2024年5月7日に、防衛省よりステルス衛星実証実験の情報が出てきました。
最近は衛星にも、ステルス性が求められるようになったといえます。
図1 ステルス衛星
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/05/07b.html
ステルス性能については、実空間で測定しないと分からないところもあります。
通信衛星や偵察衛星を補完できる、即応型衛星よ早く来い!
(前回記事):『 軍転法による仁義なき戦い呉編! 』
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(1)ステルスを極めるとこんな形になるのか!
衛星と言うと、大抵は気象衛星ひまわりのような形状を想像するかもしれません。
図2 気象衛星ひまわり
引用UURL:https://www.data.jma.go.jp/sat_info/satellite/Himawari89/img/Himawari89_2.jpg
しかし宇宙監視レーダーだと、地球上から捕捉しやすいという問題があります。
1.1 軍用衛星はできるだけ探知されたくない!
人工衛星を軍事用に利用することは、冷戦時代から数多く行われてきました。
偵察衛星などは、人工衛星利用の極致と言えるでしょう。
図3 KH-9
引用wiki
1970年代にアメリカで使用された、偵察衛星KH−9はこんな禍々しい姿をしていました。
低高度(高度約300km以下)で、レーダー探知を避けフィルムを地球上に落とすためこんな形になったと言われています。
現代でも、軍事用偵察衛星は探知されないためにいろんな工夫をしてると言われています。
1.2 ア〇ルプラグ型衛星?!
アメリカではステルス偵察衛星として、とんでもない形状の偵察衛星が1999年に打ち上げられています。
Misty-2(USA-144)という物で、高度約600km付近を飛行している模様です。
図4 Misty-2
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/DTW_zc_W0AEH3Un?format=jpg&name=large
どう見てもア〇ルプラグ・・・
(米国は大真面目にこんな衛星を作ったのか・・・)
衛星の前に巨大バルーンを作り出し、電波探知を回避するそうです。
図5 電波探知回避
引用URL:https://satelliteobservation.net/2018/03/08/contested-space-ii-countermeasures/#jp-carousel-7073
地上の他に、宇宙空間の他の衛星から探知されないようにするには実際に打ち上げてみるしかありません。
1.3 衛星は落とされる物として考えないと!
意外と見落としがちですが、有事になれば通信衛星や偵察衛星は最初に攻撃される目標でしょう。
図6 ASAT
引用URL:https://www.eurasiantimes.com/wp-content/uploads/2021/10/ASAT-e1634934669867.jpg
すぐに代替衛星を打ち上げたくても、通常の大型衛星では間に合わなくなります。
かつてのSDI計画のように、宇宙では衛星戦争が勃発して次々に衛星が撃ち落とされます。
図7 SDI計画
引用URL:https://ahf.nuclearmuseum.org/wp-content/uploads/2018/07/Artist.jpg
小型衛星をたくさん打ち上げることが必要ですが、宇宙空間でどれだけレーダーに映りにくいか実証実験をする必要があります。
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(2)計算と実測データーが違うことはよくある!
人工衛星については、シミュレーションでRCSを計算できる!なんて意見もあるかもしれません。
図8 航空機
引用URL:https://www.mdpi.com/aerospace/aerospace-09-00734/article_deploy/html/images/aerospace-09-00734-g001-550.jpg
航空機のRCSについては、ほぼシミュレーション通りになると言われています。
2.1 艦船のRCSは実測値が全然違う!
しかし艦船のRCS計測実験を海上自衛が行ったところ、設計段階のシミュレーションと全然違ったという実体験があります。
図9 艦艇RCS
引用URL:https://www.emcos.com/images/Applications/App_Ships4_RCS_Problems_in_Ship_Simulation_Model.jpg
以前にも、艦艇のRCSについて書いた記事があります。
(参考記事):『 軍艦のステルス性の誤解と効果の狙いについて!【軍事技術】 』
設計段階でシミュレーションをしていた艦艇について、実測値はかなり違っていました。
RCSが大きいと言われていた「あさぎり」型護衛艦は、それほど大きくなかったことが判明しています。
ほぼシミュレーション通りのRCSであったのは、「こんごう」型護衛艦ぐらいです。
実環境で計測して、初めて分かることも結構多くあります。
図10 電波暗室
引用URL:https://media.defense.gov/2009/Jan/27/2000634197/2000/2000/0/090121-F-3571D-130.JPG
艦艇は、戦闘機のように電波暗室で測定できるものではないですからね〜!
2.2 宇宙空間は何があるか分からない!
人工衛星については、地球上からの監視レーダーの他に衛星からの探知を検証する必要があります。
図11 SSA
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2022/image/zuhyo03010302.gif
地上から探知できなくても、高高度軌道の衛星に居場所を探知されると攻撃される恐れがあります。
今回の、即応型マルチミッション衛星についても宇宙空間での実証試験は重要といえます。
小型衛星で、ステルス性を極めるとどれだけ探知しにくくなるか実験すべきでしょう。
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(3)使い捨て衛星の時代が来るか?
民間企業ではキャノンが、超小型衛星の開発と実証を進めています。
図12 キャノン衛星
引用URL:https://global.canon/ja/technology/pdf/canon-frontier-2018-j.pdf
高価格の大型人工衛星と併用して、小型使い捨て衛星を打ち上げる時代が来るかもしれません。
3.1 護衛艦から人工衛星を打ち上げ出来たらいいなあ〜
将来的には、護衛艦VLSから人工衛星を打ち上げるような戦術も検討すべきでしょう。
SM-2ミサイルの弾頭を交換して、人工衛星を搭載できるかな?
(誘導システムと弾頭炸薬を外せばスペースが開きそう・・・)
図13 SM-2
引用URL:https://media.defense.gov/2002/Jun/13/2002290720/600/400/0/020613-N-0000X-002.JPG
なんにせよ、即応型マルチミッション衛星は今後注目すべきものですよ!
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