海上自衛隊装備品の銃に関するあれこれ雑記

『個人装備の銃に関するあまり外に出ない話を・・・』

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海上自衛隊では護衛艦等の大型装備の他にも、個人装備として銃もいろいろあります。

現職当時にその関係に一部関与することがあり、いろいろなことがありました。

こちらの方が良いのだけれど、いろんなしがらみでもどかしい思いをしました。

今回は、そんな銃に関する調達や研究の裏話などを紹介!
(前回記事):『 海上自衛隊でパナマ運河に一晩閉じ込められるハプニング!!
\こちらもご参考に!/

(1)新型散弾銃はあれで良かったのか?(ベネリM3T)

海上自衛隊の銃に関する話で、特に現職時代に疑問を覚えたのは新型散弾銃でした。

護衛艦等に装備されている散弾銃が旧式化したため、新型散弾銃の導入が計画されました。

候補として、海幕より提示されたのがベネリM3です。
図1 ベネリM3
kizi6-8 1.JPG
引用URL:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/21/Benelli_m3.JPG

ただ、いろいろ試験や研究をしてみると使いづらい点がいくつも出てくる状況でした。

ベネリM3は狩猟用として国内にも流通しているため、調達が容易ではあります。

現場の部隊からは、ベネリM4(M1014)が要望として出ていました。

当時すでに米海兵隊に大量に調達が始まっておりました

M1014では短縮ストック型であり、艦艇でも使いやすいところがあります。 (M1014は米軍での制式名)

図2 ベネリM4(M1014)
kizi6-8 2.jpg
引用URL:http://mgdb.himitsukichi.com/pukiwiki/?plugin=ref&page=%A5%D9%A5%CD%A5%EA%20M4&src=bm4.jpg

FMS(対外軍事有償援助)によって米国から調達する手法も可能でした。

しかし、決定したのはベネリM3Tになりました。

当時、装備品の調達方法をめぐりいろいろなゴタゴタの影響を受けたところもあります。

いまいち、スッキリしない状況でした。
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(2)自動小銃でのあれやこれや・・・

立入検査隊(MIT)等の整備に伴い、護衛艦搭載の自動小銃についても検討が行われました。

特にインド洋派遣にて、従来から搭載していた64式自動小銃の不便さが現場部隊から上申されています。

そのため、配備する自動小銃についての検討・調達で結構いろんなことがありました。

2.1 米軍NAVSEAよりナイツ社製SR25の提案があった

検討の過程にてNAVSEA(米海軍海洋システムコマンド)から、ナイツ社製SR25の非公式提案がありました。
(NAVSEAの一部が米海軍横須賀基地にある)

図3 ナイツSR25
kizi6-8 3.jpg
引用URL:http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams04/sr25.jpg

当時は米軍でトライアルが行われ、海軍用にMk11として導入する予定があるとのこと。

導入数を増やしたい為に、これはどうですか?という提案が出ました。

検討はされたものの、狙撃用なのであまり自動小銃としては・・・

ということで、あえなくSR25の提案は没になりました。

2.2 海上保安庁のアドバイスから89式自動小銃(折曲銃床)に決定

検討のさなか、海上保安庁側では89式自動小銃(折曲銃床)を使用しているとの情報を得ました。

そのため海保側にアドバイスを求めたところ、十分使用に耐えうるとの返答がありました。

海上保安庁の警備実施等強化巡視船(特別警備隊)では、標準装備化しているとのこと。

図4 海上保安庁特別警備隊の射撃状況
kizi6-8 4.jpeg
引用URL:http://hanataing.up.n.seesaa.net/hanataing/image/image_1-ac90a.jpeg?d=a1
仲が悪いなんて言われている海自と海保ですが結構現場同士では意志疎通ができてます。

その結果最近の海賊対処部隊に配備される護衛艦は、89式自動小銃になってきてます。

(海保との会議ではあくまで海保特別警備隊での使用状況で、SST(特殊警備隊)での使用状況に関しては一切説明されませんでした。)
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(3)海上自衛隊も個人装備の銃について研究する時代になった

検討や装備調達の仕様書(案)作成などを行っているときに、担当科長から・・・
『海自で銃の検討をするようになるとは隔世の感があるなあ・・・』
と呟いていました。

昔の海自では、あまり個人用の銃について真剣に検討されてこなかった所があります。

これも時代の変化なのだなと思ったのが印象に残っています。
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2020年02月12日

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