チェコでは、政治家などの公人が感染が確認された場合には、氏名が公表される。国会議員にもすでに何人かいるし、プルゼニュの市長や、厚生省の衛生局長が感染したときにも、その事実が発表された。その一方で、私人に関しては、本人が自らマスコミの取材を受けて公表でもしない限り、感染者の氏名が公式にメディアに現れることはない。
それは、プロのスポーツ選手でも同じで、昨シーズン末から、サッカー、アイスホッケーを合計すれば、百人に近い数の選手、スタッフの感染が確認されているわけだが、マスコミなどの憶測はともかく、チーム側が感染者の名前を発表したことはない。スタッフ2名の感染者が出たオロモウツでも、一人は監督のラータルだと言われているが、公式に発表されたわけではない。
プラハだけでなく、チェコ中にファンのいるスパルタの選手であれば、心ない、ではなく知性のかけらもない連中から誹謗中傷をあびても、ファンたちが擁護の声を上げるに決まっているのでそこまで大きな問題にはならないだろうという判断もあるのかな。普段は迷惑極まりない狂信的なスパルタのファンだが、たまには役に立つこともあるものだ。
とはいえ、チェコの状況は日本ほど悪いわけではない。春の外でもマスクの着用が義務付けられていた時期に、マスクをしていない人を見かけたら大声で注意をする人はいたようだけど、わざわざ問題行動をしている人を探しに出かけて攻撃するような阿呆も、それを批判する振りをして実は煽るマスコミも存在しない。
もちろん、チェコにもどうしようもない連中はいるので、感染してしまった医療関係者を攻撃したり差別したりするような事例もないわけではない。それに対しては政治家や厚生省の役人などが即座に反応することで鎮静化を図っていた。それでもスパルタの関係者が危惧するレベルで、感染者を攻撃する風潮が存在するというのだから、日本の感染者のことを考えると不憫になる。
今後このスパルタの動きに追随するチームが出てくるかどうかはわからないが、サッカー界の武漢風邪対策に一石を投じたのは間違いない。チャンピオンズリーグの予選を控えるスラビアなど、選手たちは家族とはなれてホテルで合宿生活を続けながら練習、試合に臨んでいるらしい。ヨーロッパリーグの本選出場が決まっているスパルタも、完全に同じではないだろうが、かなり厳しい感染防止の対策をとっていいるはずだ。それでも感染者が出てしまうのが、今のプラハの感染状況なのである。
幸いなことに、二人は陽性判定が出たとはいえ、症状は全く出ていないらしい。このまま症状がでずに完治して、試合に復帰してくれることを願おう。スパルタは、今日の試合も逆転で勝ったし、開幕以来好調を維持しているからヨーロッパリーグでも久しぶりに活躍が期待できそうである。チェコリーグもスラビア、プルゼニュと三つ巴の優勝争いになれば面白い。
ところで、スパルタにはもう一人ラディスラフ・クレイチーが所属している。数年前にチェコ代表の中心選手の一人になって、スパルタからイタリアに移籍していたクレイチーが、イタリアで居場所を失ってスパルタに復帰したのだ。二人のラディスラフ・クレイチーには血縁関係はないらしいのだが、どのように表記し分けるのだろう。
ちょっと調べてみたら、名前の後に「I」と「II」をつけて区別しているのを見つけた。年上の方が「I」だと思うのだけど、確信は持てない。若い方が先にいて、そこに復帰とはいえ年上の方が加入した形になるから、若い方が「I」でもおかしくはない。年上のほうに「st.」をつけたのもあった。これは「starší」の略で、父子が同じ名前のときに、息子と区別するためにつけるものである。息子には「ml.」、つまり「mladší」を付けるのだが、親子以外でこんな表記がつけられているのは、はじめて見た。
試合中は背番号があるから区別はつくのだろうけど、中継のアナウンサーとかどうやって対応しているのだろうか。今シーズンはまだスパルタの試合をテレビで見ていないのだけど、ユニフォームの背中の名前表記も含めて、非常に気になる。チェコリーグのスパルタの試合がチェコテレビで放送されることはなさそうなので、ヨーロッパリーグの試合で確認である。二人のクレイチーが同時に出る試合を見るのが楽しみである。
2020年9月21日22時。
【このカテゴリーの最新記事】
- no image
- no image
- no image
- no image
- no image