教育省は、毎年多額の補助金を、特に子供たちのスポーツにつぎ込んでいるわけだが、最も多くの補助金を得ているスポーツがサッカーである。ペルタがかつてオーナーを務めていたヤブロネツのチームが捜索の対象となっていることを考えると、ヤブロネツへ補助金が出るようにペルタが圧力をかけたということだろうか。
その後、スポーツ協会のヤンスタは逮捕には至らず、事情聴取を受けただけで解放されたが、ペルタは逮捕拘留されることが決まった。サッカー界では一番の権力者なので、関係者に圧力をかけて自分に都合のいい証言をさせる恐れがあると見られたようである。
他にも、教育省の事務次官の女性と、元スポーツ局長も逮捕されている。また法人としてのチェコサッカー協会も捜査の対象になっているようである。それに対して、サッカー協会側では、補助金に関する監査は行っているが問題は存在しないと反論している。
よくわからないのは、教育省の補助金がどのように分配されるかで、まずスポーツ単位で分配され、各スポーツの協会が協会内でどのプロジェクトに補助金を出すかを決めているのか、教育省で直接どのスポーツに出すのか決めているのか、前者の可能性が高いとは思うが判然としない。
前者であるならペルタと教育省の高官の容疑は、サッカーに対する補助金を増やすように働きかけたということになるのだろう。どのスポーツでも、補助金の獲得のためにあれこれ働きかけはしているだろうから、逮捕にまで至ったということはよほどのことだったのだろうと推測はできるが、詳細は明らかになっていない。
新たなサッカー協会の会長を決めるための総会が行われる一月前というこの時期に、家宅捜索逮捕が行われたことに対して、ペルタを陥れようとする勢力が警察検察に働きかけたのではないかという見方もあって、わけがわからない。ソボトカ政権が辞任するとかしないとかいう問題と関係した政治的な捜査だと考えている人もいるようだし。
ペルタという人物は、生まれながらのスパルタファンだと公言しながらヤブロネツのオーナーを務め、最近まではヤブロネツのオーナーを務めながら、サッカー協会の会長を務めていたというちょっと胡散臭い人物である。日本でもプレーしたイバン・ハシェクが、協会正常化の切り札として協会長に就任しておきながら、任期途中で投げ出すように辞任した後を受けて、ペルタが会長に就任したのだが、ハシェクの辞任の理由が協会の改革がある程度進んだからだったのか、不可能だとあきらめてしまったからなのか、これもよくわからない。
プシーブラムのオーナーのスタルカと並んで毀誉褒貶の激しい人物であるが、ペルタ会長の下で、さまざまなプロジェクトが行われスポンサーも増えたことで、チェコサッカーは経済的な面では改善されている。その結果、子供たちがサッカーをするための環境も改善が進むなどの目に見えにくい部分での結果も出ているのでサッカー協会の会長としては悪くないという印象は持っている。教育大臣を解任された確か社会民主党の政治家を、わざわざ新しいポストを作って協会に迎え入れるなど、怪しいこともたくさんやっているのだけどね。
個人的には、このペルタよりも、以前よくあったらしい例えば交通関係の法律の改正案の中に、自分の地元のサッカーチームへの補助金についての条文を挟み込んで可決させるなんてことをしていた国会議員のほうを逮捕してほしいと思う。さすがに最近はそんなことをする輩はいなくなったと思いたいけれども。
とにかく、現時点では断片的な、しかも不確かな情報しか入ってきてないので、今後サッカー協会と、その会長がどうなるのか見守っていくしかない。今回の警察の手入れがチェコサッカーの弱体化につながらないことを祈っておこう。チェコ代表の出ないワールドカップや、チェコのチームが出場しないチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの試合は見る気になれないし。
今回の件に直接関係はないけれども、忘れないうちに書いておくと、われらがシグマ・オロモウツは、二部リーグで圧倒的な成績を残しており、五月三日のズノイモとの試合に勝利したことで、来期の一部への復帰を決めた。昇格する二チーム目は、実質的にはバニーク・オストラバとオパバのシレジアの二チームに絞られている。一部から降格しそうなのはプシーブラムとフラデツ・クラーロベーなので、来期はボヘミアのチームが減って、モラビアのチームが増えることになりそうである。
5月5日23時。
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