プシェロフの内務省の事務所で必要な手続きが終わって駅に戻ってきたのは、11時20分ごろ。窓口でオロモウツまでの切符を買おうとすると、12時5分だけどいいのかと聞かれた。それは事前にわかっていたし、他にオロモウツまで移動する手段もなかったので、全然問題ないと答えたら、こちらが求めていたのとは違う切符が出てきた。窓口の人の話では、必ず12時5分の電車に乗らなければならないけれども、オロモウツについてからトラムやバスにも乗れるという。
切符を受け取って細かく見てみたら、朝の切符にはあったチェコ鉄道ロゴが入っておらず、オロモウツ地方の多くの公共交通機関で共通して使えるらしい切符のロゴが入っていた。これまでは、オロモウツ市内ならオロモウツ市交通局の切符で他の会社のバスにも乗れるぐらいの認識しかなかったのだが、鉄道にも適用されるようになったようだ。これがニュースで言っていた今回のダイヤ改正の目玉の一つ、ローカル線に関して地方が運賃設定をするようになったという奴だろうか。
購入した切符の値段は40コルナ。利用できるのはオロモウツ市内と周辺に、プシェロフ市内と周辺限定で、利用時間は12時から13時45分までの1時間45分限定。この区間と時間内は、プログラムに加入している会社のものなら、電車でもバスでもトラムでも利用できるようだ。この時間内でプシェロフからオロモウツに向かう電車は一本しかないから12時5分のに乗れと言われたのだろうと解釈した。
この手の地方単位の運賃、切符の共有化というのは、ブルノを中心とする南モラビア地方が以前から熱心に進めていたはずである。チェコ鉄道の路線番号とは別に、R9などと共有システム用の路線番号をつけて鉄道の駅でも表示されるようになっていた。年末に知り合いが南モラビア地方の東部にある実家からブルノに移動するのに、チェコ鉄道の切符を買うよりも、南モラビア共通チケットのほうが50コルナも安くなるとか言っていた。ただ、以前は普通にチェコ鉄道の切符を買っていたから、南モラビアでも今回のダイヤ改正に際して大きく変わったのかもしれない。
ところで、この地方の切符、利用客にとって便利かというと微妙である。プシェロフの駅に、ブルノとオストラバを結ぶレギオジェットの急行の時刻表がはってあって、オロモウツ地方、南モラビア、オストラバ地方の地方共通チケットでも乗れると書かれていたが、レギオジェットは鉄道もバスも全席指定なので、指定券を追加で手に入れなければならないはずである。仮に無料で指定券が取れるとしても、二度手間になるから最初からレギオジェットの切符を買ったほうがマシである。
いくつかの種類の切符があるのは悪いことではないのだろうが、どの切符を買えばいかわからない、自分の買った切符で乗れるのかどうか、確信が持てないというのは、なかなかのストレスである。チェコなので、必要な情報が簡単に手に入ったり、その情報が利用者にとってわかりやすく書かれていたりする可能性はほぼ皆無である。今回も窓口のおばちゃんに、12時5分のチェコ鉄道の各駅停車に乗れといわれたから迷わず乗ったけど、この切符で、レオエキスプレスやチェコ鉄道の特急に乗ってオロモウツまで帰ってこられたのかどうかはわからない。何度も今回のような形で使っていればわかるようになるのかもしれないけど……。
さらに、この切符どこで買えるのかもよくわからない。朝のオロモウツの駅では、普通のチェコ鉄道の切符だったし、プシェロフでこの切符が出てきたのは、客が少なくて窓口の人に余裕があったからに違いない。チェコ鉄道としては、自前の切符を売ったほうが儲かるはずだし。一応念のためにオロモウツ地方の公共交通連合みたいなものの サイト に行って見たのだけど、ここで買えるのは一週間とか一ヶ月のチケットだけのようである。
せっかく便利で安い乗車券を導入しながら、どこでどれを買えばいいかわからない状態を放置しているのはもったいない話である。これからあと2回プシェロフに行かなければならないので、3時間から4時間有効のチケットがあれば、一枚で済むから楽だと思うのだが、どこでどうやって購入するのかわからない。
2019年12月11日23時。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image