ダイエーは6期連続の最終赤字で、抜本改革が不可欠だった。東京都内で会見した岡田社長は「ダイエーはリストラに次ぐリストラで、消費者ニーズの変化に対応できていなかった。テナント構成も、今日の商業施設としては不的確だった」と指摘した。
北海道と九州ではダイエーをイオン北海道など、グループ内の別のスーパーに集約する。また、京阪神ではグループのスーパーをダイエーに集約し、30年度までに「ダイエー」の屋号がついた店舗を「イオンフードスタイル」など、グループの別のスーパーに順次に切り替えていく考えだ。
イオンは昨年来注力している50歳代以上の世代を狙った商品やサービスを、ダイエーにも積極的に導入する。こうした施策により、31年2月期には営業利益率を3%に、現在赤字の営業損益も150億円の黒字にする目標を明らかにした。
ダイエーの自主的な改革を待っていては、“看板”をなくすほどの大胆な施策は望めない。イオンが抜本的な改革を行うためには、完全子会社化が不可欠だった。これに伴い、イオンは長年の課題だった首都圏や京阪神など大都市圏での店舗戦略を本格化する。
ダイエーは6割の店舗が駅から5分圏内にある。都心への進出が遅れたイオンは、ダイエーの立地を生かし、首都圏と京阪神で店舗を再編する方針だ。大企業が多く、消費者の所得水準も高い都市部では、割高な総菜の売れ行きが伸びるなど収益性が高い。
今後はダイエーの強みである食品事業を強化し、大都市部で収益を上げるための構造改革を進める。ただ、都心部ではコンビニエンスストアなど、異業種との競合も激しく、改革の先行きは見通せない状況だ。
イオンはダイエーの株主にイオン株を割り当てる株式交換を実施する方針。交換比率はダイエー株1株に対し、イオン株0・115株。
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