マインドフルネス(瞑想)
日本でも近年、さまざまなメディアで取り上げられて広く知られるようになりました。
手軽に実践できる方法が受け入れられて欧米から流行し、日本にも上陸しました。
すでにグーグル、ナイキ、アップル、インテル、ゴールドマン・サックスといった名だたる企業が、
仕事の成果を上げるために、経営や社員教育の一環としてマインドフルネスを採用していま す。
医療分野でも、認知行動療法に続く、うつ病や不安障害などを改善する新たな心理療法として
活用が進んできました。
主に海外において、多岐にわたるマインドフルネスの臨床 研究が行われ、
科学的実証によって裏づけられたさまざまな効果が報告されており、
その可能性の大きさに期待が寄せられています。
仏教の経典の「サティ」の翻訳がマインドフルネスで、日本語では「気付き」
「心を留めておくこと」などと訳されます。
1960年代ベトナム戦争が 泥沼化し、米国で反戦運動や市民運動が発生し、
ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されるなど動乱の時代でした。
そうした状況下で、既存の制度や既成の価値観からの離脱を提唱するヒッピーと呼ばれる人々が、
米国からインドへと渡ります。
そこでサティと出合い、瞑想を実践 するようになったのです。
70年代になると、多くの人がこのサティを米国へ持ち帰ります。
その中で、米国人のジョン・カバット・ジン博士は、
欧米人にはなじみにくい仏教色をサティから取り除き、
現代的にアレンジした瞑想法「マインドフルネスストレス低減法」を開発しました。
これが、現在のマインドフルネスの原点です。
脳には、過去の後悔のネタを探し続けたり、未来の心配や不安の種を探したりという癖があります。
ネガティブな思考でストレスをため込んだ脳を休め、疲労感を解消させるには、このような脳の癖を断ち切る必要があります。
それを実現するのが、マインドフルネスです。
まず基本の瞑想法では、椅子に腰をかけて、手は膝に置き、
力を抜いたまま背筋を伸ばして姿勢を整えます。
次に、いったん肩をギューッと上げたら、ストンと落としましょう。
目を閉じて、鼻から息を吸って、口から細く吐き出しながら、
ただひたすら吸ったり吐いたりする息に集中してください。
雑念が浮かんできても、追いかけずに流します。
手順はたったこれだけです。
どこでも思い出したときにすぐに実践できます。