ブデヨビツェでは、先週のプシーブラムのように合計で10人を越えるような陽性者が出たわけでも、ブルノのように一回の検査で数人の陽性者が確認されたわけでもないのだが、問題にされたのは、複数の検査で連続して陽性者が確認されたことのようである。毎週恒例の試合前の検査で、2人の陽性判定が出た後、その2人を除く全員が陰性であることを確認するための検査でも1人の陽性が出たこと、最初の検査で要請になった2人のうちの1人に病気の症状が出たことで、保健所が試合の延期を勧めたということらしい。
チーム内での感染者は結局3人に過ぎないが、検査をするたびに数が増えるということは、検査の時点では陽性にはならなかったけれども、すでに体内にウイルスを持っている選手がいる可能性があるということである。今日の検査で陰性であることが、明日も明後日も陰性であり続けることを保証しないのである。
これまで、陽性者の出たチームでは、大抵は2回目の検査で全員陰性となり、試合を行うことができたのだが、今回はその2回目の検査でも陽性者が出てしまい、その結果が出たのが試合当日で、それから試合までに再度検査を行って陰性を確認するというのが現実的でなかったことも、保健所の決定を後押ししたものと思われる。1回だけだが、3回目の検査を行って試合開催が決まった例があったと記憶する。
こういう現実を見せ付けられると、春の流行期から日本のマスコミが垂れ流していた検査の数を増やしさえすればすべては解決するという説が、いかに愚かなものか、もしくは意図的に流された虚報であることがはっきりする。検査の数を増やすことで完全に感染者を洗い出して完全に感染を封じ込めるためには、対象者全員に対して毎日検査を実施しなければならないことが、サッカー界の例からも明らかである。
それを国全体で考えれば不可能であることを考えれば、検査の数が多いのは少ないよりは多少ましかもしれないが、それですべてが解決なんてことにはならない。むしろ、今日は陰性でも明日検査すれば陽性になる人に、陰性のお墨付きを与えてしまうことになるから、数を増やしすぎるのも良し悪しという気がする。
先週の試合延期の原因となったプシーブラムでは、その後の月曜日の検査でも陽性の選手が現れ、今週末の試合も延期かと思われた。その後、隔離から快復する選手やユースチームの選手を加えてチームを編成し試合を開催する方向で話が進み始め、最終的には今日、試合の前日になって最終的な開催が決定した。出場登録された選手、スタッフは全員検査で陰性になったということなのだろう。
それにしても、前日まで、いや場合によっては当日まで試合が開催されるかどうかわからないというのは、選手にとっても、入場制限が厳しくなって数は減るとはいえ来場予定のファンにとっても大変なことである。金曜日のブデヨビツェでの試合は、チェコテレビで放送される予定だったのだが、延期決定が当日だったので、代替の試合の放送も不可能だったしさ。
いいニュースとしては、先週陽性判定で試合に出場できなかったスパルタのリボル・コザークとラディスラフ・クレイチー(若い方)が、隔離から練習に復帰したというのがある。当然検査で陰性が確認されたからこその復帰だろうから、これまで言われていた2週間ではなく、1週間で陽性が陰性になって復帰できる場合もあるということか。症状が出なかったからこそだとは思うけど。
最後にヨーロッパリーグの予選についても触れておこう。木曜日にルーマニアでFCSBと対戦したリベレツだが、当日の午後になるまで試合が開催されるのか決定されていなかった。問題はFCSBで検査をするたびに陽性の選手、スタッフが増え続けたことで、全部で20人近くに上ったのではなかったか。
FCSBは、試合の直前に金にあかせて新たな選手を獲得して数だけは揃えて試合が出来る体制を整えた。当日の検査で全員の陰性が確認されたことで試合が行われた。前半に退場者が出たこともあってリベレツが勝ったのだが、試合後の選手の口からも、全員健康でチェコに変えれることを望むというコメントが出るなど、サッカーよりも感染の有無の方が気になる試合となってしまった。
普通に考えれば、チーム内で20人もの感染者がでて、検査するたびに数が増えるという状態になれば、陰性の結果が出た選手も陽性予備軍と考えてチームの活動停止となるはずなのだが、ルーマニアではそんなことにはならなかった。UEFAもそんな相手チームのことを考えないルーマニア側の対応を放置していたし、ひどい話である。フェロー諸島でのスロバン・ブラチスラバは、2人の陽性者が出ただけで試合か開催されなかったのだから、スロバンの選手たち怒ってるだろうなあ。
2020年9月27日20時。
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