を高くした軽自動車「ハイトワゴン」の人気が高まっている。
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