それはともかく、その国境の町ボフミーンで火事が起こったというニュースが最初に流れたのは土曜日の夜のことだった。火事が起こって一時間ほどしかたっていない時点だったので、情報は錯綜しており、確実なこととして報道されたのは、ボフミーンの12階建のマンションの11階で火事が起こって、犠牲者が出ているということぐらいだった。犠牲者の数に関しては、10人という説もあると紹介していたが、映像を見る限り建物が倒壊するような火事ではなく、一部屋、二部屋を焼いただけのように見えた。
今日になって火事の詳細がある程度判明し、犠牲者は全部で11人、そのうち6人は火事の起こった部屋で焼死し、残りの5人は火に襲われてパニックになってベランダから飛び降りた結果亡くなったということらしい。消防署は通報後5分以内に現場に到着し、はしご車や飛び降りさせるためのマットの準備を進めていたが間に合わなかったとも言う。
おそらく、一番の問題は火災を起こしたマンションの建築方法にある。これはパネラークと呼ばれる、共産党政権下でできるだけ早く大量に集合住宅を建設するために発明された建築技術で、日本語ができるチェコ人の中にはプレハブ式高層建築と呼ぶ人もいる。いずれにしても、日本では耐震性のなさから建築が許可されないような代物で、5階建てぐらいでやめておけばいいのに、チェコ各地に10階建てを越える背の高いパネラークが林立しているのである。
当時のこととて、安全対策などろくになされているわけがない。ベランダに緊急避難用のハシゴでも設置してあれば、一つ下の階に逃げられたのだろうけど、火に焼かれる恐怖に飛び降りることを選択するしかなかったということか。現場でははしご車も活動していたようだが、11階というのは、その能力を超えた高さで、救助の役には立たなかったようだ。消火と救助の活動で消防隊員にも怪我で病院に運ばれた人が何人かいるというし、消防署はできるだけのことはしたと理解していい。
今回の火事は、失火ではなく、放火だったようで、容疑者がすでに警察によって拘束され、犯行を認めているという。家族内の対立が激化した結果の犯行で、何かのお祝いに集まったのを利用して火を放ったようだ。犠牲者の中には子供も3人いたというから、すくわれない。
ボフミーンを含むカルビナー・オクレスでは武漢風邪の巨大集団感染もあったし、最近明るい話題がないよなあ。ここはハンドボールのカルビナーチームに頑張ってもらうしかない。その前に、ちゃんとリーグが開幕することが一番の明るいニュースになりそうだ。そして最後まで開催されてカルビナーが優勝となれば最高なのだけど。フリーデク・ミーステクも含めて武漢風邪にやられた町のチームの活躍を願っておこう。
2020年8月10日18時。
8月11日追記。
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