すっかり話題にならなくなって寂しさのある、レクサスのフラッグシップセダン「LS」(LS500/LS500h)
当初の評判が今一つであり、評判を落としたLSですが、その後ほほぼ毎年のたゆまぬ改良を行い、現行モデルはフラッグシップセダンにふさわしい乗り味や質感を備えるまでに進化したとの評価もある一方、インテリアの進化が止まっている(むしろ退化?)しているため、ライバルのフラッグシップサルーンと比べても競争力に欠けるのは残念なところです。
インテリアについても「日本の伝統」に通じる高級素材(ガラス細工、西陣織、プラチナ箔を使用するなど、他のモデルとは差別化が行われています。
一方で、テクノロジーという面では、欧州車のフラッグシップモデルのような最先端の装備やデバイスがなく、目新しさや驚きがないのは残念なところ。
現行LS(2024年モデル)は2023年10月に改良が発表されており、そろそろ1年が経過しようとしています。
https://global.toyota/jp/newsroom/lexus/39828662.html
当時の話題は 「12.3インチフル液晶スピードメーター」 の採用、Lexus Safety System+3.0の採用、ボディ剛性の追加、乗り心地の進化、ホイール締結方式の変更、後輪操舵の全車標準採用など、「12.3インチフル液晶スピードメーター」以外は見た目の変化はほとんどなく、基本性能の向上がメインの比較的地味な改良でした。
特に、LSならではのデバイスであった「Lexus Safety System+A」の進化が事実上ストップしてしまい、他車種にも展開されなかったこことは残念でなりません。
また、見た目の変更点がほぼないため、販売店でも展示車や試乗車が入れ替えされることも少なく(少なくとも新規にショールームにLSを展示したという店舗は殆ど無いのでは・・・)そのため、最新の「LS500/LS500h」を目にする機会がなかなかありませんし、当初の「悪評」がくつがえらないままモデル末期を迎えてしまった感があるのは非常に残念です。
レクサスインターナショナルギャラリー青山やミッドランドスクエアのレクサスショールームにも、「LS」が展示されることはめったにないんですよね・・・
さて、今回いただいたコメントからわかったことですが、レクサスLS500には、 密かに独自装備が消失していること が判明しました。
ニュースリリースにも直接的な説明がないため、非常にわかりづらく、当方もうっかり見過ごしていました。
■電動アクティブスタビライザーの廃止
■レクサスダイナミックハンドリングシステム(LDH)の呼称変更
▼2017年モデル当初のカタログ内容
▼現行LS(2024年モデル)のカタログ内容
「LDH」と「アクティブスタビライザー」の内容がまるまる消されています・・・
なお、これにより、「LS500”F SPORT”」は 価格が値下がりしている のも特徴です。(約38万円)
LS500 ”F SPORT”2023年モデルの価格は以下のとおり、FRモデルとAWDモデルの価格差は「10万円」ちょうどです。
他のモデル(ベースグレード、"version.L"、”EXECUTIVE”では、FRモデルとAWDモデルの価格差は「41万円」でしたので、約「31万円」は電動アクティブスタビライザー相当の価格差といえます。
■2023年モデル
LS500”F SPORT”(FRモデル):12,410,000円
LS500”F SPORT”(AWDモデル):12,510,000円
以下の通り、2024年モデルでは基本的に「15万円」値上げしていますが、”F SPORT”のみ23万円値下げしています(価格差が前述のとおり、
「38万円」となりました)
■2024年モデル
LS500”F SPORT”(FRモデル):12,180,000円(▲23万円ダウン)
LS500”F SPORT”(AWDモデル):12,660,000円(+15万円アップ)
「LS500 F SPORT(FRモデル)」は、後輪操舵である「LDH」と、 電動アクティブスタビライザー を統合制御して、極力フラットな車両姿勢を維持するような仕様とされています。
「電動アクティブスタビライザー」は2006年発売の「GS450h」に標準搭載されてから、LS600h、その後「RX450h」(初代)に搭載されるなど、ハイブリッドシステムの中でもスポーティモデルに装着されてきました。
その後、他のモデルでは採用されることがなく、2017年発売の現行「LS500”F SPORT”」にて復活したと記憶しています。
ここ最近のレクサス車は、「IS350」での「LDH」廃止、RCFでの「TVD」廃止など、電動式での操舵系のシステムを初期モデルでは採用するも、 後期モデルでは廃止される 、ということを繰り返しています。また、これらのシステムはどれも高価で(「LDH」は約15万〜20万、「TVD」は約40万、電動アクティブスタビライザーは約40万といったところ)採用される数も少ないので、コストの低減もなかなか起きにくいのでしょう。
レクサス「LS500 ”F SPORT”」も同様で、2017年発売モデルでは採用されたものの、熟成が進んだ2024年モデルでは「廃止」ということとなりました。
おそらく後期モデルでは、走りや乗り心地などクルマとしての基本性能の熟成が進んだため、 このような「飛び道具」がなくても十分なクオリティになっ たということなのかと思いますが、一方で、トヨタブランドでは(高価なため)なかなか採用されない、このような高額な「飛び道具」を採用しているのがレクサス車の特徴でもありました。
「LDH」(レクサスダイナミックハンドリングシステム)というネーミングについても、トヨタブランドの新型クラウン(クロスオーバー)で「DRS」が採用されて以降、後輪操舵はレクサス車専売ではなくなったということもあり、新型レクサス「RX500h」では、ついに「LDH」という名称を廃止して、一般的な名称である「DRS」(ダイナミックリヤステアリング)と名乗るようになりました。
ここ最近、トヨタブランド者とレクサスブランド車での「機能面の差別化」の少なさが特に顕著となり、不満と感じる方も増えてきているかと思います。
確かにレクサス車は、トヨタブランド車よりも塗装品質や、内装の樹脂の質感、シートとトリムの縫製クオリティなど、ちょっとしたことではありますがクオリティの差は明確にあります。
しかしながら目立った装備品においては、「ブレードスキャン式AHS」や、一部の「L」シリーズに備わる車種専用装備ぐらいしか差別化がなくなってきています。
その点はでは、今回レクサス「LS500 ”F SPORT”」において、電動アクティブスタビライザーが廃止されたこと、「LDH」のネーミングが使用されなくなったこと(現在、LDHのネーミングを採用しているのはレクサス「RC350」と「LC」のみです)は非常に寂しさを覚えました。
特にメディアでも言及されているのも見たことがありませんが、2024年モデルの「LS500”F SPORT”」がどう変わったのかも興味深いものです。
久々に試乗してみたくなりました・・・
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