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2022年09月15日

私だけの特捜最前線→52「逮捕志願!〜手錠をかけられてお礼の言葉を口にする男性の真意とは」

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この話は、息子を殺した犯人だと名乗り、「逮捕してほしい」と訴える初老の男性に対し、 叶刑事(夏夕介)が状況証拠や物証を積み上げて、男性の犯罪を立証できるかというところに視点が置かれています。

事件は15年前に発生し、連続通り魔殺人事件の被害者の一人として、シンナー中毒の男に有罪判決が下っていました。男はこの事件も自供しており、すでに死亡しています。つまり「解決済み」だったのです。

初老の男性は「息子を通り魔の真似をして殺した」と主張します。最近、妻に先立たれ、今こそ自首すべき時と考えたのですが、所轄署は相手にしません。叶刑事は単独で事件の再捜査をしますが、困難を極めました。

男性を伴って何度も実況見分を行い、ついに有力な状況証拠を見つけ出します。しかし、神代課長(二谷英明)は「公判維持のためにも物証が必要だ」と指摘し、特命課全員で捜査にかかることになったのです。

そして、決め手となる物証も発見。息子と妻の墓前でハーモニカを吹き、手を合わせていた男性に、叶は手錠をかけます。男性は 「ありがとうございました」と頭を下げ、安どの表情を見せるのでした。

長坂脚本とワンチームの特命課

刑事ドラマでは、「犯人ではない」と訴える真犯人を追い詰めたり、逆に無実を証明したりというパターンがほとんどですが、 脚本の長坂秀佳氏は「犯行を立証することで男性を救う」というストーリーにしました。

長坂氏は、当時の公訴時効だった15年というタイムリミットを設定し、「時効になってしまうと男性は生きていないだろう」と叶に言わせることで、ドラマに切迫感を出させる演出をしていました。

厳しくも温かい 特命課のチームプレーも随所に見られます。状況証拠を示す叶に対し、「できる限り意地悪な見方でお前を否定する。それを打ち破る物証を持ってこい」と桜井刑事がゲキを飛ばすシーンが印象的です。

橘刑事は持ち前の地道で丹念な証拠探しに奔走し、紅林刑事は物証に対して悲観的になる叶に「あきらめるな」と励ましの言葉をかけます。特命課が神代課長を中心とした「ワンチーム」であることがわかります。

また、このドラマは何といっても、初老の男性役の 織本順吉さんの名演技なしには語れません。逮捕してもらえない歯がゆさや、息子や妻をいとおしく思う気持ちなど、哀愁漂う男の姿を見事に演じています。

幼い息子が好きだったというハーモニカのメロディーは、「鈴懸の径」という灰田勝彦さんが昭和17年に発売した歌だそうです。

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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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