ニュース を発見してしまった。切符の使い方を知らない若い人が増えているというのである。これで思い出したのが。10年前に日本に行ったときに、成田空港から電車に乗ろうとして、券売機を見つけるのが大変だったことだ。昔は、駅に入ればすぐにわかる位置に券売機があって、というか、あっちにもこっちにも券売機が置かれていたから、特に探す必要はなかったと思うのだが、散々歩き回らされた記憶がある。
それで、こっちが券売機を探してうろうろしているのをしり目に、自動改札にピッピッと何かを当ててホームに入っていく人の群れに、いわれのない怒りを感じたのだが、これはさらに状況が変わっていて混乱した渋谷の駅でのことだっただろうか。土地勘があったはずの渋谷駅で迷子になりかけたのも大ショックだったし。
日本に行く前に、日本で会いに行くことになっていた知人から、東京の地下鉄、私鉄の路線が増えてあれこれ変わっているよという話は聞いていて、親切に細かく説明しようかと言ってくれたのを、迷ったりしないよと断ったのを後悔してしまった。本格的に日本で電車に乗るのは10年ぶりぐらいだったから、とにかく戸惑うことが多かった。
だから、首都圏の電車地下鉄に乗るのに切符を買う必要のない人が増えているのは知っていたのだ。だけど、すでに切符の存在を知らない、知っていても使い方を知らない世代が登場しているとは予想だにしなかった。こちとら、そんな若い人たちが使っているICカードというものを知らないぞ。携帯電話に財布とか電車の定期券を入れられるとか言っていたのとは違うのか? それ聞いて、何でも一つにまとめられているのはいいけど、一つなくしたら大変なことになりそうだと、実際の使い方もイメージできないままに思ったんだけど、現在はさらに状況が進化しているのだろうか。
うーん。今度日本に行くときには、前回以上に浦島太郎状態になりそうだなあ。切符が完全に姿を消す前に日本に行かないと、電車の乗り方が書かれた日本旅行のガイドブックとか必要になるかもしれない。
思い返せば、子供のころ、鉄道の切符と言えば、出発駅と行先の駅名の書かれた硬券だった。改札でハサミを入れてもらうときの音の響きも耳に心地よかったし、遠くまで旅行したときには、駅員さんにお願いして記念にもらうなんてこともできていた。何か特別な判子をもらうんだったかな。その後、高校を卒業した80年代の終わりまでには、我がど田舎でも自動券売機が設置されて、切符も柔らかいものになったんだったか。
それでも、受験で東京に出たときか、旅行で福岡に行ったときかに初めて見た自動改札には、驚かされた。時間帯もあってがらがらだった福岡の地下鉄では、こんなもの必要なかろうと思ったのだが、東京の駅の混雑ぶりには、これは自動改札がないと駅員さん大変だわと感心したのを覚えている。それ以上に初めて通勤ラッシュ時に電車に乗ってその殺人的な込み具合に、大学に通学するのが嫌になりそうだった。遅めの授業を狙って朝の通勤ラッシュを避けることで何とかしたけど、夜は夜で飲んだ後の終電近くのラッシュもつらかったなあ。
生まれて初めて定期券なるものを手にして、バイトの関係もあって定期を2枚使用していた時期も長く、財布とは別に定期入れなんてものも持っていた。定期例にもちょっとお金が入れてあったから、財布を落としてもどうしようもないという状態にはならなかったのだけど、落としたことがあるのは定期入れだけで財布は一度も落とさなかったのかな。鉄道会社をまたぐ乗り換えのときとか2枚自動改札に入れるのが大変だったような記憶もあるんだけど、どうだったかなあ。乗り換えがあっても一枚にまとめてくれる場合もあったから、記憶があいまいになってしまっている。
オレンジカードというのは、JRの自動券売機で使えるプリペイドカードだっただろうか。それとも自動改札を通すと勝手に乗った分だけ残高が減っていくタイプのカードだったかな。古本屋巡りをしていて定期が使えないところに行くときには、私鉄のものも含めて、この手のカードを使うことも多かったから、自分でも常に切符を使っていたわけではないんだということに気づいてしまった。切符をいちいち買う必要がないというのは便利ではあるのだ。
チェコの鉄道も、90年代の初めまでは使われていた硬券を使わなくなって久しいのだが、最近印刷された切符も持たない人が増えている。車掌が切符の確認に来たときに、ネットで購入した切符をスマートフォンか何かで見せてお仕舞である。車掌は手に持っている端末で何とかコードをピッとかやるだけ。切符の種類によっては身分証明書の確認が入るけど。
これも日本で切符を使わずに自動改札を通って行った人たちを見たときと同じで、時代遅れを馬鹿にされているような気がしてムカつく。それでいてスマートフォンなんか絶対に使うもんかと、頑なになっているのだから、我ながら度し難い。この記事を読んで、自分が年を食ったことを久しぶりに思い知らされてしまった。事実だし仕方がないか。
2019年8月27日24時。
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