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2018年11月06日

11月6日は何に陽(ひ)が当たったか?

Supertramp( スーパートランプ)のシングル、" It's Raining Again(邦題: イッツ・レイニング・アゲイン)"が、メインストリームロックチャート(当時はRock Albums and Top Tracks)で2週目にしてTop10入りを果たし、Billboard HOT100シングルチャートでも2週目にして29位とTop30入りを果たした日です。メンバーの Roger Hodgson( ロジャー・ホジソン。vo,key,gtr)がリード・ヴォーカルをとったナンバーとしては、最後のTop40入りヒットとなりました。

 "It's Raining Again"は、1982年10月7日リリースの7枚目スタジオ・アルバムで、Roger Hodgsonがソロ活動に専念するために最後に参加したアルバムとなりました、" ...Famous Last Words...(邦題: フェイマス・ラスト・ワーズ)"からの先行シングルで、数あるSupertrampのトラックの中でも年齢層を問わず馴染める非常にポップな名曲です。

 1979年の前スタジオ作" Breakfast in America(邦題: ブレックファスト・イン・アメリカ)"でポップな音作りにサウンド転換して全米で大成功を収め、1980年に2枚組ライブ・アルバム" Paris(邦題: ライブ・イン・パリ)"で一区切りを付けたSupertrampは、この2作同様、 Peter Hendersonをプロデューサーに迎え、グループと共同で本作"...Famous Last Words..."を創り上げました。"Breakfast in America"の流れを汲んだポップなサウンドですが、本作ではメンバーのサックス/クラリネット奏者の John Helliwell( ジョン・ヘリウェル)がシンセサイザーを担当したり、アメリカの有名なロック・グループ、 Heart( ハート)の看板メンバーであるAnnとNancyのWilson姉妹がバック・ヴォーカルに参加したりなどのアクセントを設けて、前作以上の意気込みを見せています。ポップな楽曲がズラリと並ぶ中、3曲目に収録されたRoger Hodgson作の"It's Raining Again"がリリースされました。

 "It's Raining Again"といえば、映画風に作られたプロモーション・ビデオが個人的にも興味深く、メンバーも脇役として出演しています。雨で多くの人が傘をさして並ぶ中を、ズタボロになった主演男優が傘を投げ捨て、ようやく会えた女性と雨の中で抱き合うシーンは、エンディングのサックスと、この楽曲のエンディングに導入していた、童謡の"It's Raining, It's Pouring"が非常にマッチして親しみやすいです(ラブシーンは絵的に濃厚にはなりますが...)。この作品は、多くのアーチストのプロモーション・ビデオを手掛け、近年では"Resident Evil: Extinction(邦題:バイオハザードIII)"の監督でも知られるRussell Mulcahy(ラッセル・マルケイ)が監督をつとめています(映像は こちら YouTube より)。

 前述の通り、この曲のエンディングはJohnのサックス、"It's Raining, It's Pouring"の導入と、非常に効果的な盛り上げ方をして、耳にも心にも残る作品として長く愛聴しておりますが、この曲の凄い所は、Rogerの肺活量です。エンディングに入る前の最後の歌詞、"Oh, fill your heart again..."の"again"をかなり長く伸ばして歌っているのですが、かつてこの曲もカラオケがありまして、歌ってみても必ず途中で息が止まります。歌ってみると分かります。それだけにRogerのヴォーカル力は凄まじいものがあるのです。この曲はRoger作と前述しましたが、実際はもう一人の看板ヴォーカリスト、 Rick Davis( リック・デイヴィス。vo,key)との共作なのですが、チャート・インした時のアーチスト・クレジットが、"Supertramp Featuring Roger Hodgson"となっており、グループ脱退を表明したRogerに対する、メンバーの思いがあらわれております。

 さて、陽の当たった1982年11月6日、Rock Albums and Top Tracksチャートでは、前週に33位にエントリーした"It's Raining Again"は、同日付である2週目にして、いっきに7位にジャンプ・アップしました。しかしこれがどういうわけかこの7位が最高位となってしまいました。ロック・チャートは昇降が激しく、アルバム・リリース時には他の注目トラックも次々とチャートインするので(確かにこの時期は"Crazy"、"Waiting So Long"、そして"Don't Leave Me Now"、"My Kind of Lady"なども合わせて同時チャートインしていました)、なかなか安定しないアクションではあるのですが、翌週以降は10位→10位→17位→23位→14位→12位→23位→23位→23位→58位→41位→37位→60位→圏外とアクションを起こし、結果15週チャートインしました。
 HOT100でも陽の当たった11月6日は2週目で29位でした。2週目でTop30入りは見事ですが、前週は31位という、Top40内でのニュー・エントリーで、上位進出も期待できる登場ぶりでした。2週目で2ランク・アップ、翌週で25位→22位と地味な動きでしたが、次に14位と8ランク上昇し、やはりハイエストエントリー曲ならではのアクションが期待できるかと思いきや、次に13位、そして1982年12月11日付で11位を記録すると、年末年始のゆったりアクションがいちおう奏功し、4週連続で11位を記録する結果になり、その後は下降して結果13週のチャートインに終わりました。しかしSupertrampにとってこの"It's Raining Again"は、"The Logical Song(6位)"、"Take The Long Way Home(10位)"に次ぐハイ・ポジションですので、堂々と誇れるグループの代表曲であります。Billboard Adult Contemporaryチャートでは5位、Billboardではありませんが、全米Cash Boxのシングルチャートでは7位とTop10入り、ドイツのシングルチャートでは3位、スイスのシングルチャートでは2位、ライブアルバムで好評を得たフランスのIFOPシングルチャートでは見事1位と、大健闘しています。

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