賞 金上げても…振るわぬ宝くじ販売 10年で2割減
「投資」に堅実志向 販売網も縮小
日経WEB刊2017/7/22 23:30
宝くじの売れ行きが振るわない。総務省によると、2016年度の売り上げは18年ぶりの8千億円台となり、ピークの05年度から23%減った。最高賞金引き上げやインターネット販売の導入といったてこ入れも不発気味。自治体財政を助ける打ち出の小づちは存在感が薄くなっている。
「発売初日は天候不良でお客さんは少なかったけど、いまはボチボチ」。20日、東京都心の宝くじ販売店。全国で一斉発売した「サマージャンボ宝くじ」の客足を販売員に聞いた。
16年度の売上額は8452億円。賞金は上がったのに売り上げは伸びない。販売網も縮小し、06年に4744軒あった専業販売店は3560軒。販売員の高齢化や再開発に伴う駅前立地の閉店が響く。店舗減を補うネット販売も力不足だ。口座引き落としのみでクレジットカード決済に対応できていない。
日経WEB刊
一獲千金より堅実さを重んじる消費者志向も背景に(7日、「サマージャンボ宝くじ」のPR)
最近の投資家は一獲千金より堅実さを重んじる。少額投資非課税制度(NISA)など長期投資の利点が意識され、宝くじも賞金は低めでも当たりやすい方がいいと思う人が多い。
当たってもうまみは乏しい。1枚300円のくじで戻りは平均150円。リターンはマイナス50%だ。東証1部全銘柄の配当利回り(加重平均)は約2%。上場投資信託(ETF)には分配金利回りが10%を超えるものもある。
高い公益性という看板もかすみがちだ。宝くじの収益金は発売元自治体の財源となり、公共工事や福祉事業などに回る。「震災復興」などと銘打つくじの売れ行きはよいが、最近ではふるさと納税が急伸。16年度納税額は2844億円と存在感を高める。
高市早苗総務相は「消費者目線でくじの魅力を高める」と話す。だが、カジノもライバルになりそうで、宝くじ再興の切り札はみえない。
【このカテゴリーの最新記事】