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2019年11月11日

チェコのラグビー(十一月九日)




 チェコでは、ラグビーは日本以上にマイナースポーツであるため、テレビでチェコリーグの試合が放送されることはほとんどないのだが、今回はワールドカップでの盛り上がりをそのまま継続するために、ラグビー協会のスポンサーが金を出してくれたのだろうか。ワールドカップの中継のハーフタイムに流されたチェコ各地のラグビーチームの紹介番組によって、見学希望者が激増しているらしいし、その中にはチームの存在をそれまで知らなかったという人も多いという話だから、ワールドカップ効果は絶大である。

 試合会場は、スパルタのホームグラウンドだっただろうか。一応ラグビー専用のグラウンドなのだが、マイナースポーツゆえの悲しさ、芝の状態はいいとは言えなかったし、小雨が降っていたせいもあって画面上ではラインが見にくくて仕方がなかった。客席も一部にあるだけで、立ち見をしている人も多かった。グラウンドのそぐ外側には林があって、風に吹かれて木の葉の舞い散る中でのラグビーは、季節感があってなかなか風情があった。



 審判は、それほどうまいとは思わなかったけど、判定自体は穏当なものが多かったから、それにキャプテンでもないのにいちゃもんつけるって勘違いもはなはだしい。昔、大学ラグビーが華やかだったころに時々見かけた、実力以上にちやほやされて勘違いしたスクラムハーフを思い出してしまった。当時は無駄に大学ラグビーのスクラムハーフ、スタンドオフにだけ注目が集まっていて、勘違いするやつが多かったんだよなあ。ラグビーの選手だからといって、みんながみんな人格的にすばらしいというわけではないのだ。
 最終的な結果は40−3と大きな差がついた。試合後もワールドカップで賞賛の的になった、いわゆるノーサイドの精神てのはあんまり感じられなかったし、チェコのラグビーは、90年ごろの日本の大学ラグビーを思い起こさせる。両チームに一人ずつ南アフリカの選手もいたし、J&Tという大スポンサーが協会についたから、今後の発展に期待である。

 せっかくなのでチェコのラグビーについて触れておくと、ラグビーが盛んな町として知られているのは、プラハの近くのジーチャニと、モラビアのビシュコフである。1993年のチェコスロバキア分離以前から、例外を除いて、この2チームとプラハのチームが常に優勝を争ってきた。最近は資金力も選手の集めやすさも上のプラハのチームの優勢が続いているようである。
 現在のチェコリーグの1部は、ちょっと変わった方式で行われている。所属するのは、全部で8チーム。2019年は、スパルタ、タトラ・スミーホフ、スラビア、プラガ・プラハのプラハ4チームに、ジーチャニ、ビシュコフ、ズリーン、ドラゴン・ブルノが属していた。まず、一次リーグとして、各チーム各チーム総当りで1試合ずつ、合計7試合行い、その結果、7位と8位のチーム、今年はスラビアとズリーンの2チームが、2部のチームと昇格、残留を争うリーグに回された。
 そのあと、残り6チームで二次リーグ、こちらは普通にホーム&アウェーの総当り、合計十試合行なう。一次リーグの勝ち点は持ち越さないが、その順位によって、1位10点、2位8点……6位0点というボーナスポイントが与えられる。そして上位4チームが1位対4位、2位対3位というプレーオフの準決勝に進む。準決勝ではリーグ3位のジーチャニと、4位のプラガが敗退した。この2チームの3位決定戦はジーチャニが勝って、プラハチームの上位独占を防いだ。

 チェコのラグビーの問題点の一つは、強いチームがプラハに集中しすぎていることだろう。一部リーグの半分がプラハのチームで、決勝がプラハのチーム同士の試合になることも多い。プラハの一極支配を防ぐためにも、ジーチャニとビシュコフには頑張ってほしいのだけど。オロモウツ? うちのチームは下部でくすぶっているのだよ。

 とまれ、スパルタは、これで1993年の分離以来4回目の優勝ということになる。スパルタと名のつくチームのチームカラーである臙脂、黄色、青という三色をあしらったユニフォームは、正直サッカーのスパルタのユニフォームよりも趣味がよく、応援したくなる。タトラのオールブラックス張りの真っ黒なユニフォームも悪くなかったけど、スパルタの方が上だった。
2019年11月9日25時。











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