特捜最前線の中でも屈指の 天才的犯罪者(梅野泰靖)が、さまざまなトリックや偽装工作をして、最終的には犯罪から逃れようとしますが、そのトリックを 橘刑事(本郷功次郎)が見事に暴いていくというドラマです。
脱獄し、証拠隠滅を図ろうとする男
男は過去、3人の妻を亡くしていますが、男の犯行だという立証ができず、不審死として処理されました。そして、4人目の妻である会社社長が、地震で落下した彫刻で頭を打って死亡する事故が発生します。
ところが、男は「自分が事故を装って殺した」と自首したのです。橘刑事は「今回だけ自首したのはなぜか」と疑い、その真意を探るため、男が収監された刑務所に犯罪者として潜入します。
橘は、男の一挙手一投足を観察し、彼が脱走する気であることを見抜きます。男は橘の推理通り、雨の日に高梯子を使って刑務所の壁をよじ登って逃げます。橘たちは男を追跡し、脱走の意図を見つけようとしました。
刑務所内で男は、事件の証拠品が残っていることに気づき、隠滅を図ろうとしたのです。それを見抜いた橘は、先手を打って男を逮捕しました。ところが、その証拠品は逆に男が無実であることを示す物証となったのです。
男には、裁判で無罪を勝ち取るための「切り札」があり、証拠品と 「切り札」がそろったことで、男と愛人関係にあった社長秘書が自白に追い込まれてしまいます。事件は一応決着がついたことになるのですが・・・
天才犯罪者VS橘刑事の頭脳戦
このドラマは 長坂秀佳脚本だけあって、非常に細かく練り上げられたストーリーになっています。とくに、一見不可解に見えて、実は計算し尽くした行動をする犯罪者の男と、橘との「頭脳戦」は非常に見ごたえがあります。
男の巧妙なトリックやアリバイ工作に対し、橘は難解なパズルを一つずつ解くように暴いていきます。しかし男は、二重三重のトリックを仕掛け、「自分が犯人ではない」証拠を積み上げていくのです。
狡猾な男のワナにかかり、おやっさん(船村刑事)までもが騙されるなど、特命課はあわや冤罪を犯すところでした。それでも橘は、男の矛盾点を丹念に捜査し、ついに「切り札」を崩す決定的な事実をつかむのでした。
秘書が自供した後、「してやったり」と声を殺した憎々しい笑いを見せる男。仮釈放された男を待ち受けていた橘のニヒルな表情。トリックを破ったクライマックスのシーン・・・どれも素晴らしかったです。
もちろん、頭脳犯を演じた梅野泰靖さんの演技が、ドラマを引き立てていたことは言うまでもありません。冒頭から橘刑事の本郷功次郎さんと対峙していたので、 ラストの「対決」シーンは見どころでしたね。
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