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2015年01月21日

「スイスフランショック」





これは2015年最初の金融大事件である。

スイス国立銀行(中央銀行)は2015年1月15日、自国通貨スイスフランの上昇を抑えるために、
対ユーロ通貨で設定していた

1ユーロ=1.2スイスフラン

の上限を撤廃すると発表

2011年9月以降、外国為替市場で無制限にスイスフランを売り、ユーロを買ってフラン高を防いで来たが、
欧州中央銀行(ECB)の量的質的金融緩和の観測もあり、異例の政策継続を断念した。

・・・約3年ほど前から、スイス国立銀行が、スイスフラン高を抑えるために、無制限にユーロを買い続け抑えていた。

これまでの通例では、最初にそれを匂わすようなことを、徐々に情報を流しながら辞めていく形をとっていた。

しかし、今回に至っては、 前代未聞・・・

超突然、何の前触れも無く、

スイス国立銀行: 「全部やめまーす!」 と発表。

その瞬間に、世界の機関投資家などが、金(カネ)を大量に打ち込んだ。

その結果・・・

スイスフランが瞬間的に、異常なまでに急騰

その結果、スイスフランを活用してFX取引をしていた大多数のプレイヤーが、大損こいてしまいました。




なぜスイスフランを活用していた大多数のプレイヤーが大損したのか?

従来のFX業界における常識によれば、スイスフランは他の通貨に比べて金利が低かった。

そこで、多くのFX取引をしているプレイヤーが、
「スイスフランを売って他の通貨を買う」
というポジションを取ることで、金利差をスワップ金利という形で、受け取り続けることができていたわけだ。

金利の安い通貨を売って、相対的に金利が高い通貨を買う。

「トルコリラ円」などの、メジャーどころのセットと同じ方法。

そんな中で、スイスフランに関してはセオリーのようなものがもう一つ存在していた。

それは、

通常、高金利通貨は、金利で稼ごうとしても、通貨自体が暴落してしまえば利益が飛んでしまうが、

スイスフランは自国通貨が強くならないように、スイス国立銀行(中央銀行)が、
「無制限にスイスフランを売って、 1ユーロ=1.2スイスフランを維持する」
と約束のようなものをしていたので、多くのFX投資プレイヤーたちは、安心してスイスフランを売って、
他の通貨を買い続けていました。

そんな状況下での、突然の 「はしご外し」とも言える、スイス国立銀行(中央銀行)による発表。

1ユーロ=1.2スイスフランの上限に張り付く形になっていた為替レートが、一時0.8スイスフランまで急騰。

よく聞く 円・ドル換算だと、

1ドル120円だったものが、
一日で1ドル80円になったようなものだ




スイスフランに投資していた大多数のFXプレイヤーたちはどうなったのか

当然ながら、スイスフランが急騰した瞬間、レバレッジをかけてスイスフランを買いまくったFXプレイヤーは、
大勝ちしたことになる。

けれど、大多数のFX投資プレイヤーはそうではありませんでした。

なにせ、既に説明したように、「スイスフランの鉄板セオリー」があったから。

よって、大多数のFXプレイヤーは、レバレッジをかけて、スイスフランを売りまくって、他の通貨を買いまくっていたことになる。

日本国内において、FXのレバレッジは25倍に規制されているが、それでもたった4%動けば、証拠金が100%無くなる計算。

そんな中で、40%にも匹敵する変動が襲って来た。

25倍×4%=100%

25倍×40%=1,000%

仮に25倍のレバレッジをかけて、従来のセオリー通り、
「スイスフランを売って他の通貨を買う」
をやっていたとしたら・・・。

何と、証拠金の10倍の損失が発生したことになる


ロスカット機能はどう働いたのか?

FX取引においては通常、証拠金の約80%が無くなれば、システムが強制的に取引を終了させるという
「ロスカット機能」がついている。

1ユーロ=1.2スイスフランを、レバレッジ25倍で他の通貨を買えば、

1ユーロ=1.17スイスフランくらいまでスイスフラン高になって、
損失が出る前にFX業者が勝手に他の通貨を売って、損失を証拠金の範囲内に収めてくれるという仕組みになっている。

けれど、今回は例外だった。

何せ、
1ユーロ=1.2スイスフランで取引されていたものが、
瞬間的に 1ユーロ=0.8スイスフラン
に変動してしまったのだから・・・。

流動性というものを、超越した変動の時には、ロスカット取引機能は働かない。

結果として、
1ユーロ=0.8スイスフラン
ベースでのロスカットのために、他の通貨を売ることになると

証拠金の何十倍もの損失になり、その損は全て、FX投資プレイヤーに対して、追加の証拠金という形で請求される。

証拠金100万円で、「ロスカット機能」もついているから
「安心・安全
と、余裕こいていたところ、

ある日突然、1,000万円もの追加請求がFX業者から来る。

中央銀行はイザとなれば、セオリーを簡単にひっくり返して来る。

「金融資本主義」の中では、中央銀行もゼロサムゲームの中で、勝利を狙っているプレイヤーの一人であるということだ。

僕たちの生まれ育った日本はどうだろうか?

日本銀行が行っている、量的質的金融緩和の先にあるのは何のか

日本銀行が、2014年の7月〜9月の間だけで、個人・法人・政府・銀行・年金・保険・・・
全プレイヤーが株・証券で兆単位で負けた中日本銀行だけが、17兆円も勝利している


僕たちは個人として、今後どのように考えればよいのだろうか?

深く考えさせられる事件だった。


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