もう一つ考えられるとすれば、今年の秋から冬にかけてが、チェコにしてはそれほど寒くないことも挙げられる。インベルゼが起こって地表付近のほうが山頂よりも気温が高いという現象が起こると、以前は気温はマイナスになっていたような記憶があるのだが、オロモウツがマイナス10度でイェセニークの山頂がプラス5度とか、今年はオロモウツの気温がマイナスに落ちない中でインベルゼが起こっている。
夏がここ数年に比べると涼しかったから、厳冬になるのではないかと恐れていたのだが、ちょっと拍子抜けである。十二月が近づくのに初雪もまだどころか、ちらつく気配さえない。寒さや雪が苦手な人間にとってはありがたいことではあるのだけど、こちらに来てから培ってきた季節感がおかしくなりそうで嫌になる。
例年であれば、クリスマスが近づくにつれてプレゼントを求める買い物客で賑わいをまし、時間帯によっては人手の多さにうんざりすることもある季節なのに、外出規制、営業規制のせいで、街中であっても、人影がまばらなのも、年末が近づいていることを忘れさせる。今週の月曜日からの規制緩和のせいか、先週よりは人通りが多くなったような気がする。
週の半ばからは、犬システムによる危険度評価が下降傾向にあるのを当て込んでなのか、念のためなのかはわからないが、ホルニー広場でクリスマスマーケットの準備が始まった。ただ準備中の出店の数は、ここ数年の無駄に多かったのと比べると、かなり少ない。昔の小ぢんまりとした控えめなクリスマスマーケットが戻ってくるのだとしたら嬉しい。
ドルニー広場にまで会場を広げて店の数を増やしていたとはいっても、クリスマスならではという商品を売る店は少なく、同じような店がいくつもあることがあったし、クリスマスならではと言えなくもないお酒であるプンチを販売する店の数が多すぎて、しかもその多くが意味不明な形容詞をつけていて興ざめだった。フランスのとかスウェーデンのとか言われても、本当にその国で飲まれているプンチなのか確証はない。そもそも他の国でもプンチなんて飲むのか?
今年は、屋外での飲酒が禁止されているので、プンチの出店も出ないだろうと思っていたら、出店ではなくて、ホルニー広場の近くの店が持ち帰り用の窓口でプンチの販売を始めていた。うちのは子供向けのアルコール分の入っていないプンチじゃないかと言うのだけど、チェコ人がそれで満足するかなあ。その場で飲むのではなくうちに持って帰ってから飲む用に販売しているという名目で酒入りを売っているんじゃないかと疑ってしまう。
ホルニー広場にはすでにクリスマスツリーとなる木が運ばれてきて立てられているが、今年は例年と違って飾りの点灯式は行われないらしい。経済的にはクリスマスマーケットが盛大に行われ、たくさんの買い物客で賑わうほうがいいのだろうけど、今年は無理そうだ。一週間でも二週間でもクリスマス前に、すべてのお店の営業が再開されることを望むだけである。オンラインでの買い物が増えているとは言っても、すべてを補えるわけではないし、コストの問題でオンラインショップには手を出していないところも多いはずだしさ。
クリスマスと大晦日の夜中の花火を禁止することができたら、政府の規制を高く評価してもいいかな。気がついたら花火で新年が来たことに気づくなんてのは避けたいし。それから、はた迷惑な屋外の公共の場での飲酒、喫煙は通年で禁止してくれないものだろうか。アルコールの臭いと煙草の煙の充満した広場を歩くのは苦痛でしかないし。
2020年11月28日20時。
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