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2016年04月27日

日本ちょっと変(四月廿四日)





 本人たちがあれこれ処罰を受けているのは、当然だろう。不本意かもしれないが、こんな形で発覚し処罰を受けた以上は、違法賭博からは足を洗うことになり、関係者とも絶縁することになるだろうから、本人たちにとってはトータルで見るとよかったのかもしれない。しかし、本当にやめられるのだろうか。
 知り合いに誘われてなどの事情はあるにしても、違法であることがわかる賭博に手を出し、続けてしまうということは、賭け事依存症と言ってもいいのではなかろうか。少なくとも依存症になりかけの状態ではあるはずである。だから、永久追放で二度とこのスポーツにかかわるなというのではない限り、処罰をといて復帰させる条件としては、年数の経過ではなく、依存症の治療を受けることを条件にするべきだろう。そうでなければまた同じ問題を繰り返す可能性は高い。
 依存症というと、どうしてもアルコールや薬物への依存症を思い浮かべてしまい、賭け事への依存症は過小評価される傾向にあるけれども、厄介さでは勝るとも劣らない。依存症であることが看過されてしまって、気づくのは手遅れになってからということもありそうだ。とまれ、依存症を抱えているスポーツ選手選手の成績というものは、不安定で活躍が長続きせず、才能を十分に発揮できないままに消えていくことが多い。

 チェコにエゴン・ブーフというサッカー選手がいる。現在はプゼニュの選手でレンタル先のリベレツでプレーしているが、期待の若手としてガンブリヌスリーガでデビューして活躍し始めたのはテプリツェでのことだった。U21の代表でも活躍し、将来はA代表に呼ばれるだろうと思われていたのに、いつの間にか名前を聞かなくなっていた。出場はしていたのかもしれないが、ニュースで取り上げられるほどではなかったのだろう。
 それが、久しぶりに名前を聞いたと思ったら、サッカーではなく、八百長疑惑に関してだった。当時各地で発覚したアジアのギャングが主導したといわれる八百長事件で、八百長に誘われたことを警察に通報して、それがチェコにおける八百長疑惑の発覚のきっかけの一つになったというのだ。当時のブーフは私生活が荒れていたらしく、それでAチームでなかなか活躍できずBチームでくすぶっていることもあったらしいのだが、そこで目を付けられたらしい。ブーフの私生活の問題がギャンブル依存症だったのかどうかはわからない。しかし八百長に誘う側としたら、ギャンブルにおぼれている選手のほうが誘いやすいだろう。
 ブーフが偉かったのは、その誘いを跳ね除けて警察に行ったことだ。これをバネにしたのか、ブーフは復活を遂げて、ここ数年のチェコ最強チームプルゼニュへの移籍を勝ち取った。しかし、プルゼニュでは活躍はおろか、出場機会を得ることもほとんどなかった。それはサッカーそのものではなく、再び私生活が荒れてしまったのが原因だという。一度、そういう方向に流れてしまうと、完全に全うな生活に戻るのは難しいということなのだろう。幸いにしてプルゼニュからリベレツにレンタルされたことで再び目を覚まし、レギュラーとして活躍できるようになった。ただ、また私生活の問題で、活躍できなくなるのではないかという危惧は拭い去れない。

 もう一つの疑問点は、マスコミが賭け事関係で問題を起こした選手たちは袋叩きにする一方で、違法賭博の胴元や闇カジノとか言われるものの経営者については、特に批判することなく放置というか、そういうものが存在することは当然であるかのような報道をしていることだ。闇カジノに出入りした人間と、その経営者を比較したら社会的に問題が大きいのは、後者であるのは当然だと思うのだが。日本のマスコミにとって重要なものが、話題性でしかないというのは、嘆かわしいことである。

 薬物関係の報道にしてもそうだ。大きく取り上げられて、面白おかしく袋叩きにされるのは、薬物使用が発覚した人だけで、問題の根本である薬物の製造者に関して追求しようという姿勢はまったく見えない。
 賭け事や薬物におぼれてしまった人を擁護する気はない。処罰を受けたことをきっかけに、依存症の治療を受けて、いつか復帰できたらいいねと思うだけである。ただ、同時に、たかだか薬物使用者について報道するだけで、鬼の首を取ったように大はしゃぎをしているマスコミには幻滅しか感じない。いつの日にか、マスコミ報道がきっかけで、覚醒剤の大規模製造施設が発見されて警察が捜索に踏み切るなどということが起こらないものだろうか。そうしたら多少羽目を外して大騒ぎをしても、許そうという気になれそうなのだけど。
4月25日23時。


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