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春になり海上自衛隊の艦艇の一般公開など、イベントが始まりました!
各所で艦艇公開イベントの日程を、ご紹介するブログも多いと思います。
本ブログでは、ちょっと趣向を変えて、一般公開イベントを開催するまでの内部での苦労話をお話したいと思います。
一般公開イベントにて、開催にこぎつけた地方協力本部の方を励ましていただけたら幸いです。
装備課程で敵は財務省にあり!と感じた舞鶴実習! 』
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(1)艦艇一般公開イベント開催準備は2年前から始まる!
海上自衛隊の艦艇一般公開は、どれくらい前から開始していると思いますか?
3〜4か月前?半年前?1年前から?
実は艦艇一般公開をやろうとするならば、2年前から準備をしないと開催できません!
イベントを急に数か月後に企画して、部隊に依頼するとこうなります。
『この日に〇〇という艦艇を、広報展示のため一般公開したいのだけど・』
『おととい来やがれバカヤロー!予定が詰まってんだ(怒)!』
こうなります。
理由として、年度業務計画(通称:業計)というものがあります。
艦艇一般公開などの広報活動としての一般公開は、業計に基づいて行われます。
一般公開を開くには、対象年度の前々年度の12月末までに順序を経て海上幕僚長に上申と記述されています。
実際には、前々年度の8月ごろまでに、各部隊・機関から業計要望として海幕に上申する必要があります。
そのため2年前の8月ぐらいまでに、艦艇一般公開をやりたい!と要望を上げる必要があります。
非常に気の遠くなる作業ですが、お役所なので全ては計画に沿って行われます。
艦艇一般公開を主催する、自衛隊地方協力本部の苦労がしのばれます。
図1 業計の周期線表
引用URL:http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/e_fd/2015/ey20151001_00028_000.pdf
1.1 併せて行われる予算要求!
業計要望のみでは、一般公開のイベントは開けません。
イベントを開くには、予算が必要です。
業計要望に合わせて、当該年度の前々年に予算要望を提出する必要があります。
業計要望と予算要求をしたからといって、必ず開催できるわけではありません。
各自衛隊、防衛省での内部調整・予算査閲をクリアしないと要望が通りません。
図2 第1の関門「防衛省・陸海空幕僚監部」の査定!
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/防衛省市ヶ谷地区#/media/File:Ministry_of_Defense2.JPG
1.2 前年度の業計(案)に残ったよ!さらに調整だよ!
運よく、前年度に出る業計(案)の実施事項として認められましたが、ここからまた紛糾する会議と調整の連続です。
調整と会議の中で、業計(案)から脱落することもよくあります。
部隊の訓練行動や、実任務、修理などいろんな調整が行われます。
『この船を希望してるけど、こっちの船でいいかな?』
『開催時期をずらすことはできないの?』
ここでも紛糾します。
図3 紛糾する担当者とのやりとり
引用URL:https://www.pakutaso.com/20160320082post-7309.html
どうにかくりぬけて、ようやく当該年度の業計に決定することになります。
しかし業計の予定に掲載されたからといって、安心できません!
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(2)横取り!奪い取り!何でもありの調整会議
どうにか艦艇一般公開の予定が業計で決まった!これからPRポスター作製・配布だー!なんて浮かれてられないのが、一般公開イベントの怖いところです。
図4 艦艇公開PRのポスター(宮崎地本)
引用URL:http://www.mod.go.jp/pco/miyazaki/event/img/pdf/30.5.12tokiwa.pdf
広報展示を行う艦艇は、業計でこの時期にと指定をされることが多いです。
しかし本当に決定するのは、自衛艦隊が行う調整会議で正式な日時が決定します。
この、自衛艦隊で年に3回行われる四半期運用調整会議が曲者です。
2.1 自衛艦隊司令部主催の運用調整会議が戦場だ!
艦艇の行動や、広報展示の日程など最終的な調整が行われるのが、自衛艦隊司令部が開催する運用調整会議です。
ここで行われる、艦艇の動きや日程調整をクリアしないと予定通りに開催できません。
四半期ごとの行動を調整する運用調整会議は、まさに戦場となります。
図5 自衛艦隊司令部
引用URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/自衛艦隊#/media/File:JMSDF_Self_Defense_Fleet_HQ.JPG
『広報展示!こっちの訓練に必要だから船を回せ!』
『嫌じゃ〜!前々から要望してようやく広報できるんじゃ!』
会議は、毎回大紛糾しながら決まっていきます。
海上自衛隊の各部隊のほかに、
・陸空自衛隊
・地方協力本部
・技術研究本部・装備本部(現:防衛装備庁)
・内局
など、各種部隊等の運用幕僚・運用担当者が入り乱れるバトルになります。
私ペンギンも海上試験の関係で何度か参加しましたが、毎回大バトルです。
それぞれの担当者は、訓練等で艦艇を必ず確保するので必死です。
会議だけでは決まらないので、各者いろんな手で確保しようとします。
2.2 泣き落とし・相乗り・袖の下何でもありの艦艇確保!
会議の前までに、各員はいろんな手で艦艇確保を狙って根回しをしてきます。
当該艦艇の艦長に、十分に説明して時には泣き落としで予定に同意を得てくる例もあります。
他には、業計の予定に別の部隊の訓練が相乗りしてくることも!
また袖の下を使って艦艇確保、なんていうこともあります。
むろん金銭ではありません!それだけは誤解の無いように断言しておきます!
図6 袖の下を使ってでも!
引用URL:https://www.irasutoya.com/2015/05/blog-post_51.html
燃料や弾など普段、訓練用の割当以外の物を、要求部隊持ちでやりますよ、なんていう袖の下があります。
防衛装備庁関係は、艦艇を参加させるときにこの手法をやってました。
私ペンギンも、普段あんまり撃てない弾を一杯撃てますよ〜!とやったことがあります。
そんな大バトルを繰り広げながら、艦艇一般公開イベントの開催にこぎつけます。
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感想(0件)
(3)ようやく艦艇一般公開イベントができるよ!
これほどの大バトルを繰り広げながら、ようやく艦艇一般公開のイベントへたどり着けます。
艦艇一般公開のPRポスターに注意事項として、
と必ず記入されています。
この一文の裏には、壮絶なイベント開催への大バトルがあるためです。
艦艇一般公開イベントが各所で開始されました。
どうかこの記事を見た方で艦艇一般公開イベントに行き、そこで地方協力本部のブースがあったら、『皆さん苦労してイベント開催に尽力されたんですね!』と声をかけていただければ幸いです!
担当者の苦労が報われます!
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試験艦「あすか」については、一般公開に派出されるのは結構珍しいといえます。
開発隊群(技術評価開発隊)としても、艦艇一般公開の実績を積みたいけど各地との要望とマッチしないなんてことがあります。
レールガン発射試験を行った後なので、なかなか貴重な一般公開になりそうですね。
ひええ...艦これコラボでミサイル艇を引っ張りだしてきたのは、ホントに主催者団体にものすごい凄腕かつ粘り強く交渉してきた人間がいるってことですね。
艦これは海自の理解につながったとはいえ、主催団体は広報展示活動に資するということを海上幕僚監部に簡潔明瞭に説得力のある説明資料を提出したことになります。
少なくとも3〜4年越しの交渉をしていたのでしょう。
(前年に要請して、簡単に艦艇が派出できるものではありません)
さらに自衛艦隊司令官の了解や、佐世保総監部の説得・運用部隊の説得などものすごい努力をしたといえます。
地方隊所属のミサイル艇でも自衛艦隊司令部で広報割り当てをしても、佐世保総監部の意向が重視されますので相当説得力がある説明があったのでしょう。
佐世保総監部にしてみると、数少ない実働兵力のミサイル艇1隻を派出するのですから運用調整会議でもかなり揉めたのを何とか説得できたのだと思います。
さらに佐世保の地域住民に根付いたイベントになったからこそ、実現できたといえます。
(イベントへの出張広報展示は、地域住民の理解が得られることが最も重視されます。舞鶴や横須賀での版権不明騒ぎみたいなのを官公庁は一番嫌がります。)
コロナ過を考えると、4年以上前から進めていたのでしょう。
艦艇派出の運用調整会議を経験したものとしては、海幕や自衛艦隊・佐世保総監部を説得した交渉力はものすごいモノものとして感服します。
関係者が本当に努力と苦労を重ねて、ミサイル艇派出までこぎつけたといえます。
関係者各位に敬意を表したいと思います。
ttps://twitter.com/C2_STAFF/status/1666972506811699205
いやー一体どれだけ苦労したのやら之……
それとも主力の護衛艦でないミサイル艇なら割と運用調整会議で融通利くのでしょうか