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2019年10月06日

ラグビーでチェコ語を勉強する1(十月四日)





 一番最初に覚えるべきラグビー用語は、スクラムのことをいう「mlýn(ムリーン)」であろう。これは本来、水車や風車を努力としていて製粉所のことを表す言葉である。製粉のために使う碾臼を指すと考えてもいい。臼のように二つの部分がぶつかり合ってお互いをすり減らすという発想だったのだろうか。
 そしてスクラムの中心となる一列目の真ん中、背番号2の選手は、「mlyná?(ムリナーシュ)」である。ムリーンと関係があるのはわかると思うが、ムリーンの所有者を表す言葉で、製粉業者と訳すこともある。製粉業者の両腋の1番と3番の選手は、「pilí?(ピリーシュ)」、つまり柱、もしくは橋脚である。水車小屋を支える柱のようなものという発想だろうか。



 6番と7番は、「rvá?ek(ルバーチェク)」。スポーツの世界で「rvá?(ルバーチ)」というと喧嘩っ早い選手で乱闘に好んで参加する喧嘩やを意味するし、「rva?ka(ルバチカ)」は、喧嘩や乱闘を意味するから、一番血の気の多い選手が務めるポジションということだろうか、と考えたのだけど、大元にもどって、動詞の「rvát」から考えたほうがいいかもしれない。引き裂くとか毟り取るなんて意味があるから、相手のスクラムを引き裂き、ボールを毟り取る役割とっておこう。

 8番は、「vázat」という動詞から作られた「vaza?(バザチ)」で、動詞の意味を考えると、スクラムを組み選手たちを結びつける役ということになりそうだ。動詞の「vázat」はタックルのときにも使われ、タックルした後は、相手が怪我をしないように両腕で「vázat」しなければならない。スクラムを組むときの掛け声、「 バインド セット 」のところでも使うかもしれない。

 ここまでのいわゆるフォワードの選手は、「rojník(ロイニーク)」と呼ばれることもある。これは、モールやラックなどの密集を「roj」と呼ぶからである。この言葉は、辞書には群、集団という意味が出ているが、群は群でも、蜂の群を指すのに使うことが多い。鳥の群を指す「hejno(ヘイノ)」でも、家畜の群を表す「stádo(スタード)」でもなく、「roj」が選ばれたのは、フォワードの選手たちがボールに群がるさまが蜂を思わせたからなのだろうか。さすが作家の選んだ言葉だと言いたくなる。 ちなみに、人の群、つまり群衆は「dav(ダフ)」という。
 この「roj」に含まれる、モールとラックに関しては、チェコ語でも英語の言葉をそのまま使っている。ただ、モールがチェコ語読みをして、「マウル」といわれるのに対して、ラックは「ラック」のままである。ラグビーの試合中に解説を聞いているときには、気にならなかったのだが、ハーフタイムにラグビーのルール解説コーナーのテーマがモールだったときに、はっきりと「マウル」と言っているのを聞いてぎょっとした。ラックも「ルック」と言っているんじゃないかと注意して聞いてみたけど、こちらはなぜかチェコ語読みはしていなかった。

 ラインアウトは、「vhazování(フハゾバーニー)」で、サッカーのスローインと同じ。アウトになったボールをグラウンドに投げ入れるということで、投げ込むという意味の動詞「vhazovat」から作られた名詞である。ラグビーのラインアウトの特徴である両チームの選手が一列に並んで対峙するという部分はこの言葉からは読み取れない。
 スクラムの際にスタンドオフが、ボールを入れるのも「vhazování」だと思うけれども、こちらは4名詞よりも動詞を使うことのほうが多い。今回のワールドカップで気になるのは、このスクラムとラインアウトのときに、真っ直ぐ、タッチラインに垂直に入れてなくても販促にならないシーンが多いことで、ラインアウトはまだたまに反則を取っているけど、スクラムになるとあからさまに自チーム側に向けてボールを入れても反則になっていないところを見ると、ルールが変わっただろうか。昔はこれものすごく細かく取っていたと思うんだけどなあ。
2019年10月4日24時。










タグ: ラグビー
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