そして、規制緩和が進んだ結果、局地的な集団感染が散発するようになってからは、国全体での規制の強化は行われず、流行が発生している地方単位、場合によってはさらに小さい地域単位で規制の再強化が行われてきた。OKDの炭鉱で巨大な集団感染が発生しているカルビナーや、小さな集団感染があちこちで起こっていたプラハなどでは、国全体でマスクの着用などの規制がほぼ完全に解除された後も、規制が残っていた。
皮肉にも感染症対策の初期にナノテクノロジーを使ったマスクや防護服を生産して医療現場を支えていた工場で集団感染が発生したフリーデク・ミーステクや、近くの村の工場で集団感染が発生したクトナー・ホラなどでは4一度解除された規制が、保健所の判断で再度導入されていた。その再規制に関しては、保健所と地方政府の話し合いで決められるものだと思っていたし、規制を強化する場合には、これまでも国全体の規制でそうだったように、猶予期間を設けて発表日の夜中からとか、翌日の深夜からという形になるものだと思っていた。国の決定も当初は即日のものがあって対応できないとあちこちから批判をあびた挙句に猶予期間を設けるようになっていたわけだから。
内容は公共交通機関やお店などの自宅以外の室内でのマスク着用の再度の義務化と、病院や老人ホームにお見舞いに行く場合には普通のマスクではなく医療用の高性能のマスクが必要になるというもの、イベントの参加人数の上限を100人にするというものである。それから外国から通勤している人に対して、二週間に一度検査を受けることを義務付けて陰性である証明を提出することを求めている。これはポーランドからの通勤者を対象としたものである。
問題は、この規制の再強化に関して、地方政府も各市町村も事前に相談も連絡も受けていなかったことで寝耳に水の決定だったようだ。前日まではカルビナーの炭鉱を中心とする集団感染も下火に向かっていて特に警戒する必要はないとか、集団感染が発生しているだけで無軌道に広まっているわけではないから対策を強化する必要はないというのが公式見解だったのに、突如感染が高齢者などの重症化の危険性が高い人たちの間にも広まりつつあると言い出したから驚きだった。
厚生大臣は、感染の現状を分析した結果、規制が必要だという考え方には賛成の意を表したが、その規制の決定のあり方を批判していた。事前に地方政府側との交渉もなく、規制強化に猶予期間をおかないというのはやってはいけないことだというのだが、事前に連絡を受けていたはずなのだから、厚生省側からの指導で、せめて猶予期間をおくことはできなかったのだろうかと言いたくなる。
当初は、規制にかかわることはすべて首相である自分の責任だと、らしくなくもかっこいいことを言っていたバビシュ首相も最近は、専門家たちが決めていることで自分の決定ではないと責任逃れの発言をすることが増えているように、チェコの武漢風邪対策ちぐはぐなものになりつつある。もともと制度の変更とか、現場の迷惑を考えずに猶予期間をおかずに実施することの多かったチェコの政治家、官僚のことなので、何度外国人警察の人とお互い口をこぼしあったことか、昔に戻ったと考えれば納得なのだけどね。
オストラバで毎年行われている音楽フェスティバルが中止になって、代替イベントとして1000人に人数を制限して行われていたイベントは、開催期間中に、しかもその日のプログラムの途中で中止という最悪の終わり方を強制されていた。この件に関しては主催者だけではなく、参加者からも大きな批判の声が聞こえてきていた。
この状況に、これでこそチェコだよなあと嬉しくなってしまうのは、昔の20年ぐらい前のチェコを知る人間としては当然のことである。この武漢風邪騒ぎもいい加減終わってくれよとは思うけどさ。
2020年7月19日11時。
https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/
タグ: コロナウイルス
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image