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2023年01月26日
私だけの特捜最前線→70「Gメン・波止場に消ゆ!〜桜井、高杉両刑事が潜入捜査で名コンビぶりを発揮」
※このコラムはネタバレがあります。
今回は初期のドラマより「Gメン・波止場に消ゆ!」を紹介します。この作品の主役は 桜井刑事(藤岡弘、)と 高杉刑事(西田敏行)で、二人が特命を受けて潜入捜査をするというストーリーです。
麻薬捜査官はどこへ?
1年前に消息を絶った麻薬捜査官の行方と、覚せい剤密売ルートの摘発という命令を受け、桜井刑事と高杉刑事は横須賀に入り、船員を名乗りながら潜入捜査を開始します。
高杉が密売の容疑で地元警察に逮捕されるという想定外の事態をかいくぐりながら、二人は密売組織と関係がある謎の男と、男が出入りする小料理屋の女にたどり着きます。
女を尾行した桜井は、潜伏していた捜査官を発見します。彼は組織に潜入したものの正体がバレ、瀕死のところを女に救われたのでした。捜査官の身分を捨て、今は組織の売人になっていました。
捜査官と高杉が組織に捕らわれたことを知り、桜井は女に謎の男を呼び出させます。男は3年前、組織に両親を殺された元刑事で、女は彼の妹でした。男は復讐のため、自ら組織の一味に加わっていたのです。
男は桜井に対し、地元警察の捜査課長が組織の幹部だと話し、自分の正体を捜査課長にバラせば黒幕が姿を現すだろうと、おとりになることを覚悟します。そして、妹と捜査官の行く末を託すのでした。
桜井と高杉の名コンビ
この作品の最大の見どころは、潜入捜査をする 桜井と高杉のコンビネーションにあります。とくに桜井が高杉のことを「陽さん」とファーストネーム(高杉の名前は陽三)で呼んでいるところが印象的です。
初期の桜井は、特命課ナンバー2のエリート警部でした。潜入捜査でコンビを組む相手はベテランのおやっさんでもなく、若い吉野や津上でもなく、たたき上げの苦労人である高杉だったのです。
桜井の潜入ぶりがスマートそのものなのに対し、高杉の方はコミカルで危なっかしく見えます。役柄以上に藤岡弘、さんと西田敏行さんという役者のキャラクターが存分に生かされている配役でした。
二人は対照的な面も見せます。捜査官を見つけた桜井は、彼の話を聞き「俺も同じ立場ならそうする」と同情的でしたが、高杉は「お前の生きざまは何だ。男の仕事を捨てたのか」と怒り、捜査官を殴りつけるのです。
そしてラスト。捜査官と妹を見送るシーンで、電車に乗り込んだ二人を追いかけて、足にけがを負っている高杉を桜井がおんぶして手を振る場面が描かれ、ほのぼのとしたエンディングを迎えるのです。
この作品では、謎の男役で 川地民夫さんが出演しています。特捜最前線のゲストとしては、「リミット1.5秒!」での桜井刑事との対決が印象に残っています。いずれ作品紹介したいと思います。
それから捜査官役は若き日の 小林稔侍さんが演じています。このころの小林さんは悪役も結構多かったのですが、のちに個性派俳優として大河ドラマをはじめ、数多くの作品でバイプレーヤーぶりを発揮されています。
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2023年01月19日
私だけの特捜最前線→69「死刑執行0秒前!〜おやっさんの真骨頂と言うべき人間ドラマ」
※このコラムはネタバレがあります。
今回紹介する 「死刑執行0秒前!」は、フィクション性の高い現実離れしたストーリーなのですが、特捜最前線の真骨頂でもある「人間ドラマ」の最高傑作の一つに挙げてもいい作品だと思います。
その主役となるのはおやっさんこと船村刑事(大滝秀治)。死刑の確定判決が出た死刑囚の無実を証明するために、真犯人と思われる同年代の男性に真実を語らせようと全精力を尽くすというのがドラマの肝となります。
死刑執行目前の男を救えるか?
死刑囚の罪状は、高利貸しをしていた家族4人を殺害した尊属殺人。事件から14年後、当時高利貸し一家が雇っていた用心棒の白骨死体が発見されたことから、船村は 「無実を証明する新証拠だ」と行動を開始します。
ところが、死刑執行まで1日しかなく、それまでに真犯人を突き止めなければならなくなります。特命課は半ば強引に男性を容疑者として連行しますが、当然のことながら男性は潔白を訴えるのです。
さらに、死刑囚を有罪にした検事(菅貫太郎)が特命課に立ちはだかり、有罪の決め手となった証拠をタテに「不当逮捕した男性を釈放しろ」と迫ります。神代課長は、男性を別の場所に移し取り調べ続行を命じます。
男性は、妻と死別後に別の女性と結婚し、娘のうちの一人は弁護士を目指して勉強中でした。妻は幼い我が子と無理心中したのですが、その原因は高利貸しから借金をしたことだったため、動機は十分あったのです。
ドラマの結論から書きますが、船村の執念の説諭によって男性は自供し、新しい物的証拠となる用心棒の死体を埋めた場所を指し示します。時あたかも死刑執行の直前で、死刑囚は無実が証明されたのでした。
大滝秀治さん演じる人間ドラマ
この作品には、特捜最前線らしい人間ドラマあふれるエッセンスがたくさんあります。その多くの部分を 名優・大滝秀治さんが演じることで、非常に印象的なシーンとなっているのです。
夜中にかけて長時間にわたる取り調べの途中、船村は「これが唯一の趣味」という煎茶を点てます。そのお茶は、船村自身も盆と正月しか飲まない貴重品で、それを男性に飲ませるのです。
このシーンの素晴らしいところは、船村自身がお茶を差し出すのではなく、若い津上刑事に代弁させていることです。船村が席を外していることもあり、恩着せがましさを感じさせない演出といえます。
ドラマのハイライトは、弁護士志望の娘が法律を盾に「不当監禁しているあなた方を逮捕できるんだ」といきり立つ前で、船村が「あなたと法律を論じているわけではない。心です」と語り始めるシーンです。
船村は「弁護とは、真実に目をつぶってごまかすことじゃない」と諭し、男性が葛藤する姿に「真実を語らせることが、お父さんを助けることになる」と訴えます。大滝さんの長ゼリフが見事な場面です。
死刑執行というタイムリミットに・・・
そして、単なる人間ドラマに終わらせないのが、 長坂秀佳脚本の醍醐味です。死刑執行という取り返しのつかないタイムリミットを設定し、船村はじめ特命課に緊張感を生み出しているのです。
男性がついに自白するシーン。並のドラマではここで一件落着にしてしまいがちですが、神代課長(二谷英明)は「自白だけでは死刑執行は止められない」と、視聴者の希望をバッサリ断ち切る言葉を吐くのです。
神代は「客観的な物的証拠によって、新事実を示す必要がある」と言い切ります。そこで、用心棒が発見された現場に男性を連れていき、男性に埋めた場所を自供させるというプロセスを踏んでいくことになります。
当時山林だった場所が宅地造成ですっかり変わってしまった現場。すでに死体が発見されているため、それを知っている吉野刑事や津上刑事は、タイムリミットに間に合わないと焦り、男性に示唆するよう求めます。
しかし船村は「あの人は一生懸命思い出そうとしている。それを信じて待つ」と語ります。本当は一番焦っていたのかもしれませんが、まるで自分に言い聞かせるかのように静かに見守ったのでした。
死刑執行をタイムリミットにするという脚本の性格上、 現実離れした部分が多々見受けられます。ただ、それはフィクションとしてとらえ、あまり重箱の隅をつつくようなことはしないほうがいいでしょう(苦笑)
それにしても、結果論として死刑囚は無実だったわけで、ストーリーとは別に重大な問題を突きつけたとも言えます。死刑執行された後で男性が真犯人と分かった時、いったいどうするつもりだったのでしょう?
起訴して死刑を求刑した検事、検察側の主張を認めて死刑判決を出した裁判所、そして死刑執行を命じた法務大臣・・・っと、これ以上書くと、死刑制度の根幹にかかわることになるので、深入りはやめておきます。
フィクションとして見れば、この作品は特捜の名作なのですから!
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2023年01月12日
私だけの特捜最前線→68「初指令・北北東へ急行せよ!〜これぞ特捜と言える地味ながら深みのあるストーリー」
※このコラムはネタバレがあります。
2023年の「私だけの特捜最前線」コラムのスタートは、初期の作品 「初指令・北北東へ急行せよ!」を紹介します。他の刑事ドラマでは見られない、これぞ特捜というエッセンスが詰まった作品です。
一家心中目前の夫婦は見つかるか?
正月の放送ということで、神代課長(二谷英明)宅で 「かるた会」を催すというほのぼのとした場面が登場します。船村刑事(大滝秀治)も、留守番の桜井刑事(藤岡弘、)に浮かれ気分で定時連絡しています。
課長宅を訪問する前、妻と娘と食事をした船村は、隣席で食事をした子連れの若い夫婦の忘れ物に気づき、届けるため自宅を訪れます。そこで、一家心中をほのめかす遺書を発見したのです。
忙しさにかまけ、所轄署のやる気のなさに怒りをぶつける船村を見ながら、神代は「ほかがやらないことをやる。でなければ、特命課を設けた意味がない」と言い切り、早速部下たちに夫婦探しを命じるのです。
忘れ物を探しに来た夫婦の子供を見つけるなど、地道な捜査で夫婦の足取りを追いかける刑事たち。心中の動機も、経営していた会社の清算のため、暴利のサラ金に手を出したからだと分かります。
あたりが暗くなる中で、船村は水門から川に飛び込もうとした夫婦を発見。生きることに絶望する夫婦に 「意気地がないことも時には罪になる」などと熱弁を振るい、思いとどまらせる船村でした。
神代課長と高杉刑事の印象的なシーン
このドラマは「一家心中を企てる夫婦を探す」という、事件ではない非常に地味なテーマを丹念に描いています。ドラマの中で、とくに印象に残ったシーンを二つ拾ってみたいと思います。
足取りを追う捜査で、夫婦が難民募金に全財産を寄付したことが判明します。どう思うか問われた玉井婦警(日夏紗斗子)は「人の善意が光ったみたいで感動した」と話しますが、神代の見方は違っていました。
「警察官は状況分析をすることが先だ」と言い、「人は金銭に執着があるうちは死なないが、それを捨てたということは、いよいよ死ぬ気になった」と語ります。 神代の洞察力を示すエピソードです。
夫婦から取り残される形になってしまった幼い兄と妹が、死ぬことを悟って泣いてしまうシーンがあります。そんな二人を見て、声を掛けずにはいられなくなったのが 高杉刑事(西田敏行)です。
子供たちに優しく寄り添い、一緒になって涙を流す高杉。西田さんだからこそ、この場面が生きてくるのです。人間ドラマの色彩が濃い作品に、ちょっとしたエッセンスを加えるのはさすがですね。
正月なので、ラストは「希望」に
特命課によって命長らえた夫婦は、待っていた子供たちを抱きしめます。その姿を見ながら船村は「これから、あの親子はどうなるのだろう。何もできない我々は無力だ」と複雑な表情を見せます。
そこに、かつて経営者の元で働いていた従業員が駆け付け、「今度は私たちが恩返しをする番。みんなで助け合いましょう」と励まします。船村も表情が緩み、妻と娘に朗報を知らせるのでした。
このドラマは1987年の正月に放送されました。社会派の特捜らしい重苦しいテーマを描いてきたわけですが、ラストに 「希望」をつなぐシーンを持ってきたところは見事でしたね。
ところで、夫婦役を演じたのは 上村香子さんと横光克彦さんです。横光さんは、のちに紅林刑事として、特命課のレギュラーとして登場します。もしかすると、テスト的な出演だったのかもしれません。
本年も特捜最前線コラム、よろしくお願いいたします。
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