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2019年05月21日
4.基底核疾患のメカニズム?B
最終的には、心の働きの脳内メカニス?ムについて述べていきます。
4.基底核疾患のメカニズム?B
しかし,双方の治療上のコンセプトには根本的な違いがある.
前者は枯渇したドーパミンを補うことで基底核の機能を回復させることが主眼である.
後者は,基底核内の異常活動をinterventionし,過剰な基底核出力を低減させるのが目的である.
例えば,視床下核や淡蒼球内節の過剰な活動をブロックすれば,大脳皮質や脳幹の活動は回復し,
大脳皮質や脳幹のニューロンは正常の活動を取り戻すことができる.
しかし,基底核の活動を正常な状態に戻すことを目指してはいない.
楢林博士が用いた定位脳手術は、振戦に同期して発射する視床Vim核ニューロンを同定後,
直径2〜3mmの電気凝固巣を作成することにより(Thalamotomy)、振戦は消失しスムーズに円を描くことが出来るようになった[49].
近年,脳深部刺激法(Deep brain stimulation;DBS)が盛んに施行されている.
視床下核に50Hz〜200Hzの連続電気刺激を加え,
亢進しているニューロン活動をブロックするのがこの治療の目的である[50].
刺激頻度の増加に伴い,手の振るえは消失し,円を大きく,それもスムーズに描くことができる様になった[51].
前世紀の末よりドーパミン産生細胞の線条体内への移植治療[52]や
ドーパミンニューロンの保護[53]を視野に入れた新たな治療手法も考案されている.
その一方で,パーキンソン病の全ゲノムスクリーニングが終了し,
この疾患の発症には複数遺伝子が関与する証拠も提示された[54].
この疾患に対する遺伝子治療や,個々の患者の遺伝子型に合わせたオーダーメード治療も可能になる日が近いのかも知れない.
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座 高草木 薫
参考文献
49.楢林博太郎:パーキンソン病の研究を顧みて.In:錐体外路系への歩み.創造出版,pp 101— 109, 2001.
50.Marsden CD & Obeso JA : The function of the basal ganglia and the paradox of stereotaxic surgery in
Parkinson’s disease. Brain 117 : 877— 897, 1994.
51.谷口 真:脳深部刺激療法の現状.In:Parkinson病をめぐって.Clinical Neurosci 19 : 701— 703, 2001.
52.Studer L, Tabar, V & McKay RDG, 1998. Transplantation of expanded mesencephalic precursors leads to
recovery in parkinsonian rats. Nat Neurosci 1, 290—295, 1998.
53.Dawson TM & Dawson VL : Neuroprotective and neurorestorative strategies for Parkinson’s disease.
Nat Neurosci 5 : 1058— 1061, 2002.
54.Scott WK, Nance MA, Watts RL, Hubble JP, Koller WC, Lyons K, Pahwa R, Stern MB, Colcher A, Hiner
BC, Jankovic J, Ondo WG, Allen FH Jr, Goetz CG, Small GW, Masterman D, Mastaglia F, Laing NG, Stajich JM, Slotterbeck B, Booze MW, Ribble RC, Rampersaud E, West SG, Gibson RA, Middleton LT, Roses AD, Haines JL, Scott BL, Vance JM & Pericak-Vance MA : Complete genomic screen in Parkinson disease. JAMA 286 : 2239— 2244, 2001.
4.基底核疾患のメカニズム?B
しかし,双方の治療上のコンセプトには根本的な違いがある.
前者は枯渇したドーパミンを補うことで基底核の機能を回復させることが主眼である.
後者は,基底核内の異常活動をinterventionし,過剰な基底核出力を低減させるのが目的である.
例えば,視床下核や淡蒼球内節の過剰な活動をブロックすれば,大脳皮質や脳幹の活動は回復し,
大脳皮質や脳幹のニューロンは正常の活動を取り戻すことができる.
しかし,基底核の活動を正常な状態に戻すことを目指してはいない.
楢林博士が用いた定位脳手術は、振戦に同期して発射する視床Vim核ニューロンを同定後,
直径2〜3mmの電気凝固巣を作成することにより(Thalamotomy)、振戦は消失しスムーズに円を描くことが出来るようになった[49].
近年,脳深部刺激法(Deep brain stimulation;DBS)が盛んに施行されている.
視床下核に50Hz〜200Hzの連続電気刺激を加え,
亢進しているニューロン活動をブロックするのがこの治療の目的である[50].
刺激頻度の増加に伴い,手の振るえは消失し,円を大きく,それもスムーズに描くことができる様になった[51].
前世紀の末よりドーパミン産生細胞の線条体内への移植治療[52]や
ドーパミンニューロンの保護[53]を視野に入れた新たな治療手法も考案されている.
その一方で,パーキンソン病の全ゲノムスクリーニングが終了し,
この疾患の発症には複数遺伝子が関与する証拠も提示された[54].
この疾患に対する遺伝子治療や,個々の患者の遺伝子型に合わせたオーダーメード治療も可能になる日が近いのかも知れない.
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座 高草木 薫
参考文献
49.楢林博太郎:パーキンソン病の研究を顧みて.In:錐体外路系への歩み.創造出版,pp 101— 109, 2001.
50.Marsden CD & Obeso JA : The function of the basal ganglia and the paradox of stereotaxic surgery in
Parkinson’s disease. Brain 117 : 877— 897, 1994.
51.谷口 真:脳深部刺激療法の現状.In:Parkinson病をめぐって.Clinical Neurosci 19 : 701— 703, 2001.
52.Studer L, Tabar, V & McKay RDG, 1998. Transplantation of expanded mesencephalic precursors leads to
recovery in parkinsonian rats. Nat Neurosci 1, 290—295, 1998.
53.Dawson TM & Dawson VL : Neuroprotective and neurorestorative strategies for Parkinson’s disease.
Nat Neurosci 5 : 1058— 1061, 2002.
54.Scott WK, Nance MA, Watts RL, Hubble JP, Koller WC, Lyons K, Pahwa R, Stern MB, Colcher A, Hiner
BC, Jankovic J, Ondo WG, Allen FH Jr, Goetz CG, Small GW, Masterman D, Mastaglia F, Laing NG, Stajich JM, Slotterbeck B, Booze MW, Ribble RC, Rampersaud E, West SG, Gibson RA, Middleton LT, Roses AD, Haines JL, Scott BL, Vance JM & Pericak-Vance MA : Complete genomic screen in Parkinson disease. JAMA 286 : 2239— 2244, 2001.