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もし私がタンホイザーの登場人物だったら

私がワーグナーのオペラ、タンホイザーの登場人物だったらと、
想像してみました。

もし私がヴェーヌスだったら。

ヴェーヌスは愛の女神様です。
ハインリヒ(タンホイザー)は、ヴェーヌスベルクと言う女神様の住まいで、
女神様からの寵愛を受け、愛欲の日々に耽っていたのですが、
ある日故郷の夢を見て帰りたくなリます。

ヴェーヌスは懸命にハインリヒを引き留めます。
しかしハインリヒは「O Königin, Göttin Lass mich ziehn 」
「女王、女神 私を行かせて下さい」と言って聞きません。

3度目の「O Königin, Göttin Lass mich ziehn 」
私ならブチギレます!

「この私をどなたと心得る。恐れ多くも愛の女神、ヴェーヌス様であるぞ!
頭が高い!控えおろう」
「無礼者め!そんなに行きたいのなら、あの世にでも行くがよい!」

「Geh geh」 ←ワルキューレの3幕ラスト近くで、ヴォータンがフンディングを
殺すときに言ったセリフ(歌)です。

ハインリヒ死亡  1幕前半でDas Ende. 終了です。


もし私がヴォルフラムだったら。

ヴォルフラムは、ハインリヒのかつての仲間で、ヴァルトヴルク城で
領主ヘルマンに使える騎士です。

城の近くの谷間に仲間達とやって来て、ヴェーヌスベルクから戻った
ハインリヒを発見します。

一緒に城へ帰ろうと誘いますが、ハインリヒは戻ろうとしません。

ヴォルフラムは領主の姪、エリーザベトの名前を出して、彼を留めるのです
が、私だったら、引き留めませんね。
「そうか、残念だけれど達者で」

「Lebe wohl Dich segnet Wolframs Weh」 ←ワルキューレ3幕で、
ジークリンデがヒルデに別れを告げる時に言ったセリフ(歌)のアレンジです。

ハインリヒに別れを告げて、1幕のラストでDas Ende.


もし私がエリーザベトだったら。

エリーザベトは、領主の姪、ヴァルトヴルク城のお姫様です。
騎士ハインリヒ(タンホイザー)に密かに想いを寄せていましたが、
彼への好意は周囲にバレバレでした。
ハインリヒが帰って来たので浮かれています。

吟遊詩人でもある騎士達の歌合戦が開かれる事になります。
歌合戦で「愛の本質」について歌う内に、ハインリヒは興奮して
ヴェーヌスベルクに居た事を暴露してしまいます。

ヴェーヌスベルクに居たのは、恐ろしい罪なのですね。
会場にいた全員からハインリヒは責められ、剣を向けられます。

エリーザベトはハインリヒを庇います。
ここから彼女は、聖エリーザベトとなるのです。

しかし私がエリーザベトなら「スケベ男だったなんてショック… 私の気持ちに
気づいていたくせに、裏切られた気分… 私って人を見る目が全然ない…」
と嘆きの歌を歌い、続いて「救いになるのは Heinrichs Tod」と、
ハイリンヒの死を歌います。←ここは神々の黄昏の第2幕でのハーゲンの
セリフ(歌)のアレンジです。

神々の黄昏、第2幕後半でブリュンヒルデ、グンター、ハーゲンが、
ジークフリートの死を相談して歌う3重唱のごとく、
ちょっと違うけれど、エリーザベト、ヴルフラム、ハインリヒの3重唱。

そしてハインリヒが人々の剣に倒れて、2幕のラストでDas Ende.


もし私がハインリヒだったら。

ヴェーヌスベルクから去りません。
いきなりDas Ende.
これでは物語になりませんね。


私がタンホイザーの登場人物になると、全3幕のオペラなのに、
どうしても第3幕まで辿り着けません。

第3幕まで辿り着くには?

ハインリヒ(タンホイザー)が、かなりの美形だった場合しかありえません。
前にも書きましたが、ハインリヒは絶対に美形です。
そして悩むのが好き。悩みが欲しくてヴェーヌスベルクを去ります。


超イケメンのハインリヒなら、愛の女神ヴェーヌスが未練たらたらに彼を
引き留めるもの理解できます。

エリーザベトが彼の帰りに狂喜し、裏切り者でも庇う気持ちも分ります。
第3幕では彼女はハインリヒの救済の為に祈り続け、命に代えてまで
天に訴え、本当に命を落とします。

それはそうですよね。超好みの顔で、顔を見ているだけで幸せ、
もう他の人は目に入らない。そんな大好きなハインリヒと会えなくなるなら、
命も要りません。

ヴォルフラムや騎士達は性格がいいので、カッコイイ彼を妬んだりせず、
憧れに近い友情を持っていて、チヤホヤしていたのでしょう。

自己中なハインリヒが皆から好かれるのは、美形だからです。
美しいって、やはり罪なのですね。

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