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2019年05月13日
脳の進化と基底核
最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
脳の進化と基底核
深層(古皮質)は生きている「生存」のための脳幹・脊髄,
中間層(旧皮質)は逞しく生きる「感情」を支える大脳辺縁系,
そして表層(新皮質)は旨く生きて行くための思考や創造など「理性」を支える大脳皮質である.
この三者の統合的な相互作用により高次脳機能が発揮される.
即ち,高次脳も生存や感情という古い脳を土台としている.
運動機能は,爬虫類における腹這運動(主に体幹運動)〜イヌ・ネコにおける四足歩行〜ヒトにおける二足歩行という過程で進化してきた.
この進化を支えているのが抗重力筋と姿勢制御機構の発達である.
この特徴はヒトにおける運動機能の生後発達においても認められる.
ヒトは生後1年数か月の間に二足歩行を獲得する.
そのプロセスは,頸部〜体幹〜下肢の伸展,体重の支持,そして姿勢制御に必要な神経機構の獲得でもある.
即ち二足歩行の獲得には,抗重力筋の発達と姿勢の制御が必須である.
パーキンソン病において歩行や姿勢反射,筋緊張の異常が出現することを考慮すると,基底核は抗重力筋活動や姿勢の制御に強く関わっていると考えられる.
爬虫類の古線条皮質(基底核の原型)と視葉(上丘に相当する)は眼球運動に関与する.
これらは視野に入る像がどこにあるのかを認知するシステムであり,
動くもの=餌という認知機能は爬虫類において既に存在しており,
古線条皮質の出力は脳幹を経由して眼球運動や捕食行動を発現させる[2, 3].
ヒトやサルなど高等な霊長類では大脳皮質が高度に発達し,
その過程で基底核は辺縁系や大脳皮質とも密な線維連絡を持つ様になった.
精神機能や高次脳機能の制御にはこれらの線維連絡が重要な役割を持つ[4].
即ち脳の進化に伴い,
基底核は脳幹に加えて辺縁系や大脳皮質の活動をも調節する様になり,
情動や繊細な運動機能,そして高次脳機能を制御する様になった.
このことは基底核疾患において運動障害のみならず,
精神障害や高次脳機能障害が誘発されることに反映される.
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座
高草木 薫
参考文献
1.MacLean PD, 1970. In the Neuroscience, Second
study program, Ed. Schmitt FO, Rockfeller Univ.
Press, New York, pp 336— 349, 1970.
2.Marin O, Smeets WJAJ & Gonzalez A : Evolution of
the basal ganglia in tetrapods : a new perspective
based on recent studies in amphibians. Trend Neurosci 21 : 487— 494, 1998.
3.Hikosaka O, Takikawa Y, Kawagoe R : Role of the
basal ganglia in the control of purposive saccadic eye
movements. Physiol Rev 80 : 953— 978, 2000.
4.Middleton FA & Strick PL : Basal ganglia and cerebellar loops : motor and cognitive circuits. Brain Res
Rev 31 : 236— 350, 2000.
脳の進化と基底核
深層(古皮質)は生きている「生存」のための脳幹・脊髄,
中間層(旧皮質)は逞しく生きる「感情」を支える大脳辺縁系,
そして表層(新皮質)は旨く生きて行くための思考や創造など「理性」を支える大脳皮質である.
この三者の統合的な相互作用により高次脳機能が発揮される.
即ち,高次脳も生存や感情という古い脳を土台としている.
運動機能は,爬虫類における腹這運動(主に体幹運動)〜イヌ・ネコにおける四足歩行〜ヒトにおける二足歩行という過程で進化してきた.
この進化を支えているのが抗重力筋と姿勢制御機構の発達である.
この特徴はヒトにおける運動機能の生後発達においても認められる.
ヒトは生後1年数か月の間に二足歩行を獲得する.
そのプロセスは,頸部〜体幹〜下肢の伸展,体重の支持,そして姿勢制御に必要な神経機構の獲得でもある.
即ち二足歩行の獲得には,抗重力筋の発達と姿勢の制御が必須である.
パーキンソン病において歩行や姿勢反射,筋緊張の異常が出現することを考慮すると,基底核は抗重力筋活動や姿勢の制御に強く関わっていると考えられる.
爬虫類の古線条皮質(基底核の原型)と視葉(上丘に相当する)は眼球運動に関与する.
これらは視野に入る像がどこにあるのかを認知するシステムであり,
動くもの=餌という認知機能は爬虫類において既に存在しており,
古線条皮質の出力は脳幹を経由して眼球運動や捕食行動を発現させる[2, 3].
ヒトやサルなど高等な霊長類では大脳皮質が高度に発達し,
その過程で基底核は辺縁系や大脳皮質とも密な線維連絡を持つ様になった.
精神機能や高次脳機能の制御にはこれらの線維連絡が重要な役割を持つ[4].
即ち脳の進化に伴い,
基底核は脳幹に加えて辺縁系や大脳皮質の活動をも調節する様になり,
情動や繊細な運動機能,そして高次脳機能を制御する様になった.
このことは基底核疾患において運動障害のみならず,
精神障害や高次脳機能障害が誘発されることに反映される.
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座
高草木 薫
参考文献
1.MacLean PD, 1970. In the Neuroscience, Second
study program, Ed. Schmitt FO, Rockfeller Univ.
Press, New York, pp 336— 349, 1970.
2.Marin O, Smeets WJAJ & Gonzalez A : Evolution of
the basal ganglia in tetrapods : a new perspective
based on recent studies in amphibians. Trend Neurosci 21 : 487— 494, 1998.
3.Hikosaka O, Takikawa Y, Kawagoe R : Role of the
basal ganglia in the control of purposive saccadic eye
movements. Physiol Rev 80 : 953— 978, 2000.
4.Middleton FA & Strick PL : Basal ganglia and cerebellar loops : motor and cognitive circuits. Brain Res
Rev 31 : 236— 350, 2000.