山崎賢人が天才的な記憶力をもつ小児外科医役を演じるドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ系)の第6話が16日に放送され、平均視聴率10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイントダウンとなってしまったものの、依然として2ケタ台をキープしています。
ある日、高山誠司(藤木直人)が率いる小児外科チームは、産婦人科医の鶴田皐月(堀内敬子)から手術要請を受けます。患者は出産間近の水野理香(篠原ゆき子)。胎児にリンパ管腫が見つかったため、帝王切開後に臍帯を切り離さないまま腫瘍を取り除く、EXITという難易度の高いオペが必要とのことなのです。
高山はこれを受託し、助手に新堂湊(山崎)と瀬戸夏美(上野樹里)を指名。準備を進めるのですが、母子ともに命の危険が伴うオペに対し、理香の夫が難色を示したため日取りが決められません。
そんな中、突然、湊の前に父親の航(遠山俊也)が姿を現します。幼少期に虐待を受けた記憶が蘇り、湊は一瞬怯えますが、昔とは違い温和になった航に安心し、食事へ行く約束を取り付けます。
しかし、この情報を聞きつけた病院長の司賀明(柄本明)は、借金まみれの航が、湊を利用しようとしているだけだと察知。航を病院へ呼び寄せ、数百万円を手渡す代わりに、湊に二度と近づかないよう約束させます。
一方、湊は予約していたレストランで待ち続けたものの、航が現れないため店を出ることに。するとその帰り道、手切れ金を懐にホクホク顔の航と偶然出くわします。そして、会いに来たのは金を無心するためだったこと、さらに、幼少期に湊と兄・奏太(田中奏生)が事故に遭った際、湊ではなく奏太に助かって欲しかったことを打ち明けられるのでした。
これにショックを受けた湊は業務が手につかなくなり、医師への道を諦めようとするほど落ち込んでしまいます。
そんな折、理香が狭心症の発作を起こし、すぐにも手術が必要な状態に。夏美から連絡を受けて病院へ戻った湊は、幼少期の事故で自分の命だけが助かったのは、“医師になって子供たちを救うため”だと気持ちを切り替え、亡くなった兄の分も意義ある人生を歩もうと改心します。
そして、理香がどれだけ我が子の誕生を願っていたかを夫に話すことで、EXITの決行を承諾させることに成功。すぐさまオペを開始し、母子ともに命が助かったところで終了となりました。
さて感想。これまでは、小児外科医における湊の立ち位置、自閉症を患う人間が医局に馴染めるのか? という視点から構成されたストーリーが主でした。しかし前回、湊のことを一番に懐疑的に見ていた高山からの信頼を勝ち得たことで、今回は湊が医師になるための成長を純粋に描く回となったようです。
序盤シーンでは、当直医を任されるようになり、患者からは“イケメン先生”として人気者になるなど、今まで以上にハツラツとした表情を見せていた湊ですが、航の登場で一変。幼少期に兄と一緒に事故に遭い、自分だけが助かった負い目に対し、「僕の方が天国に行くべきでした」と口にするほど苦しみます。
そしてそこから復活するわけですが、自閉症という、ただでさえ難しい役どころに、精神的なアップダウンの激しさも加わったハイレベルな演技を、山崎がごく自然に披露していました。毎回のように書いていますが、今作での山崎の演技は文句なし。この当たり役を掴んだことによって今後、若手俳優の中で頭ひとつ抜きんでた存在になっていくことでしょう。
また、湊を支える夏美役の上野の好演も際立っています。特に今回、湊が医師の道を断念する一歩手前まで落ち込んだところを励ます姿には、どこか母性すら感じました。これが、事務所のゴリ押しではなく、真の実力で役を勝ち取れる女優の演技力なんだなぁ、と感心しました。
さて、そんなこんなで、湊が小児外科医になるための動機を再確認し、さあこれから、というところですが、次なる暗雲が。資金繰りに苦しむことから、東郷記念病院の理事長・東郷美智(中村ゆり)が、副院長・猪口隆之介(板尾創路)の提案を受け入れ、別病院との業務提携を受け入れてしまったんですね。
で、この猪口は、採算の悪い小児外科を切り捨てたがっている。というわけで、湊のモチベーションが上がったところで、職場がなくなってしまう危機が到来。おまけに、湊の最大の理解者である司賀が、ステージ4の胃がんを患い、肺にまで転移してしまっている状況とあって、この先も茨の道が待っているようです。
でもまぁ、波乱万丈の方がドラマは盛り上がり、湊の成長にもつながるわけですから、次からの展開にも目が離せません。
(文=大羽鴨乃)