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尖閣諸島での中国海警局の公船が領海侵入などしているになぜ何もしないんだと思う方もいると思います。
EEZ(排他的経済水域)や領海に侵入してきたんだから、捕まえればいいだろう!という人もいます。
しかし海の法律である、国連海洋法条約により対応が難しいのは知られていません。
今回はそんな、EEZで発生している日本の危機について!
知られざる地方防衛局・防衛事務所という組織のお仕事! 』
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(1)国連海洋法条約という海の法律
通常は入国許可を得ずに外国の領土に踏み込むと、不法入国で捕まります。
航空機も許可を得ていないと領空侵犯にて、強制着陸や場合によって撃墜される場合もあります。
しかし海の場合だと、少し状況が違ってきます。
これは、歴史的に国際慣習として海洋では違う扱いとなるためです。
1.1 ただ通過するだけなら軍艦でも領海を通過してよい無害通航権
例として軍艦が、他国の領海をただ通過するだけならば国際法に反しません。
最近よく聞く、無害通航権というものです。
米軍が南沙諸島にて行っている、航行の自由作戦が該当します。
実は航行の自由作戦は、日本に対しても実施されています。
図1 米海軍『航行の自由作戦』対象国
引用URL:https://wordleaf.c.yimg.jp/wordleaf/thepage/images/20160322-00000005-wordleaf/20160322-00000005-wordleaf-1918e79720338527acdc2115fccd6ab7e.jpg
ここで、領海(沿岸から12マイル)、接続水域、EEZ(排他的経済水域)、公海の概念がでます。
図2 各種海域の概念
引用URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol61/img/61_zu_02.jpg
1.2 海の法律たる国連海洋法条約
これらの、海洋に関する国際法を大部分網羅しているのが国連海洋法条約です。
大部分となっているのは、海洋に関する国際法では 慣習法(不文法)の部分があるためです。
無害通航権は、国連海洋法条約第17条に規定されています。
ただし国連海洋法条約第30条〜32条の規定にて、
・軍艦:国連海洋法第29条を満たす船
・政府船舶:中国海警局などの巡視船、漁業取締船など
(参考)国連海洋法条約
URL: http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/mt/19821210.T1J.html
については、当該国からの干渉を受けないという免除規定があります。
国際慣習法から、この規定ができました。
そのため中国海警局巡視船については、漁船のような拿捕が国際法上できません。
退去を要求する!ということしかできません。
図3 中国海警察局巡視船
引用URL:http://livedoor.blogimg.jp/corez18c24-mili777/imgs/9/1/912a0b15.jpg
中国海警局の巡視船が『COAST GUARD』と船体に書いているのも政府船舶であることを示すためです。
このため、非常に難しい対応を迫られているのが、海上保安庁です。
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(2)現状、中国公船に対して打つ手がない日本の危機
現状の段階では、中国公船(中国海警局巡視船)に対して、退去を求めることしかできません。
日本、中国ともに国連海洋法条約の批准国だからです。
領海侵入する中国公船を拿捕しろ!!などと、強気の発言をする人がネットで散見されます。
図4 中国公船の尖閣諸島周辺の航跡
引用URL:http://ef81hokutosei.way-nifty.com/photos/uncategorized/2012/09/15/photo_5.jp g
しかし、先に日本が中国公船に手を出すと、国際的に圧倒的不利な立場になります。
国際法を無視して中国公船の拿捕は、戦争行為とみなされます。
2012年に起きた、海上保安庁と台湾巡視船の放水銃による応戦もかなり危険でした。
図5 台湾巡視船との放水合戦
URL:http://2.bp.blogspot.com/-kPH8h-LZJpc/UGFbQER1u3I/AAAAAAAADzU/emqddH9H-9Q/s1600/20120925-537833-1-L.jpg
そのため公船には何もできないのか?と思いますが、前例が無いわけではありません。
2.1 ソ連漁業取締船を銃撃戦で拿捕したラズエズノイ号事件
ほとんど知られていない事件ですが、外国公船を拿捕した事例が日本にあります。
1953年8月8日に、北海道稚内にて発生した「ラズエズノイ号事件」です。
ソ連漁業取締船であったラズエズノイ号について、出入国管理法違反で拿捕した事件です。
この時ソ連公船はスパイの収容のため領海内に侵入したところを、海上保安庁が拿捕しました。
(参考資料)『ラズエズノイ号事件に関する考察(海保大研究)』
URL: harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/jcga/file/12159/20150825140254/53-2-88-7丹下.pdf
この時は、ソ連公船からの銃撃があり公船の定義を満たさなかったため、拿捕ができました。
当時の国際法の観点でも、拿捕は正当となった事例です。
この事件の時のように、明確に要件を満たさない公船であれば拿捕は可能です。
しかし、現状としては難しいと言わざるを得ません。
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(3)もう一つのEEZ危機北朝鮮イカ釣り船違法操業
最近になって報道されるようになったのが、
『北朝鮮イカ釣り船の日本EEZ内での違法操業』
です。
現場は、日本海EEZ内にある「大和碓」と呼ばれる浅瀬です。
図6 日本EEZと大和碓の位置
引用URL:https://www.jiji.com/news/kiji_photos/20170715ax02_t.jpg
当該海域に北朝鮮イカ釣り船が多数出没して、銃を向けられたという報道もあります。
図7 大和碓付近での北朝鮮イカ釣り船
引用URL:https://medical.jiji.com/images/news/b/f/bffde48feaddb34e45b81fe9893ee62f_m.jpeg
北朝鮮漁船の船尾の看板は、軍の所属を示すものと言われています。
そのため、海上保安庁による拿捕が出来ない可能性もあります。
軍艦に定義される船舶であった場合、海上保安庁による海上警察権が及びません。
国連海洋法条約では、軍艦は所属国の主権のみに属するためです。
もし、本格的に排除するとなった場合、防衛省・海上自衛隊の出動となることもありえます。
今この時も、日本のEEZにおいて危機が進行しているということを忘れないでください!
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