皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今日は柄にもなく詩でも披露しようかと思います。
(大丈夫なのか)
大器晩成
僕は「大器」だと言われてたんだよ。
周りもそう思っていたさ。
皆と並んで立っていても、僕の方をを見て、
「かっこいい〜」とか「すごく堂々としているね〜」
なんて言われていたんだよ。
僕もそう思っていたさ。
「いつか世界を支えるような奴になってやる。」ってね。
でも、悲劇は訪れるものさ。
ちょっと重荷を担がされて、僕は脆くも崩れたのさ。
僕の中に見えない罅があった事なんか、
自分でも知らなかったさ。
もちろん、周りはびっくりしたさ。
そして僕を見て言うのさ。
「あ〜あ、もうこいつ使い物にならないや。」ってね。
それからはもう散々さ。
邪魔者扱いで、片隅に追いやられて、
気が付いたらゴミ箱の傍さ。
もう誰も振り向いてくれない。
というか視界にも入れてもらえない。
「ああ、もう終わったな。」
僕もそう思ったさ。
でも、ある日突然呼び出されのさ。
「ちょっと一緒に来てくれない?」って。
その手は僕のかけらを拾い集め、
ゴミ箱の傍から連れ出そうとするのさ。
僕は言ったさ、
「役立たずの僕なんかに何の用だい?」ってね。
でもその手はお構いなしに僕を連れ出したのさ。
遠い微かな記憶をたどって、
僕は必死に伝えたさ。
「本当の僕はそうじゃない!」って。
でもその手はお構いなしさ。
僕のかけらを勝手気ままに並べ立てるのさ、
「こうしたほうがいいんじゃない?いや、やっぱりこうしよう。」ってね。
泣きっ面に蜂とはこのことさ。
「よし!完成!」
我に返ると僕の周りを、
にこにこ顔の人たちが取り囲んでいるのさ。
「わあ〜すご〜い!」とか、「いい味出てるねえ〜」とか言いながら。
前と比べ物にならないぐらい大げさに褒められているけど、
壊れた僕には不相応さ。
でも何か満たされた感じはしているのさ。
泣きっ面に蜂だと思っていたけど、
僕は泣きっ面の鉢だった。
元の形は見る影もないけど、
かけらは土を満たすのさ。
その上には緑が広がり、
新しい世界ができていて、
壊れたままのかけらが支えるのさ。
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