特捜最前線には、社会派もしくは人情派のドラマが多いですが、この「東京,殺人ゲーム地図!」は、刑事物の原点である推理とサスペンスにあふれた 「正統派」とも言えるストーリーが展開されます。
連続通り魔事件を推理する叶刑事
東京都内で、女と男が交互に相次いで襲われる連続通り魔事件が発生します。特命課が捜査を開始しますが、その捜査をテレビで先読みしてしまう男が現れます。元警察官の犯罪研究家(小林昭二)です。
犯罪研究家は、通り魔事件を次々と予告していきます。その言動に苛立つ 叶刑事(夏夕介)は、犯罪研究家と直接対決しますが、「今の警察機構では、この犯罪は解明できない」と断言されてしまいます。
マスコミを通じて、現行刑法を改正し、戦前の特高警察を復活させろとの主張を繰り返す犯罪研究家。その間にも通り魔事件は続き、ついには警察官の拳銃が奪われ、被害者が射殺される事態になってしまうのです。
叶刑事は、通り魔事件には法則性があることに気づき、それが碁石を使った競技 「連珠」であることを見つけます。犯人は、女を黒石、男を白石に見立て、連珠の打ち手に沿った場所で事件を起こしていました。
おやっさんの協力で、次の打ち手、すなわち事件が予想される現場を探る特命課。そして、その場所に犯人が現れた瞬間、特命課は恐るべき犯罪者の上をいき、犯人を現行犯逮捕できたのです。
刑事ドラマの娯楽性とメッセージ性
この回は、純粋に刑事ドラマを楽しめるという点で、特捜最前線のなかでも傑作の一つに挙げられています。犯人の人間性の部分には全く触れず、冷徹な事件を繰り返す犯罪者としてクローズアップしました。
犯人たちの狙いは、警察機構を 戦前の特高警察のような強圧的な組織に戻すことにありました。犯人の一人は「現行法では、証拠がない私に一歩も触れられないだろう」と開き直る発言をするほどです。
それに対し、神代課長(二谷英明)は「現行法があるからこそ、人々の人権が守られ、警察は民主的でありえるのだ」とキッパリ言い切ります。これは、特捜最前線の肝になる部分であるともいえます。
刑事ドラマとして、事件を推理する娯楽性を持たせながら、同時に警察のあり方について一家言加えるストーリーは見事の一言に尽きます。メインライターの長坂秀佳氏の面目躍如といったところでしょう。
犯罪研究家役の 小林昭二さんは、ウルトラマンのムラマツキャップ、仮面ライダーの立花藤兵衛としてもお馴染みですが、ここで見せた威圧的かつ説得力あふれる演技が、ドラマを一層引き締めてくれました。
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