十八番は「王将」だった書道の先生
中学一年生の時、書道の授業を担当して下さっていたS先生は、一風変わった方でした。
いえ、もしかしたら還暦どころか、古稀を迎えておられたかもしれません。
担任は持たず、授業がある時にだけいらっしゃる。
先生の愛車は、自転車。おそらく先生が誕生なさった頃に製造されたものではないかしら?!と思うくらいレトロ感が漂っていました。まさにスーパービンテージものです。
その愛車にまたがり、さっそうと・・・というにはちょっと無理がある。(笑)
だって先生、右に左に蛇行しながらの運転です。
ブレーキをかけるたびに 「キキーーーーっ!!!」
ものすごい音がするのです。
たまにS先生の通勤姿に出くわすと、私たちは笑いをかみ殺しながらご挨拶。
先生は「チン!」と自転車のベルを鳴らして返してくださいました。(ベル音も昭和初期の響き)
ところで先生は 村田英雄の大ファンでした。
ご自分の十八番を生徒の前で歌ってくださるのです。しかも授業中にっ! しかも毎回!!
初めての書道の授業の日。
先生はいきなり黒板に向かって書き出しました。
『吹けば飛ぶよな 将棋の駒に
賭けた命を 笑えば笑え・・・』
「え? あれ 何? あれ板書するの?」
すると隣に座っていたクラスメートが囁きました。
「あれな、 村田英雄の王将っていう歌の歌詞やと思う。先生な、授業中に歌わはるんやって。お姉ちゃんが言うてたわ。」
なんと!! ビックリ!!
でもS先生はちょっと謙虚でした。
まずは生徒たちの反応を見るのです。
で、生徒たちが面白がって「わ〜〜っ!歌ってうたって〜っ!」
といえば、「え〜。それでは〜歌いま〜す。一番だけな。」と少しだけ遠慮がちに歌い始める。
一番を歌い終わって、また生徒たちの反応が良かったら「ほな、続けま〜す。」と二番三番・・・。
最初は小さな声だったのに、ノッてくるにつれて声もだんだん大きくなるし、表情も本当にうれしそう。最高にシアワセそう。
「でも授業中に先生が歌うだなんて!?なんじゃこりゃこりゃ?!」ですよね。
ワタシは毎回、可笑しくって筆を持つ手が震えてました。
時々、隣で授業をしている数学の先生から苦情が来ることも。(そりゃそうでしょう。)
「Sせんせいっ!!授業中ですよっ!静かにしてくださいっ!!」
S先生は、そのたびに 「はっ!すいませんでしたっ!もう歌いまへんっ!」 って反省しきりなんだけれど、ポーズだけです。
ちょっとシーンとしていると、また私たちが「先生〜。ええやん。気にしんとき〜。」と言えば、すぐにご機嫌になって「そうか?おおきになぁ〜。でも、まあ今日はこれくらいにしときま〜す。」とニカっと笑うのでした。
歌う阿呆に聴く阿呆って感じですが、S先生はこの憎めないキャラで生徒たちから愛されていました。
そして一部から苦情はあったものの、これが原因で解雇されるということもなく講師生命を全うされたとか・・・。
なんて大らかな時代だったことでしょう!
あなたにも学生時代、面白かった先生はいらっしゃいますか?
王将
作詞 西條八十
作曲 船村徹
歌 村田英雄
村田英雄(1929〜2002)は4歳の時に浪曲師として初舞台を踏みました。その後、上京し29歳の時に古賀政男氏に見出されます。
「無法松の一生」という浪曲を歌謡曲ふうにアレンジして(いわゆる「浪曲歌謡曲」)、これが大ヒットとなり、浪曲師から歌謡歌手に。
1961年に歌った 「王将」がミリオンセラーとなり、人気を不動のものにしました。
80年代、「ビートたけしのオールナイトニッポン」で彼の豪快なキャラクターやエピソードがネタとして取り上げられたことから、全盛期を知らない若者にも人気を博しました。
愛称は「ムッチー」。
しかし、30代の時から患っていた糖尿病の悪化で2002年、惜しくも73歳で逝去しました。
新品価格 |
モロゾフ 通天閣 クリスピーショコラ
「王将」の歌詞には大阪の通天閣が出てきます。
『空に灯がつく 通天閣 に
おれの闘志が また燃える』
この歌、一流の棋士を目指して上京する男の意気込みを歌った歌なんですね〜。
カープでいえば(笑)黒田選手然り、マエケン然り・・・。
更なる高みを目指して挑戦する人たちの心意気って、時代は変わっても同じなのかもしれません。
歌に出てくる棋士の闘志を燃やしてくれる通天閣。
こんなオシャレなスイーツになると、これはもう、 エッフェル塔 にしか見えません?!
モロゾフ 通天閣 クリスピーショコラ 16個入 MO-1580 新品価格 |
最後まで読んでくださってありがとうございました!
人気ブログランキングへ