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2018年06月23日

6月23日は何に陽(ひ)が当たったか?

Peter Cetera(ピーター・セテラ)のセカンド・ソロ・アルバム" Solitude/Solitaire(邦題: ソリテュード~ソリティア)"がリリースされた日です。Billboard200アルバムチャートで23位まで上がり、プラチナ・ディスクに認定されました。
 ピーターは、1967年から前年の1985年までアメリカのブラスロックバンド、 Chicago( シカゴ)のベースとテノール・パートのヴォーカルを担当、その声は非常に美しく、後に" ミスター・ミリオンダラー・ボイス"の異名をとるほどにまで有名になりました。
 ピーターのソロ第1弾" Peter Cetera(邦題:夢のライムライト)"は在籍時の1981年末にリリースされ、ロックを全面に押し出した邦題タイトル曲"Livin' in the Limelight"もシングルカットされましたが、アルバムは全米143位を記録、シングルヒットは全米メインストリームロックチャートでは健闘しますが(6位)、他ではチャートインしませんでした。
 この頃ピーターが在籍していたシカゴは売れ行きが悪く、特に1978年、ギタリスト兼、メンバーの Robert Lamm(ロバート・ラム。key)とともにバリトン・パートのヴォーカル担当である Terry Kath(テリー・キャス)を事故で亡くして以降、Phil Ramone(フィル・ラモーン)やTom Dowd(トム・ダウド)といった敏腕プロデューサーを迎えて78年から80年に3作スタジオアルバムをリリースするのですが、往年の輝きを取り戻すことができませんでした。こうした状況でピーターはソロ活動を始動したわけでしたが、ソロ1作目は、グループ同様勢いは出ませんでした。
 これまでシカゴ在籍時も1976年のアルバム" Chicago X(邦題:カリブの旋風)"収録の"I f You Leave Me Now(邦題: 愛ある別れ)"や、1977年の" Chicago XI(邦題:シカゴXI)"収録の" Baby What A Big Surprise(邦題: 朝もやの二人)"といったパワー・バラードを自身で創り、自らヴォーカルをとり、前者は全米シングルチャート(Billboard HOT100)で1位、後者は4位を記録するヒットとなり、ブラスセクションでインプロビゼーションを効かせた、劇的な音楽を特徴にしていたシカゴが、そのブラス・ロックでの創作に関心が失せていたピーターの台頭で、アダルト・コンテンポラリー・ポップスに傾倒しかける途上でありました。
 1982年、転機が訪れます。シカゴはレーベルをコロンビアからワーナー(フル・ムーン)に移籍して、プロデューサーにカナダ人の David Foster( デヴィッド・フォスター)を迎えて1982年" Chicago16(邦題: ラヴ・ミー・トゥモロウ。全米9位)"、1984年" Chicago17(邦題: シカゴ17。全米4位)"をリリースしました。この2枚はピーターとデヴィッドが"ブラス・ロックのシカゴ"から"パワー・バラードのシカゴ"に変化し、" Hard to Say I'm Sorry(邦題: 素直になれなくて。全米1位)"、" Love Me Tomorrow(邦題: ラブ・ミー・トゥモロウ。全米22位)"、" You're the Inspiration( 君こそすべて。全米3位)"といったピーターとデヴィッドが中心となって創ったナンバーが大ヒットとなりました。シカゴはバラード・バンドとしてその地位を確立し、完全なカムバックを遂げたのです。
 ところが1985年、ピーターはグループとソロの活動を並行する希望をグループに告げますが、メンバーに拒否されて脱退を決めます。シカゴを脱退したピーターは、チャリティ・アルバム"We Are The World(ウィ・アー・ザ・ワールド。1985年)"をQuincy Jones(クィンシー・ジョーンズ)と共同でプロデュースしたことのある Michael Omartian(マイケル・オマーティアン)をプロデューサーに迎え、レコーディングに取りかかりました。
 収録される曲の中には、ピーターと元妻Diane Nini、そしてデヴィッドの共作で完成したバラード" Glory of Love(邦題: グローリー・オブ・ラブ)"があり、映画" The Karate Kid Part II(邦題: ベストキッド2)"の主題曲にも選ばれました。
 陽の当たった1986年6月23日にリリースされたピーター待望のソロ第2弾、" Solitude/Solitaire"は、日本版の肩書きには" たった一人のシカゴ"と記され、日本でもシカゴ脱退のショックとソロ・アルバムの期待が入り混じっていました。同アルバムから、前述の" Glory of Love"が見事8月2日と9日の2週連続1位を獲得し、全英でもUKチャート3位を記録しました。勢いは止まらずBobby Caldwell(ボビー・コールドウェル)の作で、 Amy Grant( エイミー・グラント)とのデュエットでセカンドシングルに選ばれたバラード、" The Next Time I Fall(邦題: ネクスト・タイム)"も同年12月6日付で1位を記録し、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート(ACチャート)も両曲は1位を獲得、ついにピーターはソロとしても大成功を収めたのです。他、"Big Mistake"、"Only Love Knows Why"もシングルカットされました。
 ピーターが抜けたシカゴは、新たに Jason Scheff(ジェイソン・シェフ。vo,key)をメンバーに迎え入れ、これまでピーターが担当していたベースとヴォーカル・パートを受け持ちます。シカゴの次作の音楽路線は再びデヴィッド・フォスターに委ねられ、" Chicago18(邦題: シカゴ18)"は完成します。ジェイソンがヴォーカルをとる2曲のバラード" Will You Still Love Me(邦題: スティル・ラブ・ミー。全米3位)"と"I f She Would Have Been Faithful...(邦題: フェイスフル。全米17位)"はシングル・カットされて大ヒットしますが、皮肉にもファースト・シングルに選ばれた、ピーター在籍時のリメイク・ヴァージョンである" 25 or 6 to 4(邦題: 長い夜)"はトップ40に入らず(48位。なおオリジナルは4位を記録)、アルバムも全米35位と、残念ながらピーターの大成功に肩を並べるほどにはなりませんでした。




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