前回に引き続き、 ゆめにっきの考察 を整理・紹介していきます!
今回は扉の世界の後半、 壁画の世界〜森の世界 まで。よろしくどうぞ!
(2022/03/21 追記:下水道、バラック集落)
壁画の世界
どこかの民族風な壁画が点在するフロア。やや神聖にも感じられる場所ですが、考察の材料には乏しくほとんど手が付けられていません。
ただし、ここに置かれた 「ロングヘアー」 や 「ブロンド」 のエフェクトには一定の解釈が生まれています。
ロングヘアー・ブロンド
どちらも窓付きの髪型を変化させるエフェクト。 変身願望の表れ ではないかと言われています。髪型でイメージチェンジする人がいるように、窓付きも「自分を変えたい」と思っていたのかもしれません。
追記:髪と同じくらい全面的に描かれている口について、「文句」や「陰口」など負のイメージがあるのでは?とも思いました。
変わりたくても変われない、そんな理由がそこにあるのかもしれません。
血だまり
髪エフェクトの近くに広がる血だまり。エンディングで見られるものと同じで、 窓付きの死 を表しているのでは…とも考えられます。
ただロングヘアーやブロンド付近のものについては重く捉えすぎず、 変身願望の裏付け として見る方が無難かな。今までの自分を殺し、新しい自分に生まれ変わりたかったのかも。変身願望って、要はそういうことですよね。
ウンコヘアー
場所は違いますが、髪型に関するエフェクトとしてもうひとつ獲得するもの。そしてここにも上記と同じ血だまりがあります。
状況としては似たようにも見えますが、その実は全くの別物ではないでしょうか。というのも、ウンコヘアーの効果に 「ハエがたかる」 というマイナス要素があるからです。
嫌がらせ、それも 具体的な経験が絡んでいる 可能性まであります。とすれば、ここに限って血だまりが表すのは概念的なものではなく、もっと実体のあるものだったと言えそうです。「自殺を意識した」もしくは、 「心が死んだ」 ような…。
下水道
壁画の世界から繋がるフロア。現実との関連性が低く、解釈の曖昧な領域です。さすがに下水道へ入るというのは現実的ではなく、窓付きにとっても イメージから関連付けられた架空の場所 に過ぎないかもしれません。
暗くてじめじめしていて不気味、なおかつ不衛生で不快…そんなイメージかな。正体不明の生物や刺しても死なないスライムなど、自分の力が及ばない何か、 得体の知れない不安や恐怖 を表していた可能性もありそうです。
【追記】 コメントにて頂きました!ありがとうございます!
下水道のマップについて、 「工場」 や 「製鉄所」 のイメージを水道設備などに置き換えた世界ではないかという考察を頂戴しました。壁に掛けてある絵は、そこで 障碍を負った人たち を表したものだろうと。その絵が表す表情や体の形状には、その要素が見受けられるのだそうです。
たとえば、体の形状。
ぐちゃぐちゃになっているのは、機械に巻き込まれた痕。溶け出しているようなものは、アルカリ性の洗浄液によるもの。 工場で起こり得る災害に合致する というわけですね。また片腕を挙げている様子に、"障碍"というものを強く感じたそうです。
また「工場」という考察からは、「バラック」への関連も出てきています。(バラックの項目にも追記あり)
ゆめにっきに登場するバラックは、 工場で障碍を負った人々の集落 なのではないかということ。
そしてこの一連の流れには、 貧困・暴力・恐怖・死 のイメージが紐付いている。窓付き自身に直接の関係があったかは分かりませんが、私としてはそこに共鳴するものを見たのかもしれないと感じています。その世界の中に、自分を見たのかもしれませんね。
この辺りは私に全く見識なく想像も付きませんでしたが…まるでピッタリと当てはまるようで、驚いています。恐ろしいことですが、否定はできないというか…。視界の片隅にあるようで、何も知らないままの世界でした。ゆめにっきの中に留まらず、私自身にひとつの世界が広がったような気がしています。
貴重なご意見・情報、本当にありがとうございました!ゆめにっきの中にある世界の数々と、まだ見ぬ現実の世界に驚かされつつ、感動を覚えます。本当にありがとう。
腹の中
下水道の先に広がる世界。何者かの口から入る場所ゆえに「腹の中」なのか、あるいは 窓付き自身の「腹の中」 ———本音の中なのか…どうなんでしょう。
暗く重たくギスギスした空間で、後者だとすれば窓付きの精神状態をいたく考えさせられますね。
雪の世界
ゆめにっきの中では珍しく、穏やかで可愛くも綺麗な世界。考察はほとんどされていませんが、そこまでマイナスなイメージはなさそう。
ただ寒さという要素に、 心的な心細さ を解釈している説はありました。確かに、一理ありそうですね。とは言え、個人的にはそこまで悲観している部分ではないような気がしています。
かまくら子
何の反応もなく、ただひたすらに眠っているだけの少女。不穏なゆめにっきをプレイしていればむしろ安心感さえ覚える存在ですが、考えれば考えるほど、そうではないかもしれません。
と言うのも、話しかけても反応が無かったことについて「窓付きの状況に気が付かない」もしくは 「見てみぬフリをしている」 とも考えられるからです。
よく言えば、 中立を保っていた人物。 窓付きにしてみれば、寂しい気持ちはありつつも、恨みや敵意を抱く相手ではなかったんだろうと解釈します。夢の中で人間の形をしている時点で、大きな障害ではなかったんじゃないかな。
ただ、プラスでもなかったという結論にはなりそうです。
浅瀬
ピンク一面の夢色世界。一見ふわふわして可愛らしいようにも見えますが、どこか 不安定で崩れてしまいそうな危うさ も感じられます。
その不穏さが、先に待つポニ子とウボアの展開を予兆しているのかもしれませんね。窓付き自身、どこかで感じ取っていた可能性も…あるいは。
ポニ子
浅瀬の家?に居る女の子。可愛らしい部屋に窓付きと同じくらいの背丈、ごく普通の女の子らしい容姿をしています。
しっかり人間らしく描かれているところを見ると、 窓付きにとって近しい相手かつ前向きな印象を抱く相手 だったのではないでしょうか。
しかし、ポニ子との関係は決して穏やかではありません。 部屋のスイッチを消す ことから、その世界は一変します。部屋の至るところに顔が浮かび上がり、少女の姿は不気味な物体へ…
ウボア
ポニ子の部屋の電気を消すことで表れる何か。ポニ子の姿が消え、代わりのように表れるウボアは、 ポニ子と表裏一体の関係 にあると考えられます。
では、具体的にどのような関係があったのでしょうか?これには大きく2つの説が見受けられました。
?@窓付きの子ども(親子説)
?A窓付きの友達(友人説)
【親子説】
ポニ子を窓付きの子どもと解釈する一説。浅瀬のマップを窓付きの胎内とし、そこから繋がって、ポニ子を 窓付きの胎児 と見ます。この場合にウボアが表すのは、 堕胎。
堕胎によるショックやポニ子への罪悪感のようなものが、あの絶望的で恐ろしい空間を作り出したのかも?
【友人説】
ポニ子について、 もともと窓付きの友達だった と見る一説。それが、ふとしたキッカケで恐ろしい何かに逆転してしまった…と解釈します。
考えられる可能性としては、 「ポニ子が窓付きを裏切った」 もしくは 「窓付きがポニ子を裏切った」 という2つが有力でしょうか。
この2択であれば、個人的には前者かなと思います。ウボアの 笑っているような表情 を見ると…悪意がありそうで。ウボアに変わる瞬間の衝撃や恐怖感を取っても、「窓付きが裏切ったことによる罪悪感」では足りないんじゃないかな…。
【個人的な結論】
いずれの説にしても衝撃的な事件があったことに変わりなく、可能性としては考えられそうです。が、個人的なところを言うとすれば、 友人説 の方が馴染み良いような。
というのも、 ポニ子の容姿があまりにも窓付きと並んでいる から。胎児とするにはあまりにも、輪郭がはっきりしすぎているように思います。先々の成長を思い描くにしても、あそこまで具体的にイメージを作り上げるのは不自然じゃないでしょうか。故に、友人説を推します。
また個人的な見解にはなりますが、ウボアに触れたときのクシャ現象について 「裏切った相手への拒絶」、「裏切られたことへの否定・反発」 ではないかと推察しています。現実に拒絶を示したというよりは、夢の中ではせめて対抗したい…そんな気持ちなのかなと。
そしてウボアからワープする白黒の世界…これは文字通り 窓付きの何かが色を失った ものと捉えます。終わりのないループにはまり込むのも、 絶望的な状態に迷い込んだ と言えそうです。
ちなみに…
ポニ子がウボアに変わってしまう背景についても諸説ありますが、ここは何とも言えません。もともと窓付きを疎ましがっていたのか、それとも鳥人間たちに感化されたのか…可能性はどちらも考えられます。
ただ窓付きの立場からそれを特定することはできないし…断定しなくてもいいのかなと結論付きました。
ポニ子とウボアに関してはインパクトが強い分、色んな世界観が解釈されています。どれが正解ということはなく、自分にどう見えるかを大切にしていきたいですね。
暗闇の世界
エフェクト「でんとう」を使うことで始めて歩けるフロア。お先真っ暗の絶望か、暗中模索のような不安感か…
包丁
暗闇の世界でGETできるエフェクト。唯一他のものに接触できる効果を持ち、 相手を消し去るこ とができます。
安直に「攻撃性」と見ることもできますが、消し去ることで 「解放されたい」 という願望を表しているとも考えられますなかったことにしたい、過去を否定するための破壊衝動。
それは極論、自分自身を消し去ることにも繋がります。全てを消し去りたいと思うとき、自分さえ消えれば全てが消えると気付くから。
包丁は、窓付きにとって 最後の意思 であり、最後の叫びだったのではないでしょうか…。
ぜんまい通り
暗闇の世界から繋がる世界。山菜のぜんまいから名を取っているのか、それらしい植物がうっそうと生い茂っています。
ピクニック広場
ぜんまい通りのどこかにある空間。 鳥人間たち がお弁当を持ち寄り、音楽に合わせてダンスを踊り、ピクニックを楽しんでします。
特徴的なのは、 その中へ入ることができない という点。ぜんまいが邪魔をして、窓付きは広場へ足を踏み入れることができません。
ここから考えられるのは、 「仲間はずれ」や「無関心」 ではないでしょうか。鳥人間たちの意図的な村八分はもちろんのこと、窓付きのことなどすっかり忘れて楽しく遊んでいる…とも考えられました。
どの世界においても加害者というものは、自分のしていることの重みを知りません。対象のいない空間では、無邪気に自分の人生を謳歌しているものなんです。そんな無神経さが、ピクニック広場からは感じられました。
窓付きはこれに対して、どう思っていたのでしょう。優しい人こそ、被害に遭っても相手を責められないものです。
タオル
ぜんまい通りから荒野にかけてGETできるエフェクト。効果から見るに、 窓付きの身を守るもの だったと見て良さそうです。
問題は、 タオルに包まれなければならなかったという状況。 寒さを凌がなければならなかった、その手段がタオルしかなかった、ということから、暖を取らせてもらえないような嫌がらせがあったと考察されています。
ゆめにっきの全体像からすれば、こうした解釈も確かに説得力がありますが…私としては、あまり悪い方向性に固執して考えたくはないなぁとも思ったり。
ただ窓付きにとってタオルが 物理的な「冷たさ」の象徴 だった可能性は否定しきれません。くしゃみもしてたしね。
温泉さん
荒野にぽつんと佇む建物の中、温泉に浸かっている生物。情報が少なく考察にもバラつきが見られますが、「心臓」や「動脈」、「へその緒」、「胎児」等々いずれも命に関連し、砂漠の中の水源と言う意味でも、 生命力を意味する場所 かもしれません。
特徴的なのは、 温泉さんを刺したときの変化。 温泉さんは包丁で刺しても消えることなく、体の色が赤から青へと変わります。ポンプのような動きは止まり、冷たくなった亡骸を思わせました。
思うに、温泉さんは 窓付きがイメージする「命」そのもの ではないでしょうか。窓付きには、実際に命を奪ってしまった経験があるのかもしれません。その瞬間のイメージを温泉さんが表しているという、ひとつの見方。
そこまでいくと考えすぎかもしれないけど、生命という部分は納得できますね。それ以上でもそれ以下でもないのかな。
空中庭園
ぜんまい通り→荒野から行ける長い長い階段の先、公園のような空間。先には崖があり、夜景とUFOを見ることができます。
このUFOがセコムマサダ先生の宇宙船なのかどうか …個人的に気になってはいます。たとえば自由で未知数なUFOに憧れる部分があって、セコムマサダ先生の中にも、同じような性質を感じたとか…それが夢の中で繋がった…的な。
少なからずUFOという共通点の中に、何かしらの意味があるような気がしています。 崖横の建物に咲く白い花の音 、あれもセコムマサダ先生を思わせたりして。
あるいは逆に UFOがセコムマサダ先生の象徴で、窓付きが夜の公園ないし公衆トイレでセコムマサダ先生を思い浮かべた とも考えられます。
だとすると、窓付きは夜の公園で心を落ち着かせる必要があり、セコムマサダ先生に覚える安心感をそこに植えつけたのかもしれない。
でもその先は、コンクリ廃墟…。うーん…しかし…
コンクリ廃墟
空中庭園から繋がる世界。名前の通り殺風景で、命の息吹を一切感じさせません。窓付きがたどり着いた虚無か、 感情の欠落 など表しているのでしょうか。
おばけ
コンクリ廃墟でGETできるエフェクト。三角の布を額に巻き、窓付きは幽霊になってしまいます。
見たとおり、 窓付きの何かが死んでしまった 可能性が高いです。あるいは、 死んだ者のように扱われていた のかもしれません。
バラック集落
荒野からたどり着ける世界。バラックというのは空き地や被災地、焼け跡などに建てられる仮設の建造物のことで、本来は駐屯兵のための細長い宿舎を指すものらしいです(wikipediaより抜粋)。
つまり、ゆめにっきにおけるバラック集落もまた 何らかの被害を受けた集落 であることが推察されます。実際、戦後の日本を表していると考察している説も見られました。
だとすれば尚更、質素で困窮した空間だと考えられますが、殺伐とした空気はありません。むしろ人間の暖かい部分が見えるような気さえしました。
お互いに支え合って生きている人たちの、素朴なあたたかさ、 人間の良心 を表しているのかもしれません。でもそれは窓付きの世界ではなく、何か別のところに見た世界ではないでしょうか。それこそ戦後の日本だとすれば、学校の授業やテレビか何かで見たのかも。
バラック集落から8bitの世界に行けることを考えても、 別世界への逃避 として見ている可能性はありそうです。
【追記】 コメントにて頂きました!下水道の項目と関連しています。
ありがたく頂戴しました情報によりますと、このバラックは 「工場や製鉄所に勤務し障碍を負った人たちの終着地」 としての集落という解釈が生まれます。
だとすれば、窓付きにとっても決して遠い世界ではなかったのではないでしょうか。実際に、その周辺で生活していた可能性もあります。工場なんて、どこにでもありますからね。
全体のイメージとしては変わりありませんが、より身近なものとして捉えるとまた違った残酷さがあるように思います。劣悪な環境での強制的な労働、その結果地域社会から弾かれ、質素な生活さえ強いられるという…人間社会の闇ではないでしょうか。
そしてそんな状況が現実かつ身近にありつつも、それを知らない私のような人間がいるということも。窓付きは、私よりずっとその世界に近く共鳴していたのかもしれませんね。
合点がいくと共に、また新たに考えさせられることや感じることもありました。ゆめにっきにも現実にも、まだまだ知らない世界があるのだと痛感します。そのことを教えてくれたコメント主様へ感謝を込めて、追記と致します。ありがとうございました!
FCマップ
バラック集落からワープした先、8bitの世界。同じ8bitでも鬼の家のマップとは毛色が違い、 より冒険度の高い世界観 になっています。王道のファンタジーRPGというか。
おそらくはこちらも、単純にゲームの世界ではないかと思います。現実を反映しているというよりは、窓付きが見る 空想の世界 というか。窓付きがただ素直に楽しめる空間として、夢の中に現れた世界。
故に、具体的な対象物に特別な意味はない気がします。今出せる、結論としては。
水溜りの世界
その名の通り水溜りがたくさんあるフロア。ポイントは、 水溜りに移る空模様 です。
現実の世界に見える空と同じ なんですよ。現実の空模様にも何種類かありますが…そのうちのひとつに、全く同じものがあるんです。故にこの場所は 現実とかなり近い世界 かなと、プレイしながら感じていました。
考察を調べてみると、水溜りのリアルさを見るに実際の経験に基づいているのではと解釈がされています。つまりは、 夜道を徘徊した ということ。
しかし、窓付きほど精神的にも肉体的にも拘束された子どもが、夜道を徘徊なんてできるのでしょうか?
徘徊ではなく、別の目的を持って出歩いたか、もしくは 誰かに連れられて歩いた と考える方が自然な気がします。
樹海
水溜りの世界からは、「死体さん」の居る樹海へと入っていくことができます。自販機が置かれていたりして、どこか 現実味も感じさせる空間 です。
死体さん
道路に横たわっている死体。周囲にはカラーコーンが置かれ、事件事故の現場として処理されている様子が分かります。
死体さんからは「しんごう」のエフェクトを手に入れることができ、これにより 死体さんは交通事故にあった とする説が濃厚です。
そして窓付きはその現場を 実際に目撃してしまった のではないかと言われています。カラーコーンや血だまりがあったり、倒れている姿かたちまで具体的に表れているから。想像の域を超えているということですね。
誰が、ということではなく「事故」が印象的だったとして、死体さんは「死体」として認識されているようです。
ブロックの世界
無数のブロックが乱立し、マフラー子が点在しています。この空間が表すところは、未だ不明。
マフラー子
話しかけることで窓付きをワープさせる女の子。意外に情報が少なく考察もあまりされていないようですが…
透明人間のような見た目をしているあたり、存在感の割にぼんやりとした記憶しか残っていない相手…?だったのでしょうか。
ただし、 しんごうを使うと全体を見ることができる ようになります。意図的に姿を見せていなかったのかもしれませんね。顔を隠していたとか…悪い意味ではなく、内気な子だったのかも。
帽子とマフラーのエフェクトでお揃いコーデができるところを見ると、 比較的仲の良い子 だったようにも思えます。何らかの事情で、長くは遊べなかったりしたのかな。
それで、思い出のアイテムだけがくっきりと残る形になったとか。そのあたりが考えられますね。全体像のマフラー子、可愛いし。
白黒世界
ブロックの世界から繋がるフロア。「白黒」が表す意味には、2つの解釈が生まれています。
?@過去
?A死後
【過去】
たとえば昔の写真やテレビのように、白黒とは過ぎ去った過去を思わせる効果があります。色あせるという意味でも、色を失うことは過去を連想させますよね。
【死後】
お葬式や喪服、ご霊前など、白黒には「死」を表す意味もあります。あの世には色がないというのも、想像できる部分がありますね。
どちらを取るかは人それぞれ…どちらも可能性としてはありうる考え方だと思います。が、私個人としては「過去説」寄りかもしれません。それには、モノ子とモノ江の存在が関連しています。
モノ子
白黒世界にいる女の子。一見普通の女の子のようですが、信号を使うと一変します。人間らしい姿形は大きく崩れ、見るも無惨なことに…。
「しんごう」と言うトリガーから関連して、 交通事故に遭った のではないかと言われています。しんごうと死体さんの関係から見ても、モノ子を交通事故と結びつけるのは違和感がありません。
ただし、しんごうさえ使わなければ人間らしい普通の見た目。モノ子は窓付きにとって、まともに関わり合える存在だった可能性が高いです。
モノ江
白黒世界にいる女の子。特別恐ろしいことはなく、話しかけると微笑みを返してくれます。 モノ子と姉妹関係 であるとするのが多数説。特別な変化がないところを見ると、窓付きとは近からず遠からずだったのでしょうか。「死」と結びつけるにも情報が少ないです。
思うに、モノ江は死んだ人間ではなく、 モノ子だけが他界してしまった のだと考えます。何らかの事情でその場に居合わせた窓付きに対し、良からぬ感情を抱いていたのかも。モノ江の表情は、どことなく冷ややかな微笑みにも見えませんか?
事実はどうあれ、行き場のない怒りや悲しみはどこかへ流れ行くものなのかもしれません。
【モノ子とモノ江と窓付き】
窓付きとモノ子は友達、モノ江はその姉。そんな構図が私の頭には浮かんでいます。時間軸としては、過去。モノ子は死に、モノ江は生きている。
思うに、窓付きはモノ子の交通事故に遭遇し、 「友達の死」を目の当たりにしてしまった のではないでしょうか。ただし、遭遇してしまっただけ。窓付きが直接的に関わっていたとは思えません。
たまたま目撃してしまったか、赤信号を渡っていくモノ子を止め切れなかったなど…客観的な事実として 窓付きが責任を感じる部分はなかった だろう、と考えます。
それでも、モノ江は矛先を窓付きに向けてしまった。窓付きに向けるしかなかったのかもしれません。事故当時、一番近くにいたのが窓付きだったのかも。
責めるべきじゃない。けれど、責めずにいられない。その2つの気持ちが、あの微妙な表情に表れているように思いました。
あるいは、 窓付きの罪悪感がものの見方を歪めてしまった か。客観的な事実に関わらず、窓付きが何らかの負い目を感じていた可能性は高いです。「助けられなかった」ところから、「見殺しにした」ところまで発展するかもしれません。
包丁で刺さなければ通れない道があったり、はねられた首が浮かび上がったり、白黒の世界は 「人が死ぬこと」「殺すこと」に対する窓付きのピーキーな認識 を表しているのではないでしょうか。
本当はそうじゃなかったとしても。
どちらにせよ、窓付きはこの姉妹に負い目を感じている。その自責を強調するのがモノ江の存在だと思っています。残された人間の中で、負の感情が渦巻いてしまったのかもしれませんね。
森の世界
特別な要素がないとも言われるエリア。実際、 現実の「森」と変わらないような雰囲気 で、特別意味を持つとは考えにくいです。
考えられるとすれば、迷い込んで抜け出せない状況とか、先が見えない不安とか悩みとか、そんなところでしょうか。 地獄への入り口が直接エリアに置かれている という点は、ひとつポイントかもしれません。
小休止
以上で扉の世界12の考察とします。全てを網羅しているわけではありませんが、個人的に捉えている大枠はこんな感じ。
次回は地獄、夢の深層(ベッドの先)、窓付きについてなど、 全体に関わる部分 の考察をまとめていきます。よろしければそちらもどうぞ!
では今回はこれにて!(*゚ο゚)ゞ
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こんにちは、当ブログ記事をお読みいただき、且つ貴重なお話までお寄せいただきまして誠にありがとうございます!コメント欄にてお礼が遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。
「下水道」および「バラック」についての考察、非常に興味深く読ませて頂きました。この辺りの考察はネットを探してもあまり出て来ないものだったのでとにかく物凄く新鮮で、それだけでなくボンビイ様の実体験等に基づいた説得力と、ゆめにっきとの関連性……これ以上ない考察だと全私が頭を垂れました…!驚嘆と共に、世の中には知らない世界が多くあるのだと酷く思い知らされます。そして、そうした現実を知らずに生きていることに何とも言えない気持ちになりました。その上で、ゆめにっきにはこれを含めた多くの苦悩が広く織り込まれているのだと。
私一人の人生ごときでは到底計り知れないような、あらゆる苦悩が凝縮していて、私一人が考察するのではとても足りない世界なのだと、改めて痛感させられています。
抽象的な夢の世界でありながら、こんなにもまざまざと、現実を描き出していたのですね。本当に興味深いです。そして、今回のお話を伺えたこと、本当に貴重な体験だと思っております。ゲームを通して、学びを得る事ができました。
あなた様とこの時に、ゆめにっきを共有できたことは、私のゆめにっきを括る世界でとてつもなく大きな存在感を放っています。これからもきっと、忘れることはないのでしょう。私の中のゆめにっきに、「バラック」と「下水道」の世界を作ってくださり本当にありがとうございます。
これだけ具体的な事実に則しているのなら、やはりどの世界にも具体的な根拠があるのではと改めて思ってしまいますね。全てが、そうとは限りませんが。ゆめにっきの可能性を広げてくれる、ボンビイ様のコメントはそんなお話でございました。
理解力の足らない私ではありますが、大切に、温めていきたいと思います。
勉強をさせて頂きました。ボンビイ様へ、私よりここに感謝を申し上げさせて頂きます。
工場で事務職をしていた母や地域の住民から昔の事について見聞きしたことがあり、この作品について思うところがあります。
全体として共感する記事を書かれている憂様に読んでいただければ幸いです。
さて「下水道」とされているステージについてですが、
私は「工場」もしくは「製鉄所」の印象を、理科室や水道設備などに置き換えたものと思います。
壁にかけてある絵は、工場もしくは製鉄所で障碍者になった人間だと思います。
表情は皆、怒ったり泣いたり叫んだりしているように見えます。
そして基本的に体がぐちゃぐちゃであったり溶けたようになっていますが、これは機械に巻き込まれたりアルカリ性の洗浄液によるものと思います。
加えて、私がピンときたのが片腕を挙げている人です。片腕が欠損している人間は体の左右のバランスが悪く、歩く際に残った方の腕を上げるようにして歩きます。(義手を装着しない理由は分かりませんが、私もたまに街中で見かけます。)
関連するのがバラックです。
工場で身体障碍者になり地域社会から排除された人間は川沿いや沼地にバラックを作り生活します。
今はその跡地に団地などが建てられていることが多いので、もう見ることもできませんが。
このゲームに共通する印象として貧困・暴力・恐怖・死が挙げられます。
今では巧妙に隠蔽されていますが、近現代の貧困は工場と切り離せないものと思います。