2023年11月26日に海賊対処派遣中の護衛艦「あけぼの」の近くにASBMが撃ち込まれました。
何とか無事に離脱できたのが幸いです。
図1 ノノ
引用URL:https://i.pximg.net/img-master/img/2013/03/01/19/19/06/33918180_p0_master1200.jpg
海自の中の人にしてみたら、ASBMなんてむーりぃー!と叫びたくなる状況です。
SSN-22ならともかくASBMを撃墜しろってのは、イージス艦以外では現状無理です!
(前回記事):『 潜水艦と機雷は存在するだけで脅威となる!【海上自衛隊】 』
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(1)海賊対処中にASBMが飛んでくるなんて想定できるか!
海自ならASBM(対艦弾道ミサイル)ぐらい落とせ!なんて言われるかもしれません。
図2 イージス艦
引用wiki
イージス艦とSM-3のイメージが鮮烈すぎるのも考えものです。
1.1 むらさめ型護衛艦だとほとんど対処不能!
現場にいた護衛艦「あけぼの」(DD108)は、むらさめ型護衛艦の8番艦です。
図3 護衛艦あけぼの
引用wiki
イージス艦とは違い対空レーダーは回転式のOPS-24B、FCS-2で誘導するESSMという状況です。
図4 OPS-24B
引用wiki
はっきり言って、弾道ミサイル探知能力なんて持っていません。
1.2 LINK11とCENTRIXSで情報が来たんだろうね
ASBM探知の情報は、米軍からLINK11とCENTRIXSで通報されたのでしょう。
(むらさめ型にはLINK16がない)
図5 LINK11
引用URL:https://electronicstechnician.tpub.com/14088/img/14088_91_1.jpg
情報共有でCENTRIXSは非常に参考になります。
図6 CENTRIXS
引用wiki
情報が来たならば迎撃できそうじゃないか?と言われそうですが、個艦で捕捉できないと射撃は困難です。
イージス艦搭載のCECとEORが無いとかなり厳しいでしょう。
1.3 ESSMもそんなに高く飛べない
搭載してるESSMも射程最大約50kmと言われていますが、確実に命中させるにはもっと射程は短くなります。
図7 ESSM
引用wiki
ASBMに対しての現状における最善手としては、全速力で逃げるしかありません。
マッハ5以上で宇宙から降ってくるミサイルなんて、想定していなかった戦場としか言いようがありません。
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(2)飛んできたイラン製ASBMについては?
イエメン反政府勢力フーシ派は、イランからASBMを供給された模様です。
図8 ASBM
引用URL:https://i.postimg.cc/Hxct2h4Z/48.png(ORYXJAPAN)
ハリジ・ファルスと呼ばれる、イランオリジナルの対艦弾道ミサイルのようです。
2.1 めちゃくちゃ厄介だぞこれは!
ASBMなんてしばらくは無理だろうと、中国DF-21Dを見ていましたが意外なところから出てきました。
図9 機動
引用URL:https://tommytoy.typepad.com/.a/6a0133f3a4072c970b0162ff1110c7970d-800wi
DF-21Dのような機動を取るのであれば、探知は非常に難しいといえます。
(OPS-24やFCS-3の探知範囲外を滑空してくる)
ハリジ・ファルスのCEPが1m程度と主張されていますが、迎撃にはSM-2級の長射程SAMが必要です。
短SAMのESSMでの迎撃は、最後の手段としか言いようがありません。
2.2 イージス艦を海賊対処に派遣するのは本末転倒になる
海幕はイージス艦を海賊対処に派遣することを検討し始めたようですが、圧倒的に数が足りないといえます。
ASBM迎撃を行った場合、海賊対処法の武器使用根拠を超えてしまうためです。
海上警備行動や弾道ミサイル破壊措置命令という方法もありますが、法的整理が必要です。
2.3 しばらくは米軍に任せるしかない。
悔しいですけど、むらさめ・たかなみ・あきづき型の護衛艦ではASBM対処は厳しいでしょう。
戦闘システムを無理に作り変えるより、次期護衛艦に任せた方が無難です。
(関連記事):『 ついにFCS-4開発開始となるか?!【海上自衛隊】 』
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(3)対艦弾道ミサイル対策が今後の目標かな?
将来の海戦においては、対艦弾道ミサイルからの防御が目標になるかもしれません。
図10 イメージ
引用URL:https://www.usni.org/sites/default/files/styles/hero_image_2400/public/Turnwall-PRO-11-19%201.jpg?itok=1HE9bqj7
ESSMの後継がNSAMになるか?それともSM-6になるか注目です。
3.1 探知さえできれば撃墜は可能!
海自はKh-31やSS-N-22を一つの目安として、CDSなどの戦闘システムを構築してきました。
図11 Kh−31
引用wiki
何とか探知さえできれば、ワンチャンスで撃墜は可能です。
(マッハ4で飛行して、探知から着弾まで十数秒の中でやるしかないけど)
とりあえずASBMは、発射されたら逃げるしかないですね!
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海運の状況としては、スエズ運河から紅海に入る商船がほぼゼロになってきている状況から我が国への影響も非常に大きくなってくるでしょう。
いわゆる「存立事態危機(旧:周辺事態危機)」と認定できれば、日本も対応は可能となりますが国会での承認は厳しいでしょう。
最善手としては自衛隊法第83条の3「弾道ミサイル破壊措置」について、日本の商船及び紅海航行商船を「人命と財産を保護する」目的で防護対象と拡大解釈するのがいいかもしれません。
海賊対処法を併合根拠として解釈すれば、政府の法解釈変更決断されあれば対処は可能と考えます。
ただ問題は、対応可能護衛艦がイージス艦の8隻のみでありBMD対処と同時並行がかなり難しいことです。
やはりイージス艦の増勢が必要な時期になってきたかもしれません。
ただ、海運業界側からすると、下記の状態では紅海を航行できる状態ではありませんし、「何らかの形で航行安全を保障」してもらわないと各社ともどうすることもできない状態です。自衛隊法第82条の3「弾道ミサイル等に対する破壊措置」は日本周辺海域におけるBMD統合任務部隊を前提としていると思われますので、本事案は海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律で対処することは不可能なのでしょうか?(同法2条5項で「航行中の他の船舶に侵入し、又はこれを損壊する行為」とありますので、NYKが運航する「ギャラクシー・リーダー」の件で言えば該当しますし、弾道ミサイルを除くとも書かれていません)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231225/k10014298541000.html
ASBM迎撃については非常に日本の法的問題が尽きまとい、厄介なものになります。
まず「フーシ派」という事実上の国家に準ずる団体が発射していいることから、弾道ミサイル防衛が国家との交戦ということになりかねません。
(防衛出動・自衛権発動による武力行使。)
自衛隊法第82条の3「弾道ミサイル等に対する破壊措置」は、あくまで日本国領域に飛来して被害を及ぼす恐れのあるものを迎撃できる条項です。これも現状では当てはめが厳しいでしょう。
海上警備行動は、あくまで洋での警察活動の延長であり
ミサイル防衛は武器使用権限が限定されるため対応が難しくなります。
フーシ派の対艦弾道ミサイル攻撃は、防衛法制の隙間を突かれた状態と言えます。
米国が新たな「有志連合」を発表しましたが、国連安保理決議が出ていないため英仏西にとっては参加しずらいものになっています。
防衛出動を宣言すべきか、国連安保理決議を根拠とした新たな特措法による行動をするしか選択肢が無い状況です。
なかなか悩ましい問題といえます。
管理人様初めまして。
ASBM迎撃を行った場合、海賊対処法の武器使用根拠を超えてしまうため>
海上警備行動や弾道ミサイル破壊措置命令という方法もありますが、法的整理が必要>
フーシ派はイエメンの大部分を実効支配している勢力なので、国家に準ずるフーシ派と交戦することはミサイル迎撃であっても純粋な軍事作戦になり法的根拠が問われるという理由でしょうか?英仏西も「NATO指揮下での行動を優先したいから」という理由で参加を見送っていますが法的根拠がやはり弱いという認識なのでしょうか?
ASBMはようやく完成の域に入ったミサイルといえます。
イラン製ハリジ・ファルスは、動翼がついてMaRVを目指しているのでしょうが命中率はあまり良くないでしょう。
GPSでの座標指定射撃がいいところなのではないかと考えています。
OPS-24Bは回転式3次元レーダーなので、着弾直前10秒前くらいにようやく自艦レーダーにて捕捉できたのではないかと思います。
(米国からLINK11とCENTRXSで飛翔体情報はCDS上に表示されたでしょうが、自艦センサー捕捉はほぼ着弾寸前だったでしょう)
そもそもASBMは完成されたミサイルなのか?と思って"ASBM"で検索した所、防衛省の最近の論文が2件あり、勉強になりました。
ただ、ターゲッティングに宇宙、空他の総合的な監視システムが要求されるようで、今回のフーシ派はそこまでの監視体制は無いのでは、と思いました。
また、ハリジ・ファルスも複雑な機動は取れるのでしょうか。
(あけぼのは海自がミニ・イージスと称していたような?OPS-24にはハリジ・ファルスはどのように見えたのでしょうか。)
ASBMに対するソフトキルの対抗手段は、ほとんどないと言えます。
煙幕も手法としては、可視光に対しては可能でしょうがSAR衛星にには効果が無いところがあります。
チャフも短時間のうちに消滅してしまうので、ASBM対策としては厳しいでしょう。
やはり滞空型デコイのTOREROしかないかな?
対艦誘導弾道弾対処について質問させていただきます。
素人考えでは煙幕や対SAR衛星でチャフなどが有効的な防御手段になる気もするのですが、海自さんではそのようなパッシブな対処しゅだんはあるのでしょうか?
もがみ型OYQ-1試作では将来要素として、弾道ミサイル追尾機能を要求には入れたのでしょう。
レーダーの出力を宇宙に全振りすれば可能かもしれません。
ただ肝心の対艦ミサイル警戒が出来なくなる可能性もあります。
(IAMD連携前のこんごう型護衛艦のようになってしまう)
まあFCネットワークの配備が始まったら、FFMでは対応可能になるかもしれませんが電力供給問題をどう解決するかです。
(やはりGTをもう一本ぐらい搭載した方が・・・)
( https://drive.google.com/drive/mobile/folders/0B8KVYt57g6q_MUk1V09wbjlsUkE/0B8KVYt57g6q_U3NBV19QVl9uWGs/102LC7eUMeBdQQ6GEXUrNYfcuKY_-QA4Z/1gui1Ch7cK6_hHuwLerootK3SprLLwB7_/11v2Vh5n9urS4iJ4m9hWQuLBl4PXQu-Ap/18wdXlFBd7cqrUKB1BwehsGv9ptvlLZmX?sort=13&direction=a)
まぁCDSだけ対応してもレーダーやSAMが・・・でしょうけれど・・・