レクサスGS モデル廃止 〜 2012年発売当時を振り返ってみました



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日本市場における第2世代目のレクサスGSには2012年1月に発売。
「品質やサービスはいい。しかし退屈だ、つまらない」と評される多かったレクサスのイメージを刷新するため開発された「GS」ですが、なんといっても「スピンドル・グリル」を本格採用したことが最大の功績と思います。

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まずは2011年4月に開催された「2011ニューヨーク・インターナショナル・オートショー」で、コンセプトカー「 LF-Gh 」が公開。
ダース・ベイダーやプレデター顔とも言われましたが、そのデザインは大変な衝撃を呼びました。

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2011年8月、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で初披露されたGSは多少現実的なデザインになりましたが、新たなデザインを感じさせ、レクサス第2世代の方向性を象徴するものでした。

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https://lexus.jp/news/eventreport/gs2011/


しかし、このGS発表会の夜、ジャーナリストを迎えての懇親会で「ペブルビーチの悔しい想い」と言われる出来事が発生します。
ペブルビーチの出来事については以下の記事や「THE PRIDE LEXUS LC500/LC500h」で読むことができます。
(このときのGS開発担当に、その後レクサスLCの開発主査、そして2020年5月現在、レクサスインターナショナルのトップ、佐藤恒治氏がいらっしゃったというのもまた運命的な出来事に思います)

▼Gazoo.com
https://gazoo.com/article/keyperson/170316.html

▼THE PRIDE LEXUS LC (楽天)


このGS発表会の直後から、レクサス「第3世代」に向けた動きがスタートするきっかけとなり、6年後にはレクサスLCが発売、9年後、レクサスGSはフルモデルチェンジが行われることなく、レクサスラインナップから姿を消すことになってしまったのは感慨深いものがあります。

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さて、逆風の中発売された「GS」ですが、レクサスの第2世代の先発かつプレミアムクラスモデルということで、新装備が数多く投入されています。


■12.3インチ大画面モニター

当時、量産車「世界最大」サイズのワイドモニターを備えたのは衝撃でした。
そこからすでにかなりの年月が経過しますが、未だにこのサイズを超える大きさのスクリーンはほとんどありません(ツインモニターなどは存在しますが・・・)
また、大型モニターの採用とあわせ、「水平基調」のひろ上がり感あるインテリアを採用するようになっています。

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■アナログクロック

レクサスブランドの象徴と言える、アナログクロックを搭載。(CT200hには未搭載)

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■ドライブセレクトモードスイッチ

第2世代レクサスではおなじみとなった、パワートレーン/トランスミッション/エアコン/サスペンションなどを統合制御するドライブセレクトモードスイッチが物理的に装備されました。第3世代では、メーターパネル横に移設されましたが、第2世代のようにセンターコンソールの近辺にある方が使いやすい、という声も多いですよね。


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■LDH(レクサスダイナミックハンドリングシステム)

 レクサスの切り札とされた4輪操舵(かつての「4WS」)を採用。
 後輪の切れ角を最大2度変動させることで最小回転半径を20〜30cmほど短縮する効果もあり、都心部の狭小道路でも駐車がしやすいというメリットも。従来の4WSに比べ違和感は大幅に低減したものので、やはり自分が想像している以上の以上に内側に入る感覚があり、違和感を覚える方も多いようで、その後IS350,RC350,LC,LSなどにも採用されますが未だに「違和感」という表現が聞かれるので、評価が難しいデバイスでもあります。
 レクサス第2世代では「LDH」の積極的な進化が期待されましたが、2020年現在も採用はごく一部の車種に留まるほか、FRモデルへの装備に限られるため、現在のレクサスの売れ筋モデルでは見かけることがないのが残念です。

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■レクサス専用プラットホームの開発

 従来はクラウンやISなどと共有していましたが、専用プラットホームを採用したことにより、GS450h/GS300hでも大容量のトランクスペースを確保したほか、ボディ剛性も大幅に強化(ガソリンモデルで、ねじり剛性+14%とのこと)

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しかしながら、2012年当時、ライバルである欧州車ではこのクラスでは珍しくなくなっていた以下の装備がないなど、当初から「出遅れ感」はありました。これらがリーマン・ショックでの開発研究費の削減なのかもしれません。


■モーメンタリー式ターン&ワイパースイッチの採用

操作後に必ず中立に戻る電気式のレバーを採用。慣れれば「ガチャ」という音がせず非常にスマートに操作できるが、ウィンカーの戻し方に不慣れなユーザーからの声が多かったのか第3世代レクサスでは不採用、従来どおりの「ガチャ」音が目立つアナログ式に回帰。個人的には残念です。

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■電動パーキングブレーキ/ブレーキホールド採用

欧州車では当たり前の装備となりつつあった電動パーキングブレーキ/ブレーキホールドを採用。全車速追従式のレーダークルーズコントロール機能とあわせ、高価格帯にみあった快適さを提供していました。
当時の日本車では珍しい装備でしたが、おかげでなんとかモデル末期までなんとか商品力を保てたといえるでしょう。

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■ソニックシルバーの開発

 第2世代GSを象徴するカラーとして、「ソニックシルバー」を開発。アルミフレークを平らに並べる新技術で、金属感が大変強い高品質な塗装です。最近のボディカラーではシルバー人気が激減しており、見かける頻度は減りましたが大変美しい高級車に見合ったボディカラーと思います。

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■ブレーキシステムに2ピース式ローター、高摩擦パッド採用

ローター部分とハット部分を分割し、熱変形の抑制、耐フェード製を向上させた、当時世界初の技術を採用、ハット部分はアルミ化し、ばね下重量の軽量化にも寄与。


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しかし2012年に発売した「GS」は一方で発売当時からすでに「時代遅れでは?」と思われる部分も見受けられました。
当時いくつかのメディアでは指摘されているものもありますが、当方が感じたのは具体的には以下の部分です。
後に改善されたものもありますが、この時点からすでにライバルの欧州車との差が出始めていたときで、特にアクティブセーフティ機能に関しては、レクサスはもともと幅広い車種でメーカーオプション設定を行っていましたので、この時「標準装備化」していれば流れは変わっていたのではと思うのですが、それは2015年「Lexus Safety System+」の登場まで待たねばなりませんでした。


■トランスミッションが「6AT」(※後に8ATを採用)

■ガソリンモデルにアイドリングストップ機能設定なし

■LEDターンシグナルランプ(ウィンカー)不採用(※MCで採用)

■ブラインドスポットモニター[BSM]の設定なし(※後に単品MOP採用)

■駆動用バッテリーにリチウムイオン電池不採用

■シンプルかつ一般的な2眼式アナログスピードメーター(オプティトロン)の採用

■むき出しのスイッチ類が非常に多く、意匠も平凡

■先進安全装備がすべてオプション(※MCでLexus Safety System+を採用)
 しかし、「ナイトビュー」、「ドライバーモニター式プリクラッシュセーフティシステム」はその後ブラッシュアップされることなく、廃止されたのは残念ですね・・・





さて、レクサスGSオーナーの中には、アリストの流れから初代「GS」に乗り換えされされた方も多くいらっしゃいましたと記憶しています。
あえてセルシオではなく、個性的な「アリスト」を選択され、そしてその流れを受け継ぎレクサス開業時に「GS」を選択。
しかし、残念ながら「レクサスGSのすべて」によるとレクサスGSの販売台数は期待通りにはいかなかったようです。

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反省を活かし、居住性の拡大、積載力の向上など、欧州車としっかり対抗できるモデルを目指し、セダンとしての基本性能を確立することをめざし、あえて「王道のセダン」を追求した第2世代レクサスGSですが、それと引き換え、アリスト時代からの個性が失われ、フォーマル感がでてしまった第2世代「GS」への食指が動かなかった方も多いようで、当時の「アリスト → 初代GS」イメージが断絶した第2世代GSに乗り換えされた方は私の知る範囲ではかなり減少した印象でした。

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また、リーマン・ショック後、ほどなくして日本では「アウディ」ブームが巻き起こりました。(今となっては信じられませんね・・・)

かくいう私もこの時代はアウディの先進的なデザインと先進安全装備の多くがフル装備された安心感に魅了され、「アウディ/A7」を選択しましたが、周囲のレクサスオーナーもレクサスのセダン(IS・GS・LS)から、他のブランドへ乗り換えされる方が増えた時期でした。

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レクサスには第2世代「GS」」発売以前に、レクサス「HS250h」やレクサス「CT200h」を発売し、新たなユーザを獲得。
SUVモデルである「RX」の人気も定着していましたが、従来のFR系プレミアムセダン愛好家の方を魅了するようなモデルに欠いていた時代でした。

当時、流行していた4ドアクーペ(メルセデスCLS、BMW6シリーズ、アウディA5、A7)やセダンから派生した「ワゴン」や「シューティングブレーク」といった派生ラインナップをもっておらず、すでにこの時、レクサス・セダンから他ブランドへの流出が始まっていたように思います。


そんな中、レクサスは王道のセダン、「第2世代目のGS」を満を持して発売するに至りました。
レクサスGSの販売が好調であれば、そこからの派生モデルも検討していた・・・というニュアンスも「新型LEXUS GSのすべて」の開発陣からのコメントから伺えることができますが、それが叶うことはありませんでした。


現時点での唯一の望みは、2020年末に発売が予定されている「トヨタ・MIRAI」の発売でしょうか。
新型MIURAIはTNGA「GA-L」プラットホームを使用したFR車ですが、販売数もそれほど期待できないでしょうから、兄弟車の開発が期待されることろですので、価格的にもレクサスGSの後継モデルがあるのであれば、電動化時代の2025年頃までには復活の可能性はあるのではないでしょうか?

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2020年05月25日

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