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2017年09月05日

男性名詞活動体二——チェコ語の総復習(九月二日)




 例えば観光客という言葉が、チェコ語で思い出せなかったら、日本語で観光客を旅行する人だからということで、ツーリストと置き換えて、語頭の「ツ」をチェコ語らしい発音にして末尾に「A」を足してやれば、「トゥリスタ」というチェコ語の出来上がりである。日本語のコミュニストがチェコ語の「コムニスタ」に対応するように、何とか主義者たちも、外来語での表現を知っていればチェコ語の言葉にできる。

 スポーツ選手も、チェコ語起源の言葉ではなく、外来語のスポーツ名を使っている場合に限り、この「イスタ」で、人を表す名詞を造ることができる。サッカーは、チェコ語でも、他のヨーロッパ諸国と同様、フットボールに関係する形を使う。それが「フォドバル」で、サッカー選手は「フォドバリスタ」となる。テニス選手は「テニスタ」、バスケットの選手は「バスケトバリスタ」である。ただし、ハンドボールはチェコ語起源の「ハーゼナー」を使うので、選手は「ハーゼンカーシュ」である。バスケットもバレーも、日本語の籠球、排球的な言葉は存在するのだが、使用されることはほとんどない。
 ちなみにこの手の男性名詞の女性名詞形は、末尾の「A」をとって「KA」を付けてやれば出来上がりである。「tenista(テニスタ)」が男性なら、女性は「tenstka(テニストカ)」になるのである。子音で終わる人を表す男性名詞の活動体には、「KA」を付ければ女性形が出来上がるものが多いということを、書いておくべきであったか。昨日までは格変化についてあれこれ書きすぎたので忘れていたなあ。例としては、イギリスの女性を示す「Angli?anka(アングリチャンカ)」を挙げておこう。

 とまれ、こんな日本語の言葉から、外来語だとはいえ、ある程度規則的にチェコ語の言葉が作り出せるというのは、この男性名詞の活動体の「A」で終わる名詞ぐらいではないだろうか。こういうのを適当に使ってみて、それがチェコ語に存在していたときの喜びってのは、欧米のラテン語起源の言葉の多い言葉を母語としている連中には、多分わかるまい。
 それから、この変化をする名詞としては、人の名字を挙げておかねばならない。交響詩「我が祖国」で有名なスメタナの名字は、もちろんスメタナは男性なので男性名詞である。他にも白樺を意味するブジーザさんや、コマドリのチェルベンカさんなんかが、女性名詞がもとになって出来上がった男性の名字、つまり男性名詞ということになる。

 もう一つの「E」で終わる男性名詞の活動体はそれほど例が多くない。思いつくのは、格変化の例として取り上げる「soudce(裁判官)」や「poradce(助言者)」など、いくつかしか思い浮かばない。すべて末尾が「ce」で終わるような気がするので、気を付けなければいけないのは、「ec」で終わる名詞と混同しないことである。辞書を引くために格変化した形から1格に戻そうとして混乱することが今でもままあるのである。

 では実際に格変化を見てみよう。

単数変化
    p?edseda    soudce
1格 p?edsed-a    soudc-e
2格 p?edsed-y    soudc-e
3格 p?edsed-ovi   soudc-i/soudc-ovi
4格 p?edsed-u    soudc-e
5格 p?edsed-o    soudc-e
6格 p?edsed-ovi   soudc-i/soudc-ovi
7格 p?edsed-ou   soudc-em

 「A」で終わる名詞の場合には、3格と6格が「-ovi」となることを覚えてしまえば、他は「A」で終わる女性名詞と全く同じである。女性名詞の場合にはこの3格と6格で子音交代を起こして、音が変わるものが多いことを考えるとこちらの方が覚えやすい。このブログではまだ女性名詞の格変化については触れていないが、一般に最初に勉強するのが、「A」で終わる女性名詞、もしくは女性名詞の硬変化であることを考えると、「A」で終わる男性名詞というのは、掘り出し物的に覚えるのが簡単な格変化なのである。ただし、3格と6格でも女性名詞の形を使ってしまわないように注意する必要はある。だから、男性名詞の活動体の3格と6格は、一貫して「-ovi」を使ったほうがいいのだ。

 一方「E」で終わる男性名詞のほうは、「E」で終わる女性名詞との共通点はそれほど多くない。こちらも3格と6格が活動体の特徴である「-ovi」になることを押さえて、7格が子音で終わる男性名詞と同じく「-em」になることを覚えてしまえば、残りの格はすべて1格と同じだから、覚えるの自体はそれほど大変ではない。問題は同じく「E」で終わる女性名詞、中性名詞と混同してしまうことである。この辺は、もう完璧にできるようになるのはあきらめて、できたら俺すげえぐらいの気持ちでいるのが精神衛生上もいい。どうせ数はそんなに多くないわけだから、2格、4格、5格は使わないようにするのも手である。


複数変化
1格 p?edsed-ové   soudc-ové/soudc-i
2格 p?edsed-?    soudc-?
3格 p?edsed-?m   soudc-?m
4格 p?edsed-y    soudc-e
5格 p?edsed-ové   soudc-ové/soudc-i
6格 p?edsed-ech   soudc-ích
7格 p?edsed-y     soudc-i

 「A」で終わる名詞も「E」で終わる名詞も、複数の変化は男性名詞活動体の硬変化の複数変化と、子音交代が起こる場合も含めて全く同じなので、取り立てて覚えることはない。ただ、上で取り上げた「ista」で終わる名詞の場合には、1格が「isté」となるので、これだけは絶対に覚えておかなければならない。それ以外の1格は「-ovi」を使っておけばいい。
 「A」で終わる名詞は、単数は女性名詞に近い変化をするけれども、複数では男性名詞と全く同じである。そこの切り替えだけ意識すれば、複数に関しては間違えることはないはずである。もちろん男性名詞活動体の複数変化を覚えていることが前提だけどさ。

 他にも「?erný」などの名字をはじめとして、形容詞型の名詞で男性を示すものが、男性名詞活動体ということになるが、その変化については、形容詞の格変化と同じなので、そのときに合わせて触れることにする。サッカーのポボルスキーとかロシツキーとか、陸上のジェレズニーとか、日本で知られているチェコ人の中にも、形容詞を名字としている人が結構いるのであるって、このブログにしばしば登場するコメンスキーにしてからが、形容詞が名字になっているのであった。
9月4日18時。





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