サラ金に押し込み強盗が入り、従業員らを盾に立てこもりました。特命課の先発隊として現場を訪れた桜井刑事(藤岡弘、)は、独断で犯人説得のため店内に入り込み、なんと 犯人を射殺してしまったのです。
警察官の発砲なので正当防衛か緊急措置であるはずですが、警察関係者は誰も見ていません。査問委員会にかけられた桜井に対し、人質だった従業員らは「犯人は無抵抗だった」と不利な証言をするのです。
このドラマの大きなポイントは、当事者である 桜井本人がなぜ一言の弁明もしなかったのかを、同僚刑事が紐解いていくところにあります。とくに橘刑事(本郷功次郎)の丹念な検証ぶりが強く印象に残ります。
一番の味方であるはずの神代課長(二谷英明)は、査問する側の立場に居ましたので、真相解明の手助けは一切しません。憤る若い刑事たちに対し、橘は神代の言葉からヒントを得ることになるのです。
証言者は、警察への恨みや自己保身のため、嘘の証言をしていたことが明白になっていきます。そして、犯人と桜井の行動を全て見ることができた女性店員の存在が、謎に迫る大きなカギとなっていくのです。
女性は犯人に凌辱されていました。桜井はその事実を隠そうとして弁明を拒んでいたのです。真実に迫ろうとする橘らに対し、激しく拒絶反応を示す桜井。査問官でもある神代課長は、女性に対し証言を強く求めます。
その証言は衝撃的でした。結論から言えば、桜井の射殺は警察官に認められた正当な理由だったのです。ただ、桜井が願っていた「真実を隠し通すこと」はできなくなり、複雑な表情を見せたのでした。
ちなみに女性役を演じたのは、日活ロマンポルノで有名になった女優の 日向明子さんで、体を張った迫真の演技を見せてくれました。昭和の時代の深夜帯のドラマならではの作品だったとも言えるでしょう。
日向さんは2011年に病没されました。ご冥福をお祈りいたします。
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