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2019年11月05日

チェコ政界二話(十一月三日)





?海賊党内紛?
 名前とは裏腹に、意外とまともな政党であることを見せつけている海賊党だが、ネット上で海賊党の党員同士の争いが始まったというような見出しを見つけてしまった。バビシュのANO以外の新政党は、緑の党も、VV党も議席を獲得して、すぐに連立与党に入って調子に乗っていたら、内紛が起こって分裂する羽目に陥ったし、野党にとどまった第一次オカムラ党であるウースビットも、内紛の結果党首が追い出されるという事態を起こしている。


 そのことを思い出して、うちのに聞いてみたら、スキャンダルでもなんでもなくて、上司に対する不満が爆発しただけだった。とはいえ、最近はやりの何とかハラスメントではなく、部下に仕事をさせ過ぎだという不満のようだ。次々に仕事を振られて、耐え切れなくなったということなのかと思っていたら、それだけではなく、仕事を頼むときのやり方とか、評価するときの振る舞いなんかが、偉そうで鼻持ちならないと言うのと、無駄にプレッシャーをかけられている感じがするなんてことも言っているので、流行の言葉で言えば、「パワハラ」って奴になるのかね。

 近々行なわれる党大会で、この訴えられた人は副党首の地位にあるのだけど、罷免されるかどうかの投票が行われるらしい。これに対して別の副党首(複数いるのが普通)は、留任させるなら、自分が辞任すると息巻いているようだ。これは完全に内紛だね。これをどう収拾つけるかが、海賊党の将来を左右すると考えるべきだろう。一見小さな事件だけど、下手を打てば、過去の崩壊した新政党の劣に並ぶことになる。
 まあ、海賊党って、緑の党もそうだけど、学歴の高いエリートが多くて、自分の正しさを信じ込める人たちが多いから、つまりはプライドの塊ばかりだから、意見が一致している間はいいんだけど、意見が分かれるとプライドとプライドのぶつかり合いになりやすく、拗れると大変なことになるのは予想できる。海賊党がここまで一枚岩を誇っていたことの方が、実は驚くべきことだったのだ。

?Aさすが共産党
 ビロード革命から30年を経てなお、存続し続けている共産党は、ことあるごとにかつての共産党政権時代の政策を正当化しようと画策している。もちろんすべてが正当化できるものではないのだが、すこしでも議論の余地があるものに関しては、拡大解釈を重ねて史実を書き換えようとする。史実なんて結局勝者から見た歴史だから、敗者である共産党には納得できないところもあるのだけど、やりすぎというか、お前ら正気かといいたくなることもままある。その点は、ロシアが今でも1968年のチェコスロバキア侵攻に関してソ連時代の公式見解を変えていないのと似ている。
 そのプラハの春の際の出来事に関して、共産党の国会議員、元治安警察の警察官で、デモの弾圧に当たっていた過去でも非難されている人物が、とんでもない発言をして、批判にさらされている。この人の説によれば、1968年のワルシャワ条約機構軍の侵攻によって、犠牲となったチェコ人たちは、交通事故の犠牲者なのだという。

 共産党政権時代の、チェコスロバキアは普段から道路を戦車が走っていて、道を歩くときに注意していないと、戦車にはねられたり轢かれたりするような危険な国だったと言うのだろうか。これでは、共産党政権、いやその要請を受けたソ連軍の侵攻を正当化しようとした結果、共産党政権下のチェコスロバキアの社会を貶めてしまっている。現実には戦車による交通事故なんて、滅多に起こっていないはずなのだから。全くとは断言する自信がない。
 あちこちからの批判を受けて、共産党では当の国会議員の発言を懲罰の対象にするかどうかの会議を開いた。さすがは身内には甘い左翼で、個人的な意見を発しただけなのだし、物事をどう解釈するかは個人の自由だとかいう理由で処罰なしの決定となった。事実誤認を正すという考え方はないのかね。都合のいいときだけ言論の自由を主張するのは、国が変わっても右も左も同じなのだ。
2019年11月4日21時。












タグ: 海賊党 共産党
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