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2023年08月23日

精密誘導弾ってなんやろなあ?【防衛省】

『まさかXGCS-2の魔改造になるかもしれんな』
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2023年8月になり、令和6年度概算要求の話が飛び交ってきました。

そんな中で、ナゾの精密誘導弾開発320億円なんてのが出てきました。

図1 GCS-1
図1 GCS-1.jpg
引用wiki

対艦・対地の精密誘導弾という表記だと、GCS-1のように思えるけど初年度開発費が高いなあ

まさか米軍のような、地上発射機から発射するつもりなのかな?
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(1)精密誘導弾というとXGCS-2を思い出す

精密誘導弾というと、どうしてもかつてのXGCS-2を思浮かべてしまいます。

図2 XGCS-2
図2 XGCS-2.png
引用URL:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11339364/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/16/jigo/sankou/11.pdf

試作完了したものの、量産が見送られたものです。

1.1 XGCS-2とは何か?

航空自衛隊に配備されているGCS-1(91式爆弾誘導装置)の後継として、平成16年(2005年)には試作研究が終了していたものです。

当時の流行だった滑空型爆弾の国産弾として開発されていました。

図3 JDAM
図3 JDAM.jpg
引用wiki

ポピュラーになったJDAMも、滑空誘導爆弾として有名です。

ただ、XGCS-2は赤外線とGPS誘導の併用でより精密誘導ができるようになっていました。

1.2 当時の情勢で量産化が見送られる

私ペンギンも、空自岐阜基地にて試験中のXGCS-2を見たことがあり採用されると思っていました。

しかしながら、当時は防衛費削減が続きBMD関連装備が優先されていました。

図4 SM-3blk?UA
図4 SM-3.jpg
引用wiki

日米共同開発のSM-3ブロック?UAの開発費が最優先の状況で、XGCS-2の量産化が見送られてしまいます。

結構いい装備だったのに、惜しいことをしました。

1.3 2000ポンドの破壊力は魅力的!

XGCS-2の魅力としては、2000ポンド(約1トン)の炸薬量を持ち破壊力がデカいことです。

図5 クイックシンク
図5 クイックシンク.jpg
引用URL:https://statics.cedscdn.it/photos/MED_HIGH/58/08/6665808_03192839_nuova_bomba_usa.jpg

最近米軍が開発してる、JDAMの対艦攻撃「クイックシンク」を先取りしていました。

あの時装備していれば、もっと楽になったかも?
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(2)長射程精密誘導弾を作るには?

長距離誘導弾については、12SSM改善型などいろいろすでに開発しています。

図6 12SSM改善型
図6 12SSM.png
引用URL:https://www.mod.go.jp/j/press/news/2023/01/23e.pdf

いまさら新規に、対艦対地用精密誘導弾を作るとしたらどんなことを要求するのか?

2.1 XGCS-2をロケットアシストするGLSDB化?

一つ思い浮かぶ方法は、XGCS-2をさらに長射程化させることです。

図7 GLSDB
図7 GLSDB.jpg
引用URL:https://aviationweek.com/sites/default/files/styles/crop_freeform/public/uploads/2015/03/nocangl-sdb-scenefinal.jpg?itok=cev8Cxj9

2022年にボーイング社がMLRSに、SDB(小口径爆弾)を搭載して射程を延伸する構想を出しています。

もしかすると、このアイデアを日本でもヤル気なのかもしれません。

2.2 07VLAロケットモーターという便利なものがある

一見すると航空用爆弾にロケットモーターを搭載するというのは、無謀かもしれません。

しかし不可能ではないでしょう。

そして日本には、07VLAロケットモーターという便利な国産品があります。

図8 07VLA
図8 07VLA.png
引用wiki

開発当初は対潜魚雷を100km遠方(第2CZ)まで、超音速で投射する目的で開発されています。

07VLAの直径450mmという幅は、XGCS-2を搭載するにはおそらく十分な直径です。

2.3 航空機発射機能も搭載するのかな?

開発費が320億円と高額になっていますが、いろんな発射機から撃てるようにするためかもしれません。

図9 航空機搭載
図9 ASM-3.jpg
引用wiki

ASM-3は、ちょうど07VLAに近い大きさとなっています。

こんな感じで、航空機搭載も考慮に入れるとやはり実験経費が掛かります。

XGCS-2の開発は、約18億円で実施されましたがロケットモーター付きだと再試験でかなりの価格になるでしょう。
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(3)陸上発射機はどうしよう?

そうなると、陸自での運用はどうしようかという問題が出てきます。

MLRSから発射できる直径ではないので、かなり困ったことになります。

3.1 米軍に習い高機動車にランチャーを載せよう!

米軍は陸上発射トマホークを搭載するのに、驚くべき方法を用いました。

図10 米軍トマホーク
図10 米軍トマホーク.jpg
引用URL:https://d1ldvf68ux039x.cloudfront.net/thumbs/photos/2307/7931712/1000w_q95.jpg

米軍はハンビーの後継であるJLTVを無人化して、そこにトマホークランチャーを搭載してしまいました。

この手法だ!発射機が有人である必要はない!

この際、徹底的な省人化を追求すべきでしょう。

3.2 詳細は8月末に出るかね?

まあ変な妄想を掻き立てられる、精密誘導弾なるナゾ装備の情報が今年の目玉でしょう。

概算要求が出そろう、20203年8月末にはイメージ図が出てくるでしょう。

それまでのお楽しみです!
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posted by sstd7628 at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 防衛省

2023年08月06日

ロプーチャー級揚陸艦大破に追い込んだか!【世界情勢】

『ひさびさの大物艦船撃破かな』
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2023年8月4日に、黒海にてロシア海軍揚陸艦がウクライナUSVに攻撃されました。

写真を見る限り、ほぼ大破(航行不能)に追い込めたといえます。

図1 ロプーチャー級揚陸艦
図1 ロプーチャー級.jpg
引用URL:https://twitter.com/Republic_Mag/status/1687359958344413184/photo/1

ロシア海軍黒海艦隊は、受難続きですが何とかさせずに済んだようです。

USVは、港湾襲撃に有効だが決定的威力には欠けるかな?
(前回記事):『 中国052D駆逐艦のダメコンは悪くないが・・?【軍事技術】

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(1)ロプーチャー級揚陸艦大破!

2022年3月に、アリゲーター級揚陸艦が撃沈されて以来の揚陸艦への戦果です。

図2 2022年3月の撃沈
図2 2022年の撃沈.jpg
引用URL:https://images.wsj.net/im-511257?width=1280&size=1.33333333

ウクライナUSVが、着々と戦果を挙げている状況です。

1.1 船腹に大穴を開けることに成功か?

今回の攻撃は、揚陸艦が傾斜して曳航(航行不能)になるほどまでのダメージを与えました。

図3 傾斜写真
図3 傾斜写真.jpg
引用URL:https://twitter.com/Capt_Navy/status/1687559381770981377/photo/1

左舷に被弾して、約10〜15度の傾斜となっています。

相当量の浸水があり、航行不能によりえい航されて港に戻ってきたようです。

報道では、約450kgの炸薬の爆発による模様です。

一応攻撃成功と言えるでしょう。

1.2 今回は大破と判定できる

艦船の損傷段階についてはっきりとした基準があるわけではありませんが、

・小破:艦船の機能にダメージがあるが修理すれば行動できる
・中破:艦船機能・武装に大ダメージがあり、戦闘能力減少(自力航行可能)
・大破:戦闘能力を失い浮かんでいるだけ(自力航行不能)
・撃沈:文字通り沈没した状態
・轟沈:短時間で沈没した場合

今回は、上部構造物が無事のようですが航行不能のため大破判定といえます。
(浸水により機関部が使用不能かな?)

1.3 撃沈まで追い込めなかったのはUSVの限界だと思う

軍艦を大破まで追い込めたのは、かなり上出来といえます。

しかしながら、揚陸艦は船体中央部に大きな開口部があります。

図4 船首から
図4 船首から.jpg
引用wiki

ロシア海軍のダメコン能力不備を指摘する声もありますが、USVでは船体中心部までダメージが届かないともいえるでしょう。

対艦ミサイルのように、高速で突っ込んでくる衝撃力があれば中心部まで爆風を届かせられたかもしれません。

USVについて、ゲームチェンジャーとするにはまだ早いでしょう。
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(2)USV(水上ドローン)は魔法の弾丸に非ず!

ウクライナ戦争にて、ウクライナの救世主となりつつあるのがUSV(水上ドローン)です。

図5 ウクライナUSV
図5 ウクライナUSV.jpg
引用URL:https://twitter.com/CavasShips/status/1573166144537694209/photo/1

黒海を射程範囲に、ロシア軍港に襲撃を行っています。

2.1 戦時急造兵器としては上出来なもの

ウクライナUSVについては、海上戦力が壊滅したウクライナの急造兵器として登場しました。

図6 H.I.サットン氏の解説図
図6 サットン氏解説.jpg
引用URL:http://www.hisutton.com/images/Ukraine-Navy-Maritime-Drone-USV-Cutaway-940.jpg

潜水艦や海軍艦船の解説に定評のある、H.I.サットン氏が詳しくウクライナUSVを解説してます。

無人高速艇に大量の炸薬を搭載して、対艦ミサイルを超える長攻撃距離攻撃を可能にしています。

戦時の急造兵器としては、十分なものでロシア黒海艦隊の活動を妨害するには十分でしょう。

2.2 艦船撃沈までの能力はない

一時期は、USVがゲームチェンジャーになるかと思われましたがあまり成果が上がっていません。

一番の理由としては、魚雷のような一発で撃沈できる破壊力が無いことです。

図7 コール襲撃
図7 コール襲撃.jpg
引用wiki

2000年に発生した、駆逐艦コール襲撃では約300kgの炸薬を搭載した小型ボートが使用されています。

船体に大穴が開き、大量の浸水をしながらなんとか沈没を免れています。

水上からの攻撃では、ダメコン能力がある艦船への撃沈は厳しくなったといえます。

2.3 無人潜水艇UUVに近くないと厳しいか?

潜水艦の魚雷が1発で艦船を撃沈できるのは、竜骨(キール)を破壊できるように水中爆発能力を備えたからです。

無人ドローンにて、同じように艦艇の撃沈を狙うには全潜没ができるUUVの能力が必要になるでしょう。

図8 UUV
図8 UUV.jpg
引用URL:https://twitter.com/ShephardNews/status/1687418450828726274/photo/1

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(3)USV攻撃能力の限界が見えた

ウクライナUSVの活躍は、海戦に新たな兵器運用を見せたといえます。

しかしながら、ミサイルや魚雷を超える攻撃能力があるとは言えなくなりました。

3.1 港湾警備という海軍古来の戦術の重要性

ウクライナUSVによる軍艦襲撃は、新しい戦術のように見えますが本質は古くからの海戦術の焼き直しです。

港湾警備に対抗する、襲撃・閉塞作戦を無人機で行っています。

図9 旅順港襲撃
図9 旅順港襲撃.jpg
引用wiki

1898年の米西戦争や1904年の日露戦争では、軍港への襲撃や閉塞船作戦が行われました。

対抗するために港湾警備は海軍戦術の一つとして成立して、2000年以降は特殊部隊やゲリラ攻撃対処なども追加されていきます。

ウクライナ戦争でのUSV攻撃は、港湾警備への形を変えた攻撃といえます。

決して海戦の決定的戦術にはならないでしょう。

今後も、ウクライナ戦争の海戦状況は注目していくべきでしょう!
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posted by sstd7628 at 16:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 世界情勢
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